女優・大塚寧々さんが、日々の暮らしの中で感じたことを気ままにゆるっと綴る連載エッセイ「ネネノクラシ」。第54回は、寧々さんが3週間ぶりに訪れた「畑」の変わりようについて。
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3週間ぶりに山の家に来てびっくりした。草がぼうぼうだ。前回帰る時に、すごく頑張って夫も私も草刈りして、「これでもうしばらくは大丈夫だろう。 私達頑張ったね~」と美味しくビールで乾杯したのに…まさか、3週間でここまで伸びるとは。恐るべし雑草の生命力。
いや、褒めている場合ではない。蛇が隠れていても怖いので着いて早々、夫も私も草刈りを始めた。夫は電動草刈り機で、私は草刈り鋏でチョキチョキと地味に切っていった。もう本当に腰が痛い。マムシグサも所々生えていて、怖いなあ~と思いながら根元からチョキン! 秋にオレンジ色のとうもろこしみたいな実がなっていた植物がマムシグサで毒性があるとは知らなかった。
時々トカゲが出てきてビックリする。芝生の上もスギナがすごくて、もはや芝生かスギナ畑かわからなくなっていて、笑ってしまう。いや笑っている場合じゃない! これはとてもじゃないけど一日では無理だ。
暗くなるまで頑張って、次の日に持ち越しだ。畑もスギナがあっちこっちから顔を出している。畑の土は柔らかいので、頑張ってなるべく根っ子から抜くようにした。根が深いので、なかなか綺麗にすっぽり抜けないのだが、抜けた時の快感! 気持ちが良い! まだ小さいスギナは割と簡単に抜ける。自分なりにコツを掴んだ。あまり力を入れないで「すみません~抜かせていただきますよ~」という感じで優しく抜くと抜きやすい。
3週間で5倍以上の長さになったハーブも!
何より驚いたのは、野菜達の成長だ。一番驚いたのは、ハーブのディルだ。確か前回帰る時は、20センチくらいだったのだが、今は軽く1メートルは超えて、もうすぐ私の身長くらいだ。もう花も咲いている。お隣のYさんが、「途中で切らないと」と教えてくださったが、あまりにも大きくなり過ぎたのでもうこのままどこまで成長するのか見てみたい。葉を取ってみると味は美味しかったので、そのままサラダやスモークサーモンと一緒にマリネしたりして食べる。
イタリアンパセリもパセリもバジルの葉も大きく元気いっぱいだ。友達が遊びに来ていて、彼女が大根を薄くスライスしてイタリアンパセリとパセリをみじん切りにしてオリーブオイルと塩、胡椒、ホワイトバルサミコでサラダを作ってくれた。どの野菜もハーブも新鮮なので、ものすごく美味しくて、大根一本軽く食べた。採れたての野菜は本当に美味しい。贅沢だなあ~と皆でニヤニヤしながら美味しくいただきました!
◆文・大塚寧々(おおつか・ねね)
1968年6月14日生まれ。東京都出身。日本大学藝術学部写真学科卒業。『HERO』、『Dr.コトー診療所』、『おっさんずラブ』など数々の話題作に出演。2002年、映画『笑う蛙』などで第24回ヨコハマ映画祭助演女優賞、第57回毎日映画コンクール主演女優賞受賞。写真、陶芸、書道などにも造詣が深い。夫は俳優の田辺誠一。一児の母。