
「説明言葉やナレーションが少ない」「目線やしぐさの演技が多い」など、NHK連続テレビ小説『ばけばけ』は従来の朝ドラとは逆の演出で人気を博し、朝から視聴者をテレビに釘付けにしている。小泉八雲の妻・セツをモデルに描いたストーリーは、さまざまな悩みを抱えた現代人の胸を打つ。ヒロインを務める高石あかりにインタビューした。
幼い頃から朝ドラヒロインを演じることが夢
ヒロインの松野トキを演じる高石あかり。幼い頃から朝ドラヒロインを演じることが夢だった。
「朝ドラヒロインは、困難を糧として前向きに未来に進んでいくところが魅力だと思っています。そんな朝ドラヒロインに選ばれて、撮影が進んだいまでも毎日、夢のような気持ちです。つらい中でも前を向くトキの姿を見て、皆さんにも朝から前向きになってもらえたらうれしいです」

トキのモデルになったのは、小泉八雲の妻・セツ。参考資料は多くはないが、演じる上で欠かせない一冊の資料があるという。
「私がセツさんを知る上で大切にしているのが、ご自身が書かれた『思ひ出の記』という本です。セツさんから見た八雲さんの姿がたくさん描かれていて、読んでいると、夫婦の愛情深さや、八雲さんを守ろうとする強さがすごく伝わってくるんです。そんなセツさんのカッコよさに憧れます」
物語の序盤から、トキの人生はかなり壮絶だ。そんな中でも彼女はなぜ強くいられたのだろう。
「大変なことはたくさんありますが、そんなことよりとにかく生きていかないといけないから…ですかね。落ち込んでる時間もないくらい、やらなければならないこと、助けなければいけない人が目の前にいるから、ただやるしかないという気持ちが根底にあるのでは。私自身、トキと性格が似ているので、そう感じます」

とはいえ、物語を取り巻くムードは暗いばかりではない。そこが脚本家のふじきみつ彦さんのすごさだ。
「トキの人生は壮絶ですが、その中でも笑い合える家族や仲間がいるというのは序盤から描かれています。さらに物語が進むと、本当に大きな出来事が何もなくなるんです。先日放送された第8週では、皆でただスキップするだけという回もあったのですが、SNSで『スキップ』がトレンド1位になるほどの反響でした。朝ドラとしては一風変わった脚本ですが、面白さが詰まっています」
トキの夫・ヘブンを演じるトミー・バストウとの関係も良好のよう。
「トミーさんはずっと独学で日本語を勉強されていて、日本が大好きでいらっしゃるのがうれしいです。あとジャーキーがお好きで、私がどこかに行ったときにお土産にジャーキーを買っていくと、すごく喜んでくれます(笑い)」
夢の舞台で一流の女優に“化ける”彼女の熱演に、この先も期待!
◆高石あかり
たかいしあかり/2002年12月19日生まれ。宮崎県出身。2021年公開の映画『ベイビーわるきゅーれ』で映画初主演。今作では朝ドラ史上3番目に多い2892人のオーディションを勝ち抜き、ヒロイン・松野トキ役を射止めた。

連続テレビ小説『ばけばけ』
毎週月曜~土曜 NHK総合午前8:00~8:15ほか
※土曜は一週間の振り返り
スタイリスト/金田健志 ヘアメイク/坂本志穂 取材・文/井上明日香
※女性セブン2025年12月11日号