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【得する熟年離婚のテクニック】夫の不倫やDVが原因で離婚…“慰謝料を増やす”ためにはプロの力を借りて決定的な証拠を集めることが重要、「一筆書かせる」ことも有効 

不倫やDVなどで離婚する場合は証拠次第で「慰謝料」の額を増やすことができる(写真/PIXTA)
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愛し続けると誓い合ったはずの夫婦でも、10年、20年が経って愛が薄れて不満が増え、「離婚」が頭をよぎる人は珍しくない。その思いを抱えたまま、やがて子育てに区切りがつき、夫が定年退職となったタイミングで、“第二の人生”を選ぶ女性が増えている。

証拠次第で「慰謝料」の額は上げられる

不倫やDVなど、明確に夫に非があって離婚する場合、証拠次第で「慰謝料」の額を増やすことができる。離婚カウンセラーの岡野あつこさんは「不倫の場合、これまでは夫と相手女性で合わせて300万円くらいが相場だった」と話す。

だが実際には、女性の社会進出が進んで自分で稼げる女性が増えていることなどから、不倫による慰謝料の平均額はここ5〜6年で100万円ほどに減っているという。慰謝料を上げるためには、お金をかけてでもプロの力を借りて決定的な証拠を集めるべきだと、専門家は口を揃える。

「DVやモラハラの場合は整形外科や心療内科の診断書、不倫の場合はラブホテルや相手女性宅に宿泊したことがわかる写真などが有効な証拠となっています」(岡野さん)

誰が見ても不貞行為があったと推測できるようなLINEのやりとりなども、有力な証拠になる。ベリーベスト法律事務所の弁護士・佐久間一樹さんが解説する。

「近年は、不貞行為の証拠はほとんどスマホに隠されています。かつては夫にマッサージをしてあげて寝落ちさせ、指紋認証を解除して証拠を見つけた策士な妻も」

慰謝料を増やすための戦略的熟年離婚の流れ
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決定的な証拠を押さえたら直談判を。この時点ではまだ離婚を切り出さず、夫の反応を録音しておこう。

夫が非を認め、それを録音できれば、いざ裁判となったときに不倫やDVが事実だと証明できる。

夫の反応次第ではこの時点で許す妻もいるかもしれないが、いずれにせよここで「一筆書かせる」ことを忘れてはいけない。

「可能なら、より法的効力の高い公正証書の形で“二度と不倫はしない、破ったら慰謝料を○○○万円払う”と残させること。同時に弁護士に依頼し、愛人側に働きかけるのも有効です。過去に“もう不倫相手であるあなたの夫とは会わない”と書いた愛人が不倫を繰り返し、慰謝料が520万円まで跳ね上がった例があります」(岡野さん・以下同)

「口紅のついたワイシャツ」「車に落ちていたイヤリング」などは、不倫を立証する証拠としては不充分。だが、こうした弱い証拠は、決定的証拠と組み合わせることで慰謝料を増額するのに役立つ。

「ホテルの領収書やクレジットカードの明細、花屋のレシートなど、どんな細かいものでも怪しいと思ったらすべて集めて保管しておくこと。1つの決定的証拠があれば、これらは数が増えるほど役に立ちます」

証拠集めに動いている間は「夫婦関係を破綻」させない

少しでも慰謝料を増額するためには、証拠集めに動いている間や別居中でも、「夫婦関係を破綻」させてはいけない。

「特に不倫の場合、“不倫によって家庭が壊された”と判断されなければ、相手の女性には慰謝料を請求できません。“私が旦那さんを好きになったときには、この夫婦はすでに関係が壊れていました”と言われないよう、たとえ夫に愛想が尽きていたとしても、そこはグッとこらえて“今日は何時に帰ってくるの?”とこまめに連絡するなど、献身的な妻でいましょう」

子供の誕生日に家族で写真を撮るなど、夫婦関係が破綻していないことを示す証拠も残しておくことが重要なのだ。

慰謝料の取り決めも必要に応じて専門家に相談し、証拠を用意しておくべき。取り決めた慰謝料、また養育費などについて「強制執行」を盛り込んだ公正証書をつくっておくことで、万が一支払いが滞っても、夫が働いていて定期的な収入さえあれば、給与の差し押さえで強制的に払わせることができる。ファイナンシャルプランナーの横川由理さんが言う。

「慰謝料を当人同士で取り決めると、支払いから逃げる夫は少なくありません」

※女性セブン2025年5月29日号

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