
食品の劣化を防ぐためにも、使いかけの食品袋はぴったり密閉した方がいいと言われています。閉め方が不完全な状態と真空状態にして完全に密閉するのとでは、食品の持ちや衛生度はどう変わるのでしょうか。家電ライターの田中真紀子さんにご解説いただきます。
密閉しないことで、ダニの繁殖、湿気、食感の変化などのリスク
田中さんは、食品の袋を密閉する重要性をこう話します。

「食品の袋を閉じるときにやりがちなのが、袋の口をくるっと丸めて輪ゴムで留める方法。またクリップやテープでサッと留める人もいると思いますが、これらの閉じ方は食材によってはNGです。その理由として、小麦粉やホットケーキミックス、お好み焼き粉などを使い切るまでの数か月間、軽く留めた状態で常温で放置していると、袋のすき間から袋の中にダニがはいり込み、大量に繁殖してしまうこともあるからです。
これに気づかず食べてしまうと、人によってはダニアレルギーの症状であるアナフィラキシーショックを引き起こす可能性があります。
また海苔にとって大敵なのは、湿気です。しっかり密閉せずに放置していると空気中の湿気を吸ってしまい、風味が落ちてしまいます。『冷蔵庫は乾燥しているから』という理由で、冷蔵庫に保管する人もいると思いますが、冷蔵庫から出すと結露してしまい、これも湿気の原因になります。
ポテトチップスなどのお菓子の袋は、未開封状態では窒素が充填されており、酸化が抑えられていますが、開封すると酸素に触れ、酸化が始まって味が落ちます。さらに湿気も吸収しやすいため、パリッとした食感が損なわれることに」(田中さん・以下同)
使いかけの食品はシーラーや真空容器で密閉
つまり、食品の袋は密閉すべきですが、どのような閉じ方、保管方法が理想なのでしょうか。


「小麦粉はダニが侵入しないよう、袋のチャックをしっかり閉めるか、袋の開口部を圧着して密封できる『シーラー』という機械が便利です。また真空状態が作れる真空容器で保管するのもおすすめです。ダニ対策として、冷蔵庫で保管する人も多いと思いますが、冷蔵庫から出したときの結露でカビが発生するリスクもあるため、メーカーは常温保管を推奨しています。
一方の海苔は、湿気が大敵なので、元々はいっていたシリカゲルを入れた状態で、袋のチャックを閉めます。長期間使わない場合は、やはりシーラーで袋の口を圧着しておけば、湿気にふれにくくなり安心です。
お菓子の袋に関しては、酸素に触れることによる酸化を防ぐためにも、真空状態にして保存するのがおすすめです。ただしポテトチップスなどのスナック菓子は、割れにくくするため窒素で袋を膨らませています。そこを真空パックにすると袋の中の空気が抜けてポテトチップスなどがパリパリに割れてしまうため、真空にしても容器の形を保つタイプを使うといいでしょう」
今は、食品を真空状態で保存できる真空パック機や、真空容器があります。田中さんがおすすめするのは、次の2点です。
【1】フードセーバー『フードセーバー FM2010』

粉ものはもちろん、野菜から汁もの、魚肉などさまざまな食品を真空パックにして保存できるのが、こちらの『フードセーバー FM2010』。
真空パック機のほか袋を閉じるシーラーとしても使える一台二役

「専用のバッグを使って空気を吸引することで、鮮度を保ちたい食品を真空状態で保存できる真空パック機です。肉や魚、野菜などの鮮度を保つほか、作り置きしたおかずを真空パックして保存しておき、食べたいときに湯煎したらすぐ食べられる、といった提案をしています。使いかけの袋を閉じるシーラーとしても使え(※)、柔らかく崩れやすい食材や水分の多い料理を保管するのに適した『真空フレッシュボックス』なども付属しているので、幅広い食材の保存に対応します」
※市販の食品が入った袋をシールして封をする場合は、真空にはできません」
【2】レコルト『フードストッカー』

手軽さを求める人はレコルトの保存容器『フードストッカー」に注目。常温保存する粉ものや海苔、パン、米、菓子類などをクリップなどで留めたまま、容器に投入してボタンを押すだけで真空保存できます。
食品袋を入れてボタンを押すだけで真空保存できる容器

「ボタンを押すと自動で庫内の空気が抜け、1~3分で内部を真空状態(約0.75気圧)に減圧し、その状態をキープ。約7Lと大容量で、開封済みの粉ものやお菓子の袋、お米などをそのまま容器に入れるだけで、食品の酸化や湿気、虫の侵入を抑えます。1つ1つしっかり袋を閉じなくていいのが便利。一度の充電で3週間使用でき、一度開けても、ボタンひとつで簡単に真空状態に戻せます」
温度と湿気が高い夏は、ダニも繁殖しやすい時期。食品の劣化や衛生状態が気になる人は、要チェックです。
◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん

白物家電や美容家電を中心に家電に詳しいライター。雑誌やウェブなど多数のメディアで、新製品などをレビューしている。https://makiko-beautifullife.com
取材・文/桜田容子
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