
雑菌やカビが繁殖しやすいこの季節。実は、冷蔵庫内も雑菌対策が必要だということをご存じでしょうか。冷蔵庫内はどれくらいの頻度で、どうお手入れしたらよいのか、家電ライターの田中真紀子さんに教えてもらいました。
特に野菜室は要注意!冷蔵庫にはさまざまな菌が増殖していることも
冷蔵庫だと低音に保たれていて雑菌は繁殖しなさそうに思えるが、実際には違うと田中さんは言います。

「冷蔵庫内は常に低温で保たれているため、雑菌は繁殖していないイメージがありますが、実は想像以上に菌やカビが潜んでいます。菌にはさまざまな種類があり、冷蔵室の温度5℃前後では死滅せず、活動、増殖する種類もあるのです。たとえば生肉に付着しがちな大腸菌や、卵の殻に付着していることのあるサルモネラ菌は、低温でも発育するため、冷蔵庫内で増殖する可能性があります。
特に注意したいのが、野菜室。ここは3~8℃と、冷蔵室より高温なので、もっとも菌が繁殖しやすい環境になっています。さらに野菜は袋やラップに入れずにそのまま入れることも多いので、野菜に付着した菌や、野菜に土がついていれば、さらに土壌に住む菌まで持ち込むことになり、より多くの菌が繁殖しやすいといえます」(田中さん・以下同)
低温環境の冷凍庫も安心はできない
では-15~-20℃の冷凍室は大丈夫かというと、そうでもなく…。


「-15~-20℃の低温環境では、菌の活動は停止するものの死滅するわけではありません。万一食品に直接ついた場合、食品を解凍したときに活動を再開する可能性もあるので注意が必要です。
菌は目に見えないためついお手入れを怠りがちですが、雑菌を放置すると、食品に菌が繁殖して食中毒を引き起こす、食品にカビが生えやすくなる、ニオイが発生する、といった問題が起きてきます。定期的なお手入れは欠かせません」
5月から9月の高温多湿期こそお手入れを!
定期的なお手入れがどころか、長年お手入れをしていないという人もいるのでは…。そんな人は、今すぐお手入れを始めてほしいと、田中さん。その方法は、次のとおり。
エアコンで室温を低くしてからお手入れを
「庫内のお手入れの目安は、多くのメーカーで3か月に一度としていますが、特に5月から9月は梅雨によるジメジメや高温多湿で食中毒が増える時期ですので、最近お手入れしていないという人は早めに行ったほうがいいでしょう。
しっかりお手入れするには、いったん中身を出すのがベスト。あらかじめ不要な食品や調味料は処分し、在庫を減らしたうえで、中身をすべて出し、クーラーボックスなどに一時避難させましょう。これからの時期はエアコンをつけて室温が低い状態で行うといいかもしれません。
お手入れ方法は、棚板やケースを取り外したら溜まったゴミを捨て、中性台所用洗剤などを使って水洗いし、水気をよく拭き取ってから戻します。なお冷蔵庫のお手入れにアルコールを推奨しているサイトを多数見かけますが、変形や変質の可能性があることから、メーカー側は推奨していません」
定期的なお手入れが難しい人、あるいは、徹底的に除菌脱臭対策をしたい人は、次のような冷蔵庫や対策グッズを取り入れるのも一つの方法です。
【1】パナソニック『「はやうま冷凍」搭載冷蔵庫 NR-F609HPX』

冷蔵庫を買い替える予定があれば、自動的に除菌対策をしてくれる冷蔵庫を選ぶのも手です。
庫内を除菌しつつ食べ物のニオイも抑制
「パナソニックは450L以上の容量の冷蔵庫に、独自イオン『ナノイーX』を搭載。ナノイーが全室に行き渡り、庫内で壁面に付着している菌から浮遊している菌まで除菌するため、野菜も清潔に保てます。さらに冷蔵庫内の菌の繁殖やニオイを抑制し、カレーを鍋ごと入れてもニオイ移りしにくいのもうれしいところ」
【2】カルテック『マルチフレッシュエアー』

冷蔵庫だけでなく、下駄箱やトイレなどいろいろなところに使えて汎用性が高い、小型の光触媒除菌脱臭機です。
充電式コードレスタイプの除菌脱臭機

「こちらは光触媒フィルターを利用したコンパクトな除菌脱臭機で、空気清浄機の一種。安全性の高い光触媒技術で、庫内のカビ菌やニオイ成分を抑制します。冷蔵庫用の脱臭剤を置いている人も多いと思いますが、バッテリー内蔵型のマルチフレッシュエアーなら充電すれば繰り返し使えるうえ、菌対策もできるので、結果的にコスパもいいと思います」
いずれも庫内の雑菌やニオイが気になる人は、要チェックです!
◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん

白物家電や美容家電を中心に家電に詳しいライター。雑誌やウェブなど多数のメディアで、新製品などをレビューしている。https://makiko-beautifullife.com
取材・文/桜田容子
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