
真夏のお風呂上りの脱衣所は、まるでサウナのような蒸し暑さ。高温で髪を乾かすとさらに暑さを感じてしまいます。そんなときにおすすめしたいのが、60~80℃前後の低温で髪を乾かせる、通称「低温ドライヤー」です。家電ライターの田中真紀子さんは、「今は、低い温度でも素早く乾かせるドライヤーは増えているんです」と話します。低温ドライヤーの実力を、田中さんに教えてもらいました。
「髪を乾かす=高温で素早く」の常識が変わりつつある
「髪は高温で乾かすもの」――この考え方が、最近では変わってきているようです。
「髪は高温にさらされることによって過乾燥となり、傷みやすくなること自体は、わりと早い段階から知られていました。ただ、昔のドライヤーは風量が弱く、低温だと髪を乾かすのに時間がかかりすぎるため、100℃以上の高温で髪を乾かすことが一般的でした」(田中さん・以下同)
そんな中、低温ドライヤーが7~8年前から登場しています。
「低温ドライヤーは低温トリートメントドライヤーとも言われており、多くは、60~80℃前後のぬるめの温度に設定されています。
近年、モーター技術の向上で風量が上がっただけでなく、空気力学を利用することで、風速をアップさせたり、髪をなびかせたりする工夫も採用されるようになりました。そのため、低温でもより短時間で乾かせるドライヤーが増えてきたのです」
髪を傷めにくく地肌もしっかり乾かせる

かくして、以前より髪を速く乾かせるようになった低温ドライヤー。次のメリットも見逃せません。
「1つは、髪を傷めにくいこと。髪の主成分はたんぱく質のため、高温にさらされると熱変性を起こして、髪が傷んでしまいます。その温度は髪が濡れているか乾いているか、またメーカーによっても考え方が異なりますが、概ね100℃を超える熱によって髪内部が熱変性によって空洞化し、パサつきやすくなるといわれています。
その点、60~80℃前後の低温なら髪に近づけても傷めにくく、地肌をしっかり乾かしたいときも安心です。
また高温で乾かすと加熱ムラによるオーバードライ(過乾燥)が起こりやすく、髪や頭皮の乾燥やダメージにつながりますが、低温ならそのリスクも抑えられます。なんといっても暑い夏、お風呂上がりに髪を乾かすときは、低温のほうが断然快適ですよね」
低温ドライヤーを選ぶ際は風量と風の特徴をチェック
ただし、低温ドライヤーにはデメリットもあります。
「低温ドライヤーの中には、やはり風量が足りず、髪がなかなか乾かないものもあります。またスペック上の風量は大きく表示されていても、その風が拡散しやすいと、髪が乱れやすく、なかなか乾かないばかりか、髪同士が擦れてダメージの原因になることもあります。選ぶ際は、風の特徴も要チェックです。
また低温とはいえ、同じ場所に当て続けると髪の温度が上がってしまうので、使い方に気をつけましょう」
田中さんがおすすめの低温ドライヤーは、次の2つです。
【1】Zuvi Japan『Zuvi Halo 光ヘアケアドライヤー』

髪のダメージを抑えながらも素早く乾かしたい人は、『Zuvi Halo 光ヘアケアドライヤー』に注目を。
40℃前後の低温で髪をいたわりながら素早く乾かす

「太陽の光によって水が蒸発して乾いていく原理に着目し、ドライヤーに光を取り入れた革新的なドライヤー。光の中でも、不要な光は120層のチタンコーティングで遮断し、特定波長の赤外線光によって髪表面の水滴だけを素早く乾かすとしています。
これによって髪表面を平均44℃と低温に保てるため、髪ダメージが抑えられるというわけです。本製品にはコードレスタイプもあり、こちらは髪表面を平均37℃にキープ。1回の充電で13~27分使用でき、19分の充電で90%まで急速充電できます」
【2】A-Stage『Re・De Hairdry』

パワフルな風量だけでなく、手に持った時の軽量感や使いやすさを求める人におすすめなのが、ハンズフリーでも使える『Re・De Hairdry』。
パワフルな風量と、ハンズフリーで使える便利さが特徴


「わずか255gと超軽量ながら、スリムな筒型と独自のノズル形状により、風量3.6立方メートル/分、風速53m/sのパワフルな風を実現し、他社平均より37%速く乾かすことができるとされています。ユニークなのが、付属のスタンドに設置したまま使える『STAND』モード。ハンズフリーで髪を乾かせるのも助かりますが、88℃の低温風のためヘッドマッサージしながら乾かすこともできるのも一石二鳥」
暑さを和らげるだけでなく、髪を熱のダメージから守りつつ、プラスαの機能も期待できる低温ドライヤー。今後ドライヤーを買う際の選択肢として、ぜひ。
◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん

白物家電や美容家電を中心に家電に詳しいライター。雑誌やウェブなど多数のメディアで、新製品などをレビューしている。https://makiko-beautifullife.com
取材・文/桜田容子
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