歳を重ねるとともに生じる「ひざ」や「腰」など関節の痛み。40代や50代になって症状を感じても、「我慢できないほどではないから」とそのままにするケースは少なくないようです。しかし、『長生き足腰のつくり方』(アスコム)の著者でスポーツ整形外科医の渡會公治さんは「そのまま放っておくと、やがては要介護や、最悪の場合は寝たきりになることもあります」と警告します。簡単なセルフチェックで知ることができる「ロコモ」。そのリスクについて渡會さんに話を聞きました。
ロコモはこんなに怖い
加齢に伴う足腰の衰えがロコモにつながる理由について、渡會さんはこう指摘します。
「誰でも年をとると体力の衰えを感じ、あまり動かなくなり、座っている時間が増え、移動にも車やエレベーターなどを多用します。そうして使わなくなった運動機能はさらに衰えます。それがロコモになる理由です」(渡會さん・以下同)
ロコモとは
そもそも、「ロコモ」とはどういう意味でしょうか。
「ロコモとは、ロコモティブシンドロームの通称です。加齢に伴う筋力の低下や、関節や脊椎の病気、骨粗しょう症などにより運動機能が衰えて、要介護や寝たきりになるリスクが高くなる状態をいいます」
あまり動かないだけなく、痛みをかばおうとして「間違った体の使い方」を続けていても、「ロコモ」は進行するそうです。
寝たきりリスクが激増する
ロコモが進行すると、日常生活で大ケガのリスクが高まることになります。
「ロコモになると小さな段差でもつまずくようになり、転倒して骨折する危険が高まります。骨まで弱っている人は、とくに太ももの付け根(大腿骨頸部)が骨折しやすくなっています。こうなると入院・手術が必要になり、加齢に伴い回復力が衰えている人は、安静期間が続くと筋力がさらに衰え、回復するまでに多くの時間がかかります」
状況によっては、回復できないまま病院のベッドで寝たきりになると渡會さんは注意を促します。