久しぶりにマスクを外して過ごす夏。開放感がある一方、ちょっと気になるのが自分の口臭…。『スマホがあなたをブスにする 歯科医師が教える1日3分でキレイを保つ方法』(大和出版)の著書・中城基雄さんは、「特に気をつけた方がいいのは、スマートフォンを見る習慣がある人。スマホの長時間操作が口臭の元になるからです」と話します。どういうことでしょうか? 口臭の原因を、改善策とともにうかがいました。
普段は気にならない口臭が、スマホの長時間操作後に「気になる」レベルに
口臭専門クリニックの院長で歯科医師の中城さんは、口臭には従来から言われてきた原因のほか、スマートフォンを見る習慣も、原因になりうると考えています。
その理由は、スマホを見るときの「無表情、無動、無言、姿勢」にヒントがあるそう。どういうことなのか、詳しく聞きました。
「5年ほど前から、『デスクワークをしているときやスマホをいじっているときに口臭がある気がする』と言ってこられる患者さんが徐々に増えてきました。そこで、口臭測定機を使い測定してみたのですが、訴えに反して口臭の数値は上がらない。ところが、後日、吐いた息を密閉して送付できる『臭気袋』に、デスクワーク時やスマホ操作時の呼気を入れてもらったところ、驚きの事実が判明しました。入れてもらったニオイを口臭測定機で調べると、口臭の原因とされる『硫化水素』のニオイが出ていたんです」(中城さん・以下同)
「うつむき姿勢」「過度な緊張」「無言」が30分以上続くと危険信号
なぜ普段は口臭がないのに、デスクワークやスマホの操作中には口臭がするのか。中城さんが考えたのは、一つはスマホを操作しているときの姿勢です。
「スマホを長時間操作しているときの姿勢はご存じでしょうか? 視線はやや下向きになり、うつむいて首が前に出ている『ストレートネック』のような状態になっています」
さらに、この「うつむき姿勢」に、30分以上操作し続ける「過度な緊張状態」と「無言の時間帯の持続」が加わると、唾液の分泌量が大幅に減少するそう。つまり、唾液の分泌量が減っていることが、口臭の原因につながっているというのです。
「うつむいてストレートネックのような姿勢を長時間続けていると、唾液の分泌を促す『顎下腺』や『舌下腺』というところが圧迫を受けて、唾液の分泌量が減少してきます。さらに、過緊張状態が続くことで、体のバランスが崩れ、自律神経の交感神経(いわゆる『ストレス神経』)が優位になるため、唾液の量はますます減少。同時に、SNSやメール、ゲームなどに没頭していると人との会話が少なくなるため、表情筋や口輪筋の動きが滞ります。これも唾液の分泌量の減少につながります。
唾液は、口の中に潤いを与えるだけでなく、口内の細菌の増殖を抑え込み、口臭、虫歯、歯周病、感染症予防、食べ物の消化までしっかり助けて私たちの健康を守ってくれます。逆に言えば、唾液が減ると、細菌が増殖して口臭が発生してしまうわけです」