
9月1日以降、雪印メグミルクやニッスイ、キッコーマン、551蓬莱などの飲食料品だけで約4500品目(帝国データバンク『「食品主要195社」価格改定動向調査―2026年8月』より)を超える値上げが始ままっている。度重なる値上げによる家計負担は1人あたり2.2万円増との試算もある(第一ライフ資産運用経済研究所/2026年1月)。せめて、増えた負担額だけでもお金を捻出したい──そのための具体的な節約術を賢人たちに聞いた。
政府は来年4月から、食料品の消費税率を1%にまで引き下げ、その1%を中低所得者に給付することで、食料品の消費税率を“実質ゼロ”とする方針を閣議決定した。しかし、この政策は2年間の期間限定で、家計への影響はさほど期待できないとみられている。つまり、今後も常に節約を心がけなければならない。
食費とスマホ代を確実に減らす
これまでもさまざまな工夫を続けてきた私たちは、さらに何を節制できるのか。
「月約2万円の節約を目指すなら、食費15%、水道光熱費10%、通信費25%、ガソリン代20%の削減を目指すのが現実的です」(節約研究家・小松美和さん)
なかでも減らしやすいのが、食費と通信費(スマホ代)なのだという。
「食費の節約でいえば、冷凍やレトルトなどの加工食品、総菜などを買わないことが大前提。人の手がかかっている分、値段が高いので、自炊が基本です」(時短節約家・くぅちゃんさん)
直接廃棄や食べ残し、皮を厚くむきすぎる過剰除去といった「食品ロス」を防ぐだけでも、食費の約5%は節約できるという。
一方、スマホ代についてはプランの変更や携帯会社の乗り換えがおすすめだ。
「半額以下になることもあるので、必ず実践してください」(節約アドバイザー・丸山晴美さん)
がんばっても節約効果が出にくいのが、水道光熱費。冷房のように、使用を控えると命にかかわることもあるので、ほどほどにしよう。

食費の節約術
「総務省統計局の2025~2026年『家計調査』を参考に計算すると、食費は1人世帯で月平均約4万5000円、2人世帯では約8万7000円、4人世帯で約10万5000円。この金額を基準に月15%程度の削減を目指しましょう」(丸山さん)
【食費1】週に1~2回のまとめ買いを
無駄遣いしないためにも、「買い物の回数はできるだけ少なく」というのが、節約賢人たち共通のアドバイスだ。
「とはいえ、週に1回の食材のまとめ買いと作り置き用の保存料理作りはハードルが高いので、最初は週に2回でもかまいません。慣れたら週1回に」(丸山さん)
【食費2】買うものか予算を決めておく
「事前に『買うもの』か『予算』をしっかり決めてから買い物へ」(家事アドバイザー・矢野きくのさん)
これを絶対に守ることが大切。
【食費3】野菜は丸ごと買う
大根やキャベツなどのカット野菜は損だと言い切るくぅちゃんさん。
「丸ごと買って、浅漬けや冷凍保存にし、使い切りましょう」
【食費4】菓子・酒より食材を先に買う
「食料品は買う優先順位を決めておきましょう。最初に野菜、肉・魚、卵・豆腐など、自炊に必要な食材を選び、余裕があれば調味料や乾物、缶詰など保存がきく食材を買うのがおすすめ」(丸山さん)
菓子や酒などの嗜好品は、予算が余ったら買うなど後回しに。
【食費5】下ごしらえは朝食時に少しでもやる
忙しいときには便利でも、加工食品や総菜は節約の敵。
「土日や時間があるときにまとめて下ごしらえし、冷凍できるといいのですが、朝食の準備のときに夕食用の食材を切ったり、野菜や卵をゆでたりしておくだけでも、夕食の調理時間が短縮できます」(くぅちゃんさん)
【食費6】外食やコンビニの利用回数を減らす
外食にかかる費用は、ランチで1人約800〜1000円未満、ディナーで約2000〜3000円未満がボリュームゾーン。できるだけ行く回数を減らそう。
「コンビニエンスストアの商品価格は、スーパーマーケットの倍近くすることもあるので、立ち寄らないようにしましょう」(小松さん)
【食費7】空腹で買い物に行かない
「空腹時は余計なものを買いがち。また、家族と行くと、予定外のものを買いやすいので、空腹時を避けてひとりで行くこと」(丸山さん)
【食費8】株主優待券を活用
株式投資をしている場合、好きな飲食店の株を買って株主優待券を入手すると節約につながる。
「わが家はマクドナルドと丸亀製麺の優待券を利用しています。マクドナルドからは年に約1万2000円、丸亀製麺からは約6000円の優待があります」(くぅちゃんさん)
【食費9】飲み物を買うなら水か牛乳
「ジュースや炭酸飲料などを購入すると食費が高くなるだけでなく、糖質の摂りすぎで健康にもよくないので、私は購入しません。水分補給は水。ただし、牛乳は常備しておき、ジュースが飲みたくなったら、満腹感が得られるバナナジュースなどを作ります」(小松さん)
【食費10】週1回は食材を整理する
「金曜日までに冷蔵庫にある食材はほとんど食べ切るように献立を立てています。長く冷凍すると風味が落ちるので、冷蔵室と同時に冷凍室もチェック。週末は庫内をきれいに掃除してからスーパーマーケットへ。週1回の食材整理で、無駄が減らせます」(くぅちゃんさん)
【食費11】プライベートブランドを活用
小売業者や卸売業者が独自に開発して販売するのがプライベートブランド(PB)商品。ナショナルブランドと品質はさほど変わらないのに、値段が安い。
【食費12】支払いはキャッシュレスで
「現金払いはポイントがつかないので支払いはクレジットカードで」と口を揃える5賢人。クレカは1枚にまとめてポイントを集約しよう。
【食費13】お菓子などの買い置きはしない
「子供や孫のため、お菓子を常備している家庭も多いですが、買い置きは賞味期限切れになる可能性もあるので、菓子などの嗜好品は必要なときに必要な分だけ買いましょう」(丸山さん)
アルコール類のケース買いにも注意。あると飲みすぎてしまいがち。必要な分だけ買おう。
【食費14】ミールキットは割高なので控える
冷凍やレトルトといった加工食品の中でも、ミールキットは食材が揃っていて時短調理でき、忙しい人には便利。だが、どうしても高くつく。
「出来上がり量も少ないので、タイパはよくてもコスパは悪い。食べ盛りの子供がいる家庭には特に不向きです」(くぅちゃんさん)
【食費15】かさまし食材を活用
「もやしやきのこ類など、1年を通して安価で体にもいい食材を有効活用し、おかずのかさましや、作り置きをしておくのがおすすめ」(くぅちゃんさん)

【食費16】レシピはAIにお任せ
「節約レシピは、AIに考えてもらえばいい」と矢野さんは言う。予算、人数、品数などを入力すれば、条件に合った献立を立ててくれる。

「おいしいレシピを作ってもらうには、調理のプロや食品メーカーのレシピを参考にするよう伝えることです」(矢野さん)
通信費の節約術
通信費には、固定電話代やスマホ代、プロバイダ料金、郵便料金などが含まれる。なかでも節約効果が大きいのはスマホ代。1人月額3500円以内を目安に契約会社やプランを見直そう。スマホがあるなら固定電話を解約するのも手。
【通信費1】定期的にスマホ関連の情報収集を
スマホのプランは頻繁に変更され、格安スマホ会社は増減を繰り返している。
「常にお得にスマホを使おうと思ったら、現状に満足せず、情報収集を欠かさないこと。年に1回はショップを訪ねるなどして、何か動きがないかアンテナを張り巡らせましょう」(小松さん)
【通信費2】格安のスマホに契約を変更する
スマホを格安で利用するには、「IIJmio(アイアイジェイミオ)」のように、大手通信会社の回線を借りて使う格安SIMを利用する方法と、大手通信会社が提案する格安プランを利用する方法がある。「スマホに詳しくない人は、実店舗があって相談に対応してくれる後者を選ぶのがおすすめです」(矢野さん)。それが、楽天モバイルなどの下記3社だ。NTTドコモと比べてかなり安いのがわかる。

【通信費3】家族割引が得とは限らない
家族割引の値引き率は低い。
「家族間通話を無料にするならLINEで済むので、各自が格安スマホを利用した方が安い場合も」(丸山さん)
【通信費4】不要な有料コンテンツは整理して解約
「スマホ契約時、最初からアプリがダウンロードされていて『3か月間無料』などのうたい文句で有料コンテンツへの加入をうながされることがあります。不要なら入らないこと。また、期限を控えておき、必ず解約を。加入したまま忘れることがないよう注意を」(矢野さん)
【通信費5】ポイントが貯まりやすいクレカを選ぶ
通信費もクレジットカードで支払うこと。
「『楽天モバイル』は『楽天カード』で支払うとポイント還元率が基本2%に」(丸山さん)。
「UQ mobile」は「au PAY カード」、「Y!mobile」は「PayPayカード」で。買い物や固定費も同じカードで支払って、ポイントの集約を。
◆教えてくれたのは:時短節約家・くぅちゃんさん

6年間で1000万円貯蓄し、SNSなどで節約術を発信。著書に『くぅちゃんのお金がみるみる貯まる 超シンプル家計簿術』(扶桑社)など。
◆教えてくれたのは:節約研究家・小松美和さん

節約技を700以上持ち、メディアに多数出演(毎週ラジオで新ネタ発信)。著書に『月給13万円でも1000万円貯まる節約生活』(アスコム)など。
◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・消費生活アドバイザー・丸山晴美さん

ファイナンシャルプランナー。FP技能士2級などの資格を持つ。著書に『お金を活かす ハッピーエンディングノート』(東京新聞)など。
◆教えてくれたのは:家事アドバイザー・AllAbout節約ガイド・矢野きくのさん

食育指導士の資格を持つ。食品ロス削減、時短家事術などについて講演を行う。主な著書に『シンプルライフの節約リスト』(講談社)など。
取材・文/上村久留美
※女性セブン2026年9月10日号