お酒を飲むと太ると言われていますが、お酒が好きなかたにとって、ダイエット中に一滴も飲めないのはつらいもの。今回は大のワイン好き! 体重78kgから1年間で24kgのダイエットに成功、その後、トータルダイエットカウンセラーとして活動し現在ヘルスフードサイエンス研究家として活動中の大西ひとみさんに、お酒との上手な付き合い方を教えていただきます。
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私は31歳まで一滴もお酒が飲めなかったんです。ですが、アメリカ留学中、現地で有名だったノブ・マツヒサさんのレストラン「Matsuhisa」のシェフに、「カリフォルニアに住んでいてワインを飲まないなんてもったいない」と言われ、半ば無理矢理飲まされた赤ワインに感動し、それ以降、帰国後も何度もサンフランシスコのナパ(全米No.1のワイン生産量を誇るナパ・カウンティのこと)に足を運ぶぐらいワインにハマってしまいました。以来、お酒の中でワインだけは大好きで、日々飲んでいます。
巷では「お酒は太る」と言われています。ただ、私はかれこれ20年近くワインを愛飲していますが、ワインを飲むことで太ると体感したことはありません。今回はアルコールの働きについて勘違いしてしまいがちなことや、私がお酒を飲みながらも太らないでいるために実践していることを紹介したいと思います。
実はお酒は血糖値をさほど上げない?むしろ血糖値の上昇をゆるやかに!?
ワインなどは糖質量が多いお酒と思われがちですが、100g中の糖質の量は、白ワイン2g、赤ワイン1.5g程度しかありません(糖質に食物繊維を含む。文部科学省 日本食品標準成分表2020年版参照)。ビールでも多いものでも3.1g程度です。同じ、100gの食パン(4枚切り1枚分に相当)であれば42.2gもあります。これからわかるようにお酒に含まれる糖質量はそれほど多くはありません。
それよりも、アルコールを摂取すると肝臓に蓄えられた糖をたくさん必要とします。肝臓でアルコールに含まれるエタノールを分解するときに体内の糖分を必要とするため、急激に血糖が消費され、血糖値が一時的に下がるという現象が体内で起きます。これは短期的に血糖値が下がるにすぎませんが、それ以外の理由でアルコールにより血糖値が下がることがわかってきています。
まだお酒が血糖値を下げる詳しいメカニズムは解明されていないようですが、お酒の摂取によってインスリンが過剰に分泌され、太る――とは限らないということがわかってきているのです。
それよりも、甘いものや、麺類を食後に食べてしまうことのほうが、糖質が体内で消費され、枯渇し、体が糖質を求めてしまうので注意すべし。これが太る原因になってしまいます。
お酒を飲んでも太らない方法【1】食べる前には飲まない
食事前に飲酒すると食欲が増してしまいます。ワインやビールといったお酒を摂取すると、ガストリンというホルモンが胃を刺激して胃酸の分泌を促し食欲を増進します。ビールはこれに加え、炭酸ガスやホップ成分が胃を刺激し、食欲増進作用が働くと言われています。
これにより、食事量が増え、それに合わせてお酒を摂取してしまうことにつながり、さらに代謝を落としてしまいます。また、アルコールによって枯渇した糖質を体が求めることで、炭水化物を摂りすぎてしまい、太る原因を作ってしまうのです。
私はよっぽどの理由がない限り、食前にワインを飲むことはしませんし、食事が終わったあとにだらだら飲み続けることもほとんどないので、食後に甘いものが食べたくなったり、ラーメンを食べたくなったりすることは全くと言っていいほどありません。
お酒を飲んでも太らない方法【2】一緒に野菜を食べる
野菜を食べる理由は、単にカロリーが低いからということだけではありません。野菜に多く含まれているビタミンCは、アルコールが肝臓で分解されたときに発生する毒性物質アセトアルデヒドの毒性を弱める働きがあります。
キャベツ、ブロッコリー、白菜、かいわれ大根などのアブラナ科の野菜に含まれるスルフォラファンと言うフィトケミカルには、肝臓の解毒機能を高める働きがあり、食物繊維はアルコールの吸収を和らげてくれます。またアルコールによる利尿作用により体内から排出されがちなカリウムを補うことができます。
玉ねぎ、にんにく、にらなどに含まれるアリシンという成分はアルコール代謝を助ける栄養素ビタミンB1の吸収をよくしてくれます。なので、私はいつもワインを飲む際は、特にさまざまな種類の野菜を生野菜、温野菜のかたちで摂取するように心がけています。
野菜は大きなくくりでは食物繊維を含む糖質類に分類されます。野菜をたくさん食べることで枯渇した糖質を補うことができているので、お酒を飲んでも特に甘いものが食べたくなったり、麺類やご飯類を食事のシメに食べたいと思うこともありません。
お酒は決して体によいとは言えない飲み物です。腸内環境を悪くしますし、肝臓でのアルコール分解が優先されて代謝が低下、代謝できなかったエネルギーは脂肪として蓄積されるので、決してダイエットにプラスの影響を与えることはありません。
けれども、アルコールと体の関係を何も知らずに摂取するのと、理解を深めたうえで摂取をするのとでは、飲み方も大きく変わってくるはず。お酒を飲むときは自分の体の声を聞いて、体にできるだけ負担をかけないよう嗜むようにしましょう。
◆教えてくれたのは:ヘルスフードサイエンス研究家・大西ひとみさん
9年間、米ロサンゼルスでパーソナルトレーナーとして活動後帰国。トータルダイエットカウンセラーとして7冊の本を出版、ダイエット商品・食品の商品開発の監修などをはじめさまざまなメディアで活動。2017年に自身のギルトフリースイーツブランド「h+diet(エイチプラスダイエット)」(https://h-plusdiet.com/)を立ち上げ、現在は東京・武蔵小山で『h+diet laboratory』をオープン。野菜を使い、甘味料・人工甘味料不使用、グルテンフリーの「栄養学から考えるオーガニックスイーツ」を販売、他社の商品監修などに携わるなどヘルスフードサイエンス研究家としても活動。
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