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《余計な一言で台無しに》【好かれるほめ方】を専門家が指南「比較するような言葉は使わない」「“若いのに”などの“~なのに”言葉はNG」

褒め合う夫婦
好かれるほめ方を専門家がレクチャー(写真/イメージマート)
写真9枚

ほめたつもりがなぜか相手を不快にさせ、丁寧に注意したつもりが“文句言い”扱いされたといった経験はないだろうか? 年を重ねるうちに価値観は変化するもの。時代に取り残されず、いつまでも人に好かれるための令和版コミュニケーションスキルとは? 「好かれるほめ方」を専門家がレクチャーする。

余計な一言がほめ言葉を台無しに

「シニアの場合はまず、『よくがんばったね』『えらいね』など、先輩風を吹かすような物言いや上から目線のほめ方をしないように気をつけましょう」

とは、日本メンタルアップ支援機構代表理事の大野萌子さんだ(「」内、以下同)。こういった言い方はほめ手が上の立場であるような印象を与えてしまう。加えて、ほめ言葉に自分の話を加え、称賛を台無しにしてしまうケースにも注意が必要だという。

「たとえば、持ち物をほめるとき、『そのバッグ、素敵ね』で終わらせればいいものを『私もこの間、○○の新作を買ったの』など、自分の話や感想などの余計な一言を足してしまう。これではマウントをとっているようにとられることも。ほめるときは『よく似合っている』など、いいなと思ったことだけを、余計な言葉を足さずに伝えればいいのです」

「若いのに」などの「~なのに」言葉はNG

性別や年齢を引き合いに出してほめるのは不適切なため注意が必要と、前出の大野さんは言う。

「たとえば、『お母さんなのに、おしゃれね』『男性なのに、自分でお弁当を作ってえらいわ』『70代なのに、パソコンに詳しいなんてすごいですね』などです。かつてはほめ言葉として通用したかもしれませんが、現在は不快感を持つ人が増え、失礼に当たります」

そもそも、“~なのに”という言葉には偏見と比較が含まれる。前述した通り、比較してほめるのはご法度なのだ。

また、うわべだけのほめ言葉も失礼に当たると、クレーム対応コンサルタントの川合健三さんは言う。

「本心がこもっていない無理なほめ言葉はいりません。本当にいいと感じたところを、少しオーバー気味にほめるのです」(川合さん)

価値観をアップデートして何度もほめるうちに、ほめ上手になれるもの。まずは家族などに試してみて。

具体例についてはこれから詳述するので参考にしてほしい。

こんなとき、どうほめる?《CASE1》見た目をほめるとき

【NG】「今日の服装は素敵ね」「髪形変えたのね。前より似合っているわ」

【OK】「今日の服装も素敵ね」「髪形変えたのね。さらに素敵になったわ」

ほめるときは比較するような言葉は使わない

ほめるときは比較するような言葉は使わない
ほめるときは比較するような言葉は使わない(イラスト/なとみみわ)
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服装や髪形などをほめるときは、他人はもちろん、過去に身につけていたものと比較しないこと。「『今日はいい』『前よりいい』では、言われた方は“前はイマイチだった”と否定されたような気分になってしまいます」(大野さん・「」内、以下同)

こんなとき、どうほめる?《CASE2》若く見える人をほめるとき

【NG】「若く見えますね」「○才には見えません」

【OK】「健康的ですね」「若々しくてうらやましいです」

年齢には触れず魅力だけ伝える

年齢には触れず魅力だけ伝える
年齢には触れず魅力だけ伝える(イラスト/なとみみわ)
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「年齢に対する感覚は人それぞれですし、こだわりを持っている人も多いので、年齢は話題にしないことが大切。『若く見える』=『若作りしている』という意味にとられる場合もあるので、『健康的ですね』などの言葉に変換を」

「若いのに」などの「~なのに」言葉はNG

性別や年齢を引き合いに出してほめるのは不適切なため注意が必要と、前出の大野さんは言う。

「たとえば、『お母さんなのに、おしゃれね』『男性なのに、自分でお弁当を作ってえらいわ』『70代なのに、パソコンに詳しいなんてすごいですね』などです。かつてはほめ言葉として通用したかもしれませんが、現在は不快感を持つ人が増え、失礼に当たります」

そもそも、“~なのに”という言葉には偏見と比較が含まれる。前述した通り、比較してほめるのはご法度なのだ。

また、うわべだけのほめ言葉も失礼に当たると、クレーム対応コンサルタントの川合健三さんは言う。

「本心がこもっていない無理なほめ言葉はいりません。本当にいいと感じたところを、少しオーバー気味にほめるのです」(川合さん)

価値観をアップデートして何度もほめるうちに、ほめ上手になれるもの。まずは家族などに試してみて。

こんなとき、どうほめる?《CASE3》あまり上手ではない手作り品をほめるとき

【NG】「上手!」「すごいね!」「○○円で売れそうだね」

【OK】「手が込んでいるわね。作るのは大変だったでしょう」「手作りのよさが伝わるわ」

作品を品評するのではなく手作りのよさに言及する

作品を品評するのではなく手作りのよさに言及する
作品を品評するのではなく手作りのよさに言及する(イラスト/なとみみわ)
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「無理にほめようとお世辞を言う必要はありません。こういった場合は、作品をほめるのではなく、『作るのは大変だったでしょう』など、手作りのよさや過程の苦労をねぎらう言葉を述べるのがおすすめです」(川合さん)

こんなとき、どうほめる?《CASE4》家事を手伝ってくれた夫や家族をほめるとき

【NG】「悪かったわね」「ありがとう。でも、もっとこうしてくれる?」

【OK】「ありがとう。助かったわ!」「○○までしてくれたのね。ありがとう」

文句や苦情は封印!感謝だけ素直に伝える

文句や苦情は封印!感謝だけ素直に伝える
文句や苦情は封印!感謝だけ素直に伝える(イラスト/なとみみわ)
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「してもらったことへの謙遜の気持ちから『悪かったわね』と言ってしまう人もいますが、感謝の気持ちを伝えるだけでOKです」(大野さん・「」内、以下同)。この際、小言やアドバイスもがまん。気持ちよくほめられることで次のお手伝いにつながる可能性も。

こんなとき、どうほめる?《CASE5》若い人をほめるとき

【NG】「若いのにしっかりしているね。私みたいなおばさんとは比べものにならないわ」「若いから肌がきれいね」

【OK】「しっかりしているね」「肌がきれいね」

年齢に関する発言は控え、ストレートにほめる

年齢に関する発言は控え、ストレートにほめる
年齢に関する発言は控え、ストレートにほめる(イラスト/なとみみわ)
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「『若いのに~』は、『若いから経験も知識もないと思うけど、その割にはえらいわね』といった、上から目線の発言にも聞こえてしまいます」。逆に過度なへり下りもかえって相手に気を使わせてしまうので気をつけたい。

こんなとき、どうほめる?《CASE6》他人の赤ちゃんをほめるとき

【NG】「かわいいお嬢さん(お坊ちゃん)ね」「ムチムチしていてかわいいわね」

【OK】「かわいいわね」「癒されるわ」「笑顔が何とも言えないわ」

性別や体格などに関する話題は慎むこと

性別や体格などに関する話題は慎むこと
性別や体格などに関する話題は慎むこと(イラスト/なとみみわ)
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「女の子なのに男の子に間違われるのを気にしている親もいれば、『ムチムチね』と言われてミルクの飲ませすぎなのかしらと悩む親もいます。赤ちゃんを含め、他人の子供をほめるときは性別や体格に関することは言わない方が無難です」

こんなとき、どうほめる?《CASE7》自分の子供や孫をほめるとき

【NG】「100点とってえらいね」「次もこの調子でね」

【OK】「毎日、勉強をしていたものね」「努力が実を結んだね。ばあばもうれしいわ」

結果ではなくやったことをほめる

結果ではなくやったことをほめる
結果ではなくやったことをほめる(イラスト/なとみみわ)
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「子供に限らず、成果を上げたときは結果でなく過程(行動や努力)をほめると、承認欲求が満たされ、意欲を向上させます。そうでないと、点数をとるためなら何をしてもいいなど、結果だけにとらわれる人になってしまうかもしれません」

こんなとき、どうほめる?《CASE8》店員をほめるとき

【NG】「スタッフなんだから知っていて当然ね」「セールストークがうまいわね」

【OK】「すごくわかりやすく教えてくれて助かったわ」「こちらの話を聞いた上で提案してくれてうれしかったわ。ありがとう」

うれしかったことを具体的にほめて!

うれしかったことを具体的にほめて!(イラスト/なとみみわ)
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「私の現役時代には、お客さまからおほめの言葉をいただくと臨時ボーナスが出たほど、お客さまからの言葉は重視されています。やってもらってうれしかったことなどを具体的にほめていただくと、店員のモチベーションにもつながります」 (川合さん)

◆日本メンタルアップ支援機構 代表理事・大野萌子さん

公認心理師・メンタルアップマネージャ(R)。著書『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)は51万部突破のベストセラーに。そのほか著書多数。

◆クレーム対応コンサルタント・川合健三さん

K.コム.トレード代表。34年間で2000件以上のクレーム対応に携わった元髙島屋お客様相談室長。主な著書に『クレーム対応以前の「お客様対応」 お怒り対応マニュアル』(ダイヤモンド社)など。

取材・文/鳥居優美

※女性セブン2025年6月26日号