
今から9年前に広瀬すず(27才)が主演し、「競技かるた」のムーブメントを巻き起こした青春映画『ちはやふる』の10年後を描く連続ドラマ『ちはやふる-めぐり-』(日本テレビ系、水曜午後10時)が、この7月からスタートした。18才でヒロインに抜てきされた當真あみとともに話題なのが、こぞって出演する前途有望な若手イケメン俳優たち。7月30日放送の第4話の放送回で初登場したのは、そんなイケメン男子高校生たちが揃う北央学園競技かるた部だ。その中で筋トレマニアの生徒・柊伊吹役を演じるのは、2023年の第36回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで審査員特別賞に輝いた漆山拓実、17才。現役高校3年生の新星が、インタビューに応えた。
――昨年の10月クールのABCテレビ系深夜ドラマ「年下彼氏2」で俳優デビューされ、今作が2作目ですね。
はい。実は、昨年6月にオーディションがあったのですが、当時は『ちはやふる』だとは知らされずに受けました。オーディションでは、「1人3役を演じわける」という課題が与えられ、自分なりに全力は出し切りましたが、すごく自信があったわけではなく。それでも、「ドラマ『ちはやふる』に合格」と報告を受け取ることができました。
もともと映画は全シリーズを見ていたので、「すごく大きな作品だ!」って、驚き、飛び上がりました。しばらくは信じられなくて、昨年の秋、全キャストで集まった稽古初日に、やっと実感が湧いたぐらいでした。
われても末に 逢はむとぞ思ふ
――どんな稽古を?
お芝居の練習はもちろんなのですが、競技かるたの稽古もやりました。礼儀作法、ルール、札の取り方などです。自分たち北央学園の5人と、主人公藍沢めぐる(當真)の梅園高校6人、瑞沢高校5人の計16人で、かるたの先生から教わりました。
ほかのキャストの皆さんは、すでにお芝居のキャリアもあるし、他のお仕事もあったのですが、当時の自分は誰よりもかるたに向き合う時間がありました。事務所のマネージャーさんたちにも協力してもらいながら、一緒に百人一首の全100枚を覚えることから始めて。その頃は、「誰よりもきれいに札を取ること」を目標に掲げて励みました。
――ご自身の公式インスタグラムでも、百人一首の中のお気に入りの歌を紹介されていましたね
そうですね。お気に入りというか、一番好きな歌があって、それが、百人一首第77番「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ」です。崇徳天皇が眺める宮殿近くの川で、流れてきた2つの葉が大きな岩のせいで別々の流れに分かれてしまったのですが、遠く離れたところで流れがまた1つに戻り、2つの葉が合流。その情景を人と人の別れと再会に重ね合わせているんです。人と人のつながりが薄くなる現代社会に、より刺さる歌だと感じています。
来年春に高校を卒業するので、親友たちとも離れ離れになってしまう。でも、いつか再会して一緒に仕事する日が来たりもするのかな、なんて想像しちゃっています。こんなことを考えるようになったのは、この役作りのおかげです。
人一倍稽古を積めたおかげで、撮影中にはひそかに「札の取り方の美しさでは、みんなに勝てた」って思えました。強豪校の北央学園の生徒役だったので、そんな「巧さ」を出せたと思っています。

――今作の見どころの1つは、9年前の映画シリーズの主要キャスト、広瀬すずさんや上白石萌音さんらも大勢出演するところですよね
自分たちの学校の先輩役として、映画に出演されていたヒョロさん(坂口涼太郎)が登場します。同世代の共演者や大先輩方から、多くを学びました。皆さんの現場での立ち振る舞いを見て、自分の足りない部分に気づけました。
例えば「センス」。脚本家さんが書かれたセリフを、皆さんはそれぞれのキャラクターに合わせて、表現されていました。自分は「なぜそんな表現をされたのですか?」などと、共演者の方たちにいろんな質問をさせていただき、たくさんのアドバイスをもらいました。
中でも座長の當真さんには感服しました。みんなが緊張しないようにと休憩中も声をかけ回っていらっしゃったし、泣くシーンでは、集中力を切らさないためにと、自分で自分を責める言葉を吐き続けていて。そのストイックな姿に、鳥肌が立ちました。本当に、今まで自分が知らなかった演技の世界に触れることができて、刺激だらけ。感化されまくりの毎日でした。
自分のことを一番大切にしてくれそうで
――筋トレマニアの役を任された一因は、オーディション時に「筋トレとサウナが趣味」とアピールしたからと聞きました。また、劇中では1人だけTシャツの腕をまくって肩を露出しています
プロデューサーさんは、自分のこの発言を覚えてくださっていたようで、役にも反映してくださいました。衣装も、自分だけタンクトップ仕様のTシャツを着ています(笑い)
――ところで、俳優を志したきっかけは?
小6のときに映画館で見た『キングダム』です。役者さんの演技に、そして物語に惹き込まれていきました。それは僕だけじゃなかったようで、エンドロールが流れると、映画館内に拍手が起こったんです。その時「こんなに人を感動させることができる人になりたい。拍手する側じゃなくされる側になりたい」と思いました。ただ、そのときは中学受験の真っ最中で、とにかく中学に入ることが最優先の時期だったので、具体的に動けたわけではありませんでした。
――どうやって芸能界へ?
高校に進学してしばらく経って、友人のお母さんから「ジュノンボーイ」のオーディションがあると教えてもらい、エントリーしてみました。
――芸能プロダクション数十社による争奪戦の末、今田美桜さん所属の芸能事務所に入りました。なぜ今の事務所を?
自分のことを一番大切にしてくれそうで、安心して仕事を頑張れると思ったからです。
――憧れの先輩、また今後の目標や夢は?
憧れの俳優さんは、坂口健太郎さん、菅田将暉さん、安藤サクラさん、そして『キングダム』の主演で、自分と誕生日が同じ山崎賢人さんです。中でも坂口さんは、雰囲気が似ているといわれたことがあって、嬉しいですし特に憧れています。
そして夢は、25才で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞して、海外進出することです。将来は、ハリウッドのアクション映画に出演したくて、今、英会話にも通っています。お芝居はもちろん、25才までに英語も完璧に習得してみせます。
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初々しさの中にも、力強いまなざしと言葉がしっかりと宿っていた。端正なルックスに知性と努力。備わる“能力”を全て生かして、スター街道を駆け上がっていく。





