「よい芽が出る」「子孫が繁栄する」などの理由から縁起物としておせちに使われるクワイ。野菜ソムリエプロの福島玲子さんは「おせちの煮物だけでなく、揚げてもおいしく、クワイチップスなどおやつにするのも最適です」と話します。おいしいだけでなく、冬の時期が旬のクワイには栄養がたっぷり。どんな栄養があるのか、また野菜ソムリエプロ手製のクワイチップスのレシピを教えていただきました。
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年末年始のエネルギー補給に!クワイの栄養
でんぷんが多く含まれるクワイは、主成分が炭水化物で、野菜の中ではたんぱく質が豊富です。エネルギーを補給してくれる、クワイの栄養について解説します。
カリウムたっぷりでむくみ解消に効果アリ
クワイにはカリウムが豊富に含まれています。細胞の状態や血圧を調整して、よい体の状態を維持する役割のある栄養素です。ナトリウムを体外に排出する働きを促進するので、高血圧を予防、むくみ解消に役立ちます。カルシウムを骨に蓄積する効果を高める働きもあるので、骨粗鬆症の予防効果も期待できます。
また、たんぱく質は筋肉や臓器を作る栄養素であり、たんぱく質から筋肉や血液などが作られるときに必要なビタミンB6もたっぷり。ビタミンB6は、不足すると口内炎や貧血を起こしやすくなることがあるので、健康のために欠かせない栄養素です。
たんぱく質も野菜の中では豊富!
クワイは栄養成分が似ているさつまいもと比べると、たんぱく質の量は5倍ほど(「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」では、クワイ(茹で)は100gあたり6.2g、さつまいも(蒸し)は100gあたり1.2g)含まれています。エネルギー源となるたんぱく質は、筋肉や髪の栄養の元にもなります。
ほかにも、造血作用のある葉酸、新陳代謝に関わる亜鉛、骨や歯の形成に不可欠なリンなども入っています。
野菜ソムリエプロいちおし「クワイチップス」
おせちの煮物のイメージがあるクワイですが、チップスにするとおやつとして食べられます。アク抜きなしで調理がラクですし、じゃがいもやさつまいもとは違う食感と味がクセになるので、ぜひ試してみてください。
「クワイチップス」のレシピ
《材料》
クワイ…好みの量、揚げ油…適量、塩…少々
《作り方》
【1】クワイの芽を取り、スライサーで薄切りにする。
【2】揚げ油が160度になったら、クワイを入れてじっくりと揚げる。ほんのりきつね色になったら引き上げる。
【3】塩をふりかけて完成。
低温でじっくり揚げるのが、焦げを防ぎ、おいしく仕上げるコツです。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ