ダイエットの常識はどんどん変わっていきます。一昔前はカロリー摂取量を減らすことや有酸素運動をたくさんすることが必須条件のように言われていましたが、いまはこれらのことは必ずしもダイエット成功のカギではないと考えられるように。そこで、体重78kgから1年間で24kgのダイエットに成功、その後、トータルダイエットカウンセラーとして活動し現在ヘルスフードサイエンス研究家として活動中の大西ひとみさんに、最新のダイエット知識について解説してもらいました。
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多くの人が自分の体型管理に興味を持っているからこそ、日々さまざまな研究がされているのがダイエット。今回は皆さんのダイエット情報がアップデートできているかの確認として、“新しい情報”にぜひ目を通していただきたいと思います。
実は違ったダイエットの常識【1】果物は太る
果物は食べても太るとは限りません。以前は「果物は太るからダイエット中に食べない方がいい」と考える人が多かったです。その理由は、果物には糖質の一種である「果糖」が豊富に含まれているから。
果糖はそれ以上分解することができない「単糖類」と呼ばれる糖質の一種で、単糖類にはブドウ糖、果糖、ガラクトースがあります。なぜ果糖が多く含まれるものが太りやすいかというと、果糖を過剰に摂取すると肝臓で中性脂肪になり、肥満のリスクがあるため。
ブドウ糖は脂肪蓄積に至るまでにエネルギーとして使うことができる時間が果糖より長いことや、インスリン分泌で満腹中枢を刺激するので食欲が満たされやすいです。一方、果糖はブドウ糖に比べ、満腹中枢が満たされにくいためダイエットによくないと確かに言われています。
これらのことから「果糖をたくさん摂取すると太る」と考えられるようになりましたが、問題は「果物=丸ごと果糖」ではないのに「果物は太る」と考える人が多いこと。おそらく同じ「果」という文字が使われることから、そう連想する人も増えたのではないでしょうか。
そもそも果物の糖質は主にブドウ糖と果糖でできていて、ブドウ糖と果糖の比率は果物によってさまざま。例えばバナナは100gに対してブドウ糖2.6g、果糖2.4gで、ぶどう(皮なし)はブドウ糖7.3g、果糖7.1gと、糖質は果糖に偏っているわけではありません(文部科学省「食品データベース」参照、どちらも生の状態)。
加えて果物には、カリウムやビタミン、食物繊維など糖質以外のさまざまな栄養素が含まれています。
もちろん果物の食べ過ぎは太る原因につながりますが、適量を摂取する分にはむしろ体によいのです。ダイエット中こそ、果物は摂取したい甘味のひとつとしておすすめしたいです。
実は違ったダイエットの常識【2】はちみつは食べても砂糖より太らない
はちみつにはカルシウム、ビタミンB1、B2、葉酸、アミノ酸、ミネラル、酵素など多くの栄養素が含まれています。こうしてみると砂糖に比べると健康的で、ダイエットにも効果がありそうに思えます。スイーツなどに「砂糖ではなくはちみつを使って作られた」という謳い文句が書かれていると、太りにくい、体によさそうと思って手を伸ばしてしまう人も少なくないのでは?
近年の研究では、はちみつには糖質の一種であるトレハロースが多く含まれていて、このトレハロースは少量(1日10g程度)を摂取すると血糖値を下げてくれる効果があることがわかっています。また、果糖が多いはちみつのほうが砂糖より少量で甘さを感じやすいという特徴があります。
以上述べたように「太りにくい」要素が多くありますが、必ずしもそうとは言えません。太るか太らないかははちみつの種類も大きく関係しているからです。
その話を説明する前にまず、はちみつと砂糖のカロリーと成分を比較してみましょう。はちみつは100g中329kcalで、白砂糖は391kcal(食品データベース 文部科学省参照)とカロリーが大きく異なるとは言えません。また、成分は砂糖がブドウ糖と果糖が結びついたショ糖で作られていて、はちみつはブドウ糖と果糖が主に含まれています。
果糖を過剰に摂るのがダイエットにあまり良くないのは先に述べたとおりです。そして、この果糖の割合ははちみつの種類によって異なるのです。最も果糖が多いのがアカシアで、ブドウ糖が多いのがクローバーです。他の種類のはちみつでも、結晶しにくいはちみつは果糖が多く、結晶しやすいはちみつはブドウ糖が多いという傾向にあります。
もちろん、はちみつを多くとれば太ってしまう原因になります。砂糖より太らない、とは言い切れません。はちみつだからといって安心せず、摂取する量と種類に注意することがポイントです。