
全身に張り巡らされた“人体最大の臓器”血管が不調に陥ると、十分な酸素や栄養が全身に回らず、突然死に繋がりかねない。抗酸化作用と脂質を見直したスープで、長持ちする血管作りを始めよう!
抗酸化作用で老化予防
「加齢と共に血管は老化し弾力を失いますが、対策すれば、100年長持ちするしなやかな血管作りが可能です」とは医学博士・池谷医院院長さん。
「血管の老化は動脈硬化の原因に。動脈硬化は血管を詰まらせ、心筋梗塞などの重病リスクを高めますが、脂質を上手に摂り、抗酸化や減塩を心がければ、進行を遅らせ、血管の若々しさを取り戻すことができます。スープは栄養を無駄なく摂れ、手軽で続けやすいのでおすすめですよ」(池谷さん)
「トマト納豆クッパ風」のレシピ
《作り方》(2人分)
【1】トマト(大)1個は乱切りにする。えのきたけ100gは根元を切り落とし、長さを半分に切る。
【2】納豆2パック(80g)は酢大さじ2を加えてよく混ぜる。
【3】鍋に大豆もやし1/2袋(100g)、えのきたけ、トマトジュース(無塩)2カップ、白だし大さじ2を入れて中火にかけ、5分煮る。
【4】トマトを加えてさっと煮たら器に盛り、【2】を加える。小口切りにした長ねぎ3cm分をのせ、白ごま小さじ1、こしょう少量を振る。
脂質をコントロールして血流を改善し“詰まらない”血管に
エネルギー源として欠かせない脂質ですが、過剰摂取により中性脂肪や悪玉コレステロールが増えると血管にダメージを与えてプラークを作り、詰まりの原因に。良質な油の摂取を心がけて。
オメガ3系の油と食物繊維で余分な脂質を出し血管を強化
「青魚やナッツ類に豊富なオメガ3系の油は中性脂肪の減少に効果的。また血流を改善するポリフェノールなどを含む豆類、余分な脂質を排出する食物繊維が豊富な野菜やきのこ類をバランスよく摂ることが重要です。食物繊維が豊富なスープは食前に飲むと、脂質や糖の吸収をゆるやかにしてくれます。
食材は『あくを取り除かない』『皮ごと調理』で栄養を逃さず摂取できますよ」(管理栄養士の清水加奈子さん)
「さばとアーモンドミルクのカレースープ」のレシピ
カレー粉の主成分が血栓を溶かし、さばで血液サラサラに。

《作り方》(2人分)
【1】マッシュルーム4個は薄切りに、にんじん1/4本は細切りに、にら1/3束は3cm長さに切る。
【2】鍋にオリーブオイル大さじ1、せん切りにしたしょうが1片分、カレー粉小さじ2を入れて弱火で炒め、香りが立ったらさば水煮缶1缶、アーモンドミルク2カップ、【1】、コンソメ(顆粒)小さじ1を加えて、野菜がやわらかくなるまで5~6分煮る。塩適量で味を調える。
《Point》
魚のEPA、DHAが血中の脂質を下げ、血管をやわらかく保つ。カレー粉に含まれるクルクミンが血栓を予防し、血管の柔軟性を高める。
「かぼちゃとくるみのけんちん汁」のレシピ
かぼちゃのビタミン、玉ねぎのケルセチンも血流改善に◎。

《作り方》(2人分)
【1】かぼちゃ100g、玉ねぎ1/4個、しいたけ2枚、木綿豆腐1/3丁(100g)は2cm角に切る。くるみ30gは粗く刻む。
【2】鍋にごま油小さじ2、かぼちゃ、玉ねぎ、しいたけ、くるみを入れて弱火で炒め、全体に油がまわったら水2と1/2カップ、顆粒和風だし(食塩不使用)小さじ1、豆腐を加えて中火で10分ほど煮る。
【3】野菜がやわらかくなったら、しょうゆ大さじ1、みりん小さじ1で味を調える。
《Point》
ナッツ類でも特に血液サラサラに作用するくるみ。α-リノレン酸がコレステロールの吸収を抑え、血栓を予防。
「もち麦とシーフードの根菜スープ」のレシピ
豊富な食物繊維が脂質の過剰な吸収を阻止。

《作り方》(2人分)
【1】大根100gは皮つきのまま、ごぼう50gは軽く皮をこそいで、それぞれ1.5cm角に切る。冷凍シーフードミックス100gは解凍して水気を拭く。もち麦50gは水でさっと洗う。
鍋に水3カップ、鶏がらスープの素小さじ2、大根、ごぼう、もち麦を入れて蓋をし、中火にかける。煮立ったら弱火にしてさらに15分ほど煮る。
【2】具材がやわらかくなったら、シーフードミックスを加え、温まるまで煮る。塩・こしょう各適量で味を調えて器に盛り、乾燥パセリ少量を散らす。
《Point》
βグルカンが豊富なまいたけが血中のコレステロール値を低下させる。大豆に含まれる大豆サポニンには血流改善効果も。
「ミックスビーンズときのこのポトフ」のレシピ
ゴロゴロ野菜と豆で腹持ちがよく置き換えスープにも。

《作り方》(2人分)
【1】まいたけ1パックはほぐし、ブロッコリー100gは小房に分ける。
【2】鍋に水2と1/2カップ、コンソメ(顆粒)小さじ2を入れて中火にかけ、煮立ったら【1】、ミックスビーンズ缶1缶(100g)、へたを取ったミニトマト8個を加えて7〜8分煮る。塩適量で味を調える。
《Point》
もち麦や根菜の食物繊維が脂質に吸着し、体外に排出。血糖値の上昇をゆるやかにし、余分な糖質が中性脂肪になるのを防ぐ。
「焼きパプリカと鮭のみそ汁」のレシピ
鮭の赤い色素の素“アスタキサンチン”が血中の脂肪の酸化を防ぐ。

《作り方》(2人分)
【1】ピーマン2個、パプリカ(黄)1/4個は種をとり、縦に3cm幅に切る。生鮭2切れ(200g)はひと口大に切り、酒小さじ2、塩適量を振って5分おき、水気を拭く。長ねぎ1/3本は3cm長さに切る。
【2】鍋にオリーブオイル大さじ1、【1】を入れて焼き目をつける。
【3】水2と1/2カップ、顆粒和風だし(食塩不使用)小さじ1を加えて中火で温め、みそ大さじ2を溶き入れる。
《Point》
鮭のアスタキサンチンは血管をやわらかく保ち、心臓病の予防に効果的。オリーブオイルのビタミンEは血栓を防ぎ、血行改善にも作用する。
◆教えてくれたのは:医学博士・池谷医院院長 池谷敏郎さん
血圧や動脈硬化について研究。臨床の現場に立つ傍ら、メディア出演もこなす。近著は『高血圧、脳卒中、心筋梗塞をよせつけない!「100年血管」のつくり方』(青春出版社)。
◆教えてくれたのは:管理栄養士 清水加奈子さん

国際中医薬膳師、調理師などの資格も持つ。ダイエットレシピや中医学に基づいた薬膳料理などが得意で雑誌や企業へのレシピ提案など幅広く活躍。
撮影/菅井淳子 スタイリング/木村柚加利、三谷亜利咲 撮影協力/UTUWA
※女性セブン2025年10月9日号