「生前葬」を体験した熊本のローカルタレント山内要 式の終わりに去来した2つの感情「伝えたいことを伝えられてホッとした思いと、これで終わりかという寂しい気持ち」

その日は突然やってくるかもしれない。そうしたら、残された大切な人に別れを告げられずに旅立つことになる。しかし、「生前葬」をすればきちんと感謝を自分の言葉で伝えられると、実際に経験した人たちは言う。「生前葬」を行って何を感じ、これからの生き方についてどう考えるようになったのか、体験談を語ってもらった。
「ご自身の生前葬をしてみませんか?」
葬儀社から生前葬を広めるイベントを提案された際、熊本で活躍するマルチタレントの山内要(53才)は「複雑な思い」を抱いた。
「“生きているうちに葬儀なんて縁起が悪い”“お迎えが早まるのでは”という気持ちもわかり、複雑な気分でした。なので、日頃お世話になっているかたへの感謝の会として準備しました」(山内・以下同)
のべ300人が出席した会場にはサザンオールスターズやユーミンなどのポップな曲が流れ、お経はなし。献花後の懇親会では山内のキャラクターのひとつである演歌歌手・慶徳二郎が参列者と言葉を交わした。

終始和やかな式が終わると山内には「2つの感情」が去来したという。
「普段照れ臭くて言えない言葉を伝えられてホッとした思いと、“これで終わりか”という寂しい気持ちで、エンディングノートを書き終えたときの感情に似ていました。ノートは、家族や友人へのメッセージ、自分の生い立ちや老後に関する部分はなかなかペンが進まず、書き終えると安堵しつつも悲しい気持ちが湧きます。どちらも、“自分の死”を具体的に考えさせられるからかもしれません」
人は急に亡くなることも多いが、きちんとお別れできることが生前葬の大きな利点と山内は語る。
「伝えたいことを伝えられ、笑いあり涙ありで和やかにお別れできる。自分でアレンジできる面も生前葬の可能性を広げると思います」
【プロフィール】
山内要(やまうち・かなめ)/芸人・終活アドバイザー。22才で上京し、芸人として活動。30才で熊本県に帰郷。以降、熊本のテレビやラジオに出演しているほか、終活アドバイザーとして多くのイベントで講演会を行う。
※女性セブン2025年9月25日・10月2日号


