タレントの青木さやかさん(50歳)は、現在、作家・エッセイストとしても活躍中。昨年9月には『50歳。はじまりの音しか聞こえない: 青木さやかの「反省道」』(世界文化社)を上梓しました。48歳で経験した大失恋や過去を振り返りながら自身の問題をひも解き、赤裸々につづった本書は、青木さんが50代を迎えるにあたっての決意も感じられる内容になっています。それに関連して、青木さんが2012年から関わっている動物愛護への思いや、活動が自身にどんな影響を与えているのかうかがいました。
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動物と関わることで自分を整える
「子供に依存する可能性大だから、できるだけ子供じゃないところに何か、自分の居場所とか楽しさみたいなものをいくつも作っておきたいなっていう風に思っている」と語る青木さん。その居場所のひとつが動物愛護活動だといいます。本書で、男性に尽くしてしまい、見返りを求めてしまっていたと語っていた青木さんにとって、たくさん愛情を与えても見返りを期待しない動物との関わりは合っているのではないでしょうか。
「男性より動物がいい、とかそういうことではないです。ただ、相性というのはあるのかもしれませんね。でも、動物に関わるというのは大変です。体力的にも経済的にも。やろうと思えばどれだけでもやれるけれども、際限がないっていうか。あと何年頑張れば動物たちが全部救えるっていう目処も立っていない中で、ずっとやり続けるっていうことをたまに考えます」
そんな苦労を語る青木さんですが、動物愛護活動を続ける理由があるそうです。
「動物に癒されるよりも、癒せる人間になろうっていうことを教わりました。動物セラピーって言葉もあるんですが、学校に行けない子どもとか眠れない人とかが動物愛護センターに来て一緒に遊んで元気になるっていうケースを実際にたくさん見てきて。本当にセラピーなんだなって思うんですけど、逆を言うと動物も人間次第なんです。
人間に虐待された子はすごく凶暴になってしまう。でも、生まれつき凶暴な人もいなければ、動物もいないんですよね。人がどうやって関わるかで性格が変わっていくので、動物も人間と同じなんです。動物と関わることで自分を整える。私がこの本でも掲げている8つの反省道っていうのは、動物愛護からきているんです。自分がどう生きていきたいかっていうことの根本に、動物愛護で知った精神があります」
自分に合う人とだけ関わるということはしたくない
動物愛護の活動をしていなければ、今の自身の生き方や目指すところにたどり着かなかったかもしれない、と青木さんはいいます。
「全部イコールなんですよ。動物愛護っていうことを簡単に話すと、虐待がいけません、多頭飼い崩壊がいけません。殺処分がなくなればいいですよっていう話かもしれない。ですが、ストレスがたまると人は、弱いものにあたってしまうと思うんです。それを踏まえて、じゃあ、私の考える動物愛護はなんなのかというと、自分がどう生きるかっていうことに尽きる。人が常に安全安心で余裕がある中でいれば、弱いものを助けていける。でも、それが崩れた瞬間に動物とか子どもとか、ストレスの捌け口が弱いものに向かってしまう。だから私の動物愛護っていうのは、イコール反省道である、ということなのかもしれないと思っています」
つまり、自分を安全安心な状態にするために自身がどうすればいいのか、青木さんが考えて意識し、実践しているのが「反省道」ということ。自分に余裕が生まれ、周りに優しくいられる状態になるためには何をするべきなのか、自身を省みることがよりよい人間関係を築き、生きやすくなるコツといえそうです。
「自分が楽になるヒントを書いた本などもたくさんあると思うんですけれど、私のやり方として反省道というものが生まれたんです。私は誰かと距離を取ることも好きじゃなくて、例えば、自分を傷つける相手とは距離を取って、自分に合う人とだけ関わるっていうことはしたくない。そもそも誰かに距離を取られることが嫌なので、何か嫌なことがあっても自分に問題があって、自分が変わればいいと思うほうが楽というか。そういう生き方のほうが合っていると思うようになりました。これからも年齢に関わらず、いろんな人と関わっていきたいと思っているので、自分が整っている状態になれるように反省道を実践していきたいと思っています」
◆タレント・女優・青木さやかさん
1973年3月27日生まれ。愛知県出身。タレント・俳優・エッセイスト。大学卒業後、フリーアナウンサーを経てタレントになり、「どこ見てんのよ!」のネタでブレイク。2007年に結婚、2010年に出産、2012年に離婚。現在はバラエティー番組やドラマ、舞台などで活躍し、動物保護活動にも力を注いでいる。著書に『母』(中央公論新社)、『厄介なオンナ』(大和書房)、『母が嫌いだったわたしが母になった(KADOKAWA)など。最新著は『50歳。はじまりの音しか聞こえない: 青木さやかの「反省道」』(世界文化社)。https://twitter.com/aokisayaka0327
撮影/黒石あみ