健康・医療

歩き方を改善すれば腰や膝の痛みが消える? 整形外科医が教える「正しいウォーキング」のコツ

股関節を意識して歩く

続いて渡會さんが指摘するポイントは「股関節を意識して歩く」です。

体のどこからが「脚」か?

「『脚はどこからですか?』と質問すると、ほどんどの人が股関節の付け根あたりを指します。しかし、股関節は骨盤からです。そして、股関節を曲げる大腰筋は胸椎12番、みぞおちの奥からはじまります」

脚を前に出す時は「胸の辺りから動かす」

そのため、「股関節を意識して歩く」ことは「胸」から始まるそうです。

「脚を前に出すときは、胸のあたりから動かすほうが正しい脚の出し方といえます。背骨と骨盤を意識して、太ももからつま先までまっすぐに出す。そうすると、背骨と足の真ん中で股関節が動いています」

そのようなイメージで歩くことを渡會さんは推奨しています。

脚を前に出すときは「胸のあたりから動かす」ことを意識(Ph/photoAC)
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「ひざとつま先」の方向を揃える

「よい歩き方をするための3つ目のポイントは、ひざとつま先の方向が同じになるようにすることです。ひざは内を向いているのに、つま先が外を向いていると、ひざに負担がかかる歩き方になってしまいます」

ひざとつま先が同じ方向に向く感覚を体に覚え込ませるのに効果的なトレーニングが「レッグランジ」です。ランジとは、足を前後に開いた姿勢で、股関節やひざ関節の曲げ伸ばしを行う筋トレのことです。

「レッグランジ」で体に覚えさせる

「左脚を大きく振り出し、その脚をゆっくり足全体で下ろし、力いっぱい踏み込みます。着地したら腰を軽く落としましょう。着地したら立ち、次に右足を前に振り出して同じように着地します。慣れたら両脚を交互に行い、ランジ歩きをしてみましょう」

足を前後に開いた姿勢でひざや股関節の曲げ伸ばしをする「レッグランジ」(渡會公治『長生き足腰のつくり方』より)
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「3歩目大また歩き」も効果的

とはいえ、普段の歩行でランジ歩きを続けるのは難しいかもしれません。

「ランジ歩きのように大股で歩くことは、長く続けられるものではありません。そこで私が考えたのが『3歩目大また歩き』です。

リラックスして立ち、振り出す脚のひざの向きに注意しながら、1歩目はいつものように歩きます。2歩目も同様。そして3歩目は、大きく脚を振り出し、大股で歩きます。これを繰り返します。

この歩き方で長めに歩くと、歩くスピードが速くなり、正しい歩き方を身に付けるための効果的なトレーニングになります」

正しいウォーキングのコツをつかんで、腰やひざの痛みと無縁の生活を目指しましょう。

◆教えてくれたのは:スポーツ整形外科医・渡會公治さん

スポーツ整形外科医の渡會公治さん
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帝京科学大学(スポーツ医学)特任教授、日本ロコモティブシンドローム研究会メンバー、一般社団法人美立健康協会代表理事。1947年、静岡市生まれ。東京大学医学部卒業。オリンピック代表やプロスポーツ選手の診察・治療を手がけた経験を生かし、同研究会が提唱する「ロコモ体操」を考案。整形外科医として各地で中高年向けのロコモ体操教室を開催している。2023年5月、『長生き足腰のつくり方』(アスコム)を出版。

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