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【大塚寧々 ネネノクラシ#24】夫に「赤福買ってきて!」でも結局食べられなかった話

大塚寧々
甘いものが大好きだという寧々さんのお気に入りは?(Ph/LUCKMAN)
写真2枚

女優・大塚寧々さんが、日々の暮らしの中で感じたことを気ままにゆるっと綴る連載エッセイ「ネネノクラシ」。第24回は、寧々さんの「花より団子」なエピソードについて。

* * *
春は甘いものが、時々すごく食べたくなる。

小さい頃は、祖父母の家に行った時に食べるわらび餅が大好きだった。あのプルプルした感じときなこの美味しさがたまらなかった。きなこが好きで、時々きなこに砂糖を混ぜて、きな粉ご飯を作ってもらった。

あとは、祖母が作ってくれたいちごババロア。もう大好きだった。祖母といえばいちごババロアというぐらいだ。母にレシピを聞いて自分で作ってみたが何かが違う。もう祖母のいちごババロアが食べられないのは、本当に残念だ。

家族でケーキを買う時は、皆好みがわかれる。母はモンブラン。夫はショートケーキ。私はチーズケーキ。子供はその時によって違うが、シュークリームやプリンが好きだ。

わらび餅
わらび餅も大好き!(Ph/大塚寧々)
写真2枚

「つぶ餡VSこし餡」、私は…

料理はするが、お菓子はほとんど作らないので、もっぱら買ってばかりだ。先日友達と会っていたときに、つぶ餡とこし餡どっちが好き?と聞かれた。私は、こし餡と小さい声で即答。友達はつぶ餡らしい。何故だろう。つぶ餡好きな方が、大人な感じがする。

こし餡と言う時、いつもちょっと照れくさい。なんでなんだろう~。私だけ勝手にそう思うのだろうか? どうしてもあの皮の食感が苦手だ。

夫にも聞いてみた。こし餡だった。いいぞ~いいぞ~何だかちょっと嬉しい!

そういえば、夫が先日三重に仕事で行ったので、赤福買って来てとお願いした。ばあばも大好きだからと。赤福はもちろんこし餡だ。8個入りと12個入りどっちがいいと聞かれたので、さすがに母一人で12個は多いと思い8個でいいと答えた。

夫が帰って来て「買って来たよ~」といつもののんびりした調子で言った。わあい! 赤福だあ~と喜んだが、一箱しかない。「あれ、一箱しかないよ! ウチのは?」と慌てて聞くと、「あ~一箱しか買って来なかった~」と言う。

私が言い忘れた…。私も食べたかった。

それにしても何故だ。何故家にも買ってきてくれなかったんだ~。赤福、近所には売ってないよ…。

夫も申し訳なさそうな顔をする。次の日、「ばあばのところ、まだ何個か残ってるんじゃない」と言う。母に聞いたら嬉しそうな顔で「もう、全部食べた!」と言った。早い。一人で8個、1日で食べたのか…。

一度食べたいと思ってしまったものは、なかなかその気持ちが消えてくれない。緑茶を飲むたびに、ああ~ここに赤福があればと心の中で思ってしまう。

もう一回仕事で三重行かないのかなあ~行かないだろうなあ~と緑茶を飲みながらため息が出てきた。ああ、赤福が食べたい!

◆文・大塚寧々(おおつか・ねね)

1968年6月14日生まれ。東京都出身。日本大学藝術学部写真学科卒業。『HERO』、『Dr.コトー診療所』、『おっさんずラブ』など数々の話題作に出演。2002年、映画『笑う蛙』などで第24回ヨコハマ映画祭助演女優賞、第57回毎日映画コンクール主演女優賞受賞。写真、陶芸、書道などにも造詣が深い。夫は俳優の田辺誠一。一児の母。現在、出演映画『軍艦少年』が公開中。

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