
年を重ねれば老化は避けられない。だからこそ「どうせ、もう年だし……」とあきらめる人は多いだろう。しかし、そのスピードはちょっとしたことの積み重ねで遅くすることも、また逆に加速させてしまうこともある。老いを緩やかにすることなら誰にでも可能なのだ。専門家にその分かれ道について聞いた。【全5回の第5回。第1回から読む】
老化を進めかねない不必要な検査
健診・検診は重篤な病気を早期発見するために役立つが、時には老化を進めかねないこともある。熊本リハビリテーション病院サルコペニア・栄養支援センター長の吉村芳弘さんが言う。
「年齢から考えると不必要な検査をして生活の質が下がったり、本当は病気ではないのに間違って陽性と診断される偽陽性が生じて不安が募ったりすることがあります。たとえば体に大きな負担がかかる大腸内視鏡検査は、シニアなら何度も受ける必要はありません。不安をあおられて何度も検査して、結果的に体力を浪費するケースが多く見られます」
高齢になると服用機会が多くなる薬により、認知機能の低下や物忘れなどが進むリスクもある。薬剤師の三上彰貴子さんが語る。
「脳に直接作用する睡眠薬や精神系の薬、抗コリン作用のある総合感冒薬などを服用すると眠気やだるさ、無気力さが生じることがあります。また、便秘薬などでマグネシウムが含まれる薬を長期間のみ続けると、高マグネシウム血症になる恐れがあります」

年齢を重ねるほど診療科が増えて多剤になりやすく、のみ合わせや薬効が出すぎるなどのリスクも生じる。
「一般論として薬が多いほどデメリットも増えていく。もともと高齢者は高血圧の薬が効きすぎてふらつきや立ちくらみが生じる恐れがあるので、多剤併用には特に注意が必要です」(吉村さん)
老化を進めそうな薬は自己判断せず、不安があれば必ず医師に相談してほしい。
一方で、この先は老化を食い止める「夢の薬」が現れるかもしれない。
「糖尿病治療薬のメトホルミンは心疾患イベントや認知症のリスクを低下させる研究データがあり、アメリカではその効果を期待して自費で服用する人もいるそうです。日本ではまだ周知されていませんが、今後は老化現象の進行を抑える可能性のある薬が出てくるかもしれません」(三上さん)
老化の分かれ道は実は目の前にある。老化が進む生活習慣をしているか、老化を緩やかにする行動がとれているか—どちらに進むかは、あなた次第なのだ。

※女性セブン2026年7月2日号