健康・医療

《腸の老化防止》便秘やガス腹解消、肌トラブル改善!くびれ出現も 1~2分でできる「腸トレ」「腸もみ」のやり方

お腹を触っている
腸トレや腸もみの健康効果とは?(写真/PIXTA)
写真5枚

「すべての病気は腸から始まる」――医学の父といわれる古代ギリシャのヒポクラテスの言葉だ。加齢で腸の老化が進むと、体調が悪化して肌荒れやむくみ、肥満など見た目も劣化してしまうばかりか、命の危険がある病気のリスクも上がる。腸を若返らせるための方法を、腸のプロたちが伝授する。

肌荒れやむくみ、不眠や倦怠感など、病院に行くほどではないが、なんとなく体調が悪い。季節の変わり目で疲れやすいだけかも…と油断していても、それは自律神経の乱れから腸の状態が悪くなっていることが原因かもしれない。腸内環境の悪化が、さまざまな体調不良や病気につながっていると指摘するのは、順天堂大学医学部教授の小林弘幸さんだ。

「現代人の生活リズムは自律神経が乱れやすく、気温や気圧の変化が大きい季節の変わり目は、特にその傾向が強くなる人が多いです。交感神経が優位に傾くと、消化器官の血流が悪くなり、消化機能が低下。腸のぜん動運動の活動量も低下して、さまざまな不調を招きます。

腸内環境が悪化すると、アンモニアや硫化水素などの毒素が体内にたまります。すると腸の状態がさらに悪くなるだけでなく、その毒素が血流に乗って全身にまわり、消化器の症状である便秘や下痢のほか、倦怠感や肌荒れ、むくみ、不眠、口臭などの体調不良につながってしまうのです」

命の危険がある病気のリスクも上がり、生活の質(QOL)を下げてしまうことにも直結する。

「便秘は動脈硬化を加速させるので、頭痛やめまい、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞、大動脈瘤破裂の危険が高まるほか、大腸がんや認知症のリスクも高めると考えられています。また、便秘になると精神的にも肉体的にもQOLが下がり、労働生産性も低下するというデータもあります。アメリカで行われた調査では、便秘の人はそうでない人に比べて、10年後の生存率が約12%、15年後の生存率が約20%低かったという結果もあるのです」(小林さん・以下同)

便秘解消や尿漏れの予防にも

自分の“不腸”に少しでも自覚がある人に小林さんがおすすめするのが、腸のぜん動運動を活性化させるトレーニング(画像参照)だ。このたった1〜2分の簡単な動きをするだけで、腸を刺激して、骨盤の位置を整えられるという。

「一部が骨盤の中におさまっている腸は、骨盤が傾いたり、骨盤底筋が衰えていると垂れ下がりやすくなり、働きも低下します。この動きをすることでそのズレを正し、骨盤底筋を整えて腸を活性化できる。腸のぜん動運動が活発になるうえ、尿漏れの予防にもなる。

大腸の四隅は便が滞りやすい部分なので、そこを手でぎゅっとつかんで腰を回すことで外側からも直接刺激でき、便を押し出すマッサージ効果もあります」

このトレーニングを毎日続けることでぜん動運動が活発になり、体内に老廃物がたまりにくくなる。

腸の老化が抑えられることで、心も体も若々しく保たれ、“健康腸寿”につながるのだ。

「老廃物がたまりにくくなり、腸内環境がよくなって、便秘や下痢などお腹のトラブルが改善されるだけでなく、免疫力も上がる。その結果、肌のトラブルや肥満解消といった見た目のアンチエイジングにつながるほか、風邪やアレルギー、動脈硬化、大腸がん、認知症などさまざまな不調や病気を遠ざけることができます」

毒素が排出され免疫も活性化

腸は骨に囲まれておらず、臓器の中で唯一皮膚の上から手で触ることができる。養腸家で腸セラピストの真野わかさんは「せっかく手で触れる場所にあって心地よくなれるのだから、もんであげて」と語る。

「たとえば心臓や肺などは肋骨に覆われていて、子宮や卵巣は、体の奥の方にある。人間の体のつくりは、もんではいけない臓器は手で触れない場所に格納されています。腸は手で触れる場所にあって、もむことで心地よくなれる。体のトラブル改善にも役立つので、ぜひ短時間でも丁寧にもんでください」(真野さん・以下同)

ただし、一言で「腸もみ」といってもさまざまな方法があり、やり方を間違えれば逆効果にもなりかねない。真野さんは「痛みをともなうほど、もんではいけない」と言い添える。

「痛みを感じるほど強い腸もみをおすすめする人もいますが、そんな必要はまったくないばかりか、逆効果だと思っています。腸という臓器は、リラックスしていて副交感神経が優位なときに本来の活動ができる。腸をもむことでリラックスするのが狙いのはずなのに、痛くしてしまうとむしろ体を緊張状態にしてしまいます」

たった1〜2回でウエストにくびれが

真野さんが大切にしているのは「心地いいと感じる」もみ方だ。

「腸は疲れると冷えて硬くなりますが、リラックスした腸は温かくやわらかくなり、血行が促進されて免疫細胞が活性化。便通や下痢が改善して、体に必要な栄養がきちんと吸収され、便通が整うことで不要な老廃物はしっかりと排出されるようになります。腸内環境を整え、いい便をつくるのには欠かせないビフィズス菌の働きが高まる効果も期待できます」

真野さんが施術をしてきた人の中には、その場ですぐに効果を実感できた人もいたという。

「もともと大して不調がないという人ほど即効性があります。腸もみでお腹がぐるぐる動き出してトイレに駆け込んだかたが印象に残っています。10年以上毎日下剤を使っていたのに、私が3日連続で腸もみをしたところ、3日目からは自力で排便できるようになったというかたもいました」

自宅で腸もみを続けることで、便秘が解消するだけでなく見た目のアンチエイジングにもつながるという。

「たった1〜2回もんだだけでむくみがとれて、ウエストにくびれができたり、ガス腹が改善したというかたもいます。標準体重のかたが3か月ほど腸もみを続けて、体重が3kg落ちたというケースもある。ストレスが減って暴飲暴食がなくなり、メンタルや体重が安定、睡眠の質もよくなり、結果的に肌のトラブルがなくなったり太りにくくなるなど、内面だけでなく外見のアンチエイジングにも役立ちます」

1日1分でも効果が期待できるという腸もみだが、どの程度続けると実感しやすいのか。

「食後すぐのタイミングを避けて1日1分を3日から1週間続けると、体が温まりやすくなった、深い呼吸ができるようになったと実感できるかたが多いです。不調が多いかたでも1か月から3か月程度続けると変化が実感できるケースが多いです。

『1日数分の腸もみを2〜3週間続けたことで、50年以上続いていた便秘が解消した』という声を聞いたときは、私もうれしくなりました。頑固な便秘など不調が長く続いている場合は改善にも時間がかかる。すぐに効果が実感できないからと諦めずに続けてほしいです」

腸のぜん動運動を活性化させるトレーニング

【1】足を肩幅に開いて立ち、左手は肋骨のすぐ下、右手は腸骨のすぐ上をぎゅっとつかむ。便がたまりやすい大腸の四隅をつかむイメージで。

お腹をつかんでいる
お腹を対角線上につかむ(イラスト/sashimi)
写真5枚

【2】1周を5〜6秒かけて、左回り、右回りともに8回ずつ回す。お尻の穴を軽く締めた状態で行うと体の軸がぶれずに回しやすい。終わったら、手の位置を入れ替えて同様に行う。

腰を回している
お腹をつかんだまま、骨盤を大きく回す(イラスト/sashimi)
写真5枚

「小腸もみ」のやり方

【1】手のひら全体で小腸を包み込むイメージで、手を重ねてへその上に置く。

【2】手首を回すようにへその周りをもみほぐす。

【3】へその周りをぐるりと押し込んでいくようなイメージで、息を止めずに行う。

お腹をさすっている
小腸もみのやり方(イラスト/sashimi)
写真5枚

「大腸もみ」のやり方

利き手を下にして、逆側の手を人差し指、中指、薬指の第一関節が重なるように合わせる。腸骨の右側から、下の【1】〜【5】の順番で大腸に沿って押しもんでいく。

【1】右腸骨の内側→【2】右肋骨の下→【3】みぞおちの下→【4】左肋骨の下→【5】左腸骨の内側

【5】はほかの場所よりもしっかりと、ぐるぐると小さな円を描くように刺激する。

お腹をマッサージしているさ
大腸もみのやり方(イラスト/sashimi)
写真5枚

※女性セブン2026年5月7・14日号