《ひとりで幸せに生きる「老後戦略」》遺される人々のために「エンディングノート」は必ず書くべき 家族がいない場合も「身元保証人サービス」や「任意後見制度」などの検討を

長い老後をひとりで生きる女性が増えている。厚労省がまとめた「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」によると、高齢者世帯は1754万世帯を超えて過去最多を更新。うち女性の単独世帯は33.2%、男性の単独世帯は20%だった。未婚の場合や離婚したケースはもちろん、夫がいても男性より平均寿命が長い女性は、老後をひとりで過ごす可能性が高い。いざ、ひとりになるときが来ても慌てないためには「老後戦略」が必要になる。より豊かで楽しい老後を送るために、できることは何か、各分野の専門家にアドバイスしてもらった。【全4回の第4回】
自分の置かれた状況を把握して「情報弱者」にならない
健康面では孤独やストレスを避けるとともに、医師の言いなりにならないことが大切と精神科医の和田秀樹さんが語る。
「たとえば、健康診断を欠かさず受けていても健康診断そのものが寿命を延ばさないということは、さまざまな科学的根拠で裏づけられており、少なくとも医療を受け入れれば長生きできるという思い込みは捨てるべきです。特に高齢者は医師のいいなりになりすぎる傾向がありますが、ひとり暮らしの最大のメリットは“自由”です。誰かの指示に従うほど、自由を失っていっていることに気づいてほしい」
誰しも年齢とともに体力が落ちることは避けられない。元気なうちに介護施設を探すことも心がけよう。
「その際、予算や立地で安易に施設を決めるのではなく、体験入居や見学を行い慎重に検討することが必要。生活のカギを握る施設選びを失敗すると、人生の最終盤が不幸になる恐れがあります」(和田さん)
ひとりといえども“立つ鳥跡を濁さず”の精神で自分が亡くなった後のことまで考えたい。「エンディングノートは必ず書いてほしい」と言うのはファイナンシャルプランナーの資格を持つママ芸人のフルマユコさん。
「事故や災害で急に亡くなることもあるので、あらかじめ家族へのメッセージを書いておきましょう。残された者がスムーズに相続できるよう財産関係を記すことも大事です。特にネット銀行などのデジタル遺産は金融機関やID、パスワードなどを忘れずに書き残す。
生前に伝えるのが嫌なら、ノートの保管場所を子供などに伝え、万が一の場合に読んでほしいと伝えればOK。ただしエンディングノートには遺産分割についての法的拘束力はなく、具体的な相続の希望は遺言書に記すことが望ましいです」

家族がいない場合、本人に代わって入院や施設入居の手続きを行う「身元保証サービス」や、判断能力が低下した場合に備える「任意後見制度」、葬儀や遺品整理などを委任する「死後事務委任契約」など身の回りの世話や整理を第三者に託す制度を検討したい。
ひとりでも幸福になる老後戦略でもう1つ大事なのは、「情報弱者」にならないことだと行政書士の明石久美さんは言う。
「いざ介護が必要になったとき、どこに相談すればいいかわからない人が本当に多い。体が弱るほど動きが鈍くなるので、困ったときのための情報は早めに入手しておかないといけません。毎日を何となく過ごすのではなく、置かれた状況を把握して必要な情報を探すことを心がけてほしい」
ここまで紹介してきた老後の備えを講じるにあたり、残された時間をとことん楽しむことも心したい。プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さんが言う。
「老後戦略はお金や住まい、人間関係や相続など、もしものときの準備ばかりフォーカスされがちですが、いちばん大切なのは元気な時間を何に使いたいのか考えることです。やりたいこと、行きたい場所、食べたいもの、会いたい人などに思いをはせて、その喜びを実現するために何をすればいいのか考える。ひとりで幸せに生きる準備はそこから始まります」
残りの人生、ひとりだったとしても自分は何をしたいのか。その答えが、あなたを幸せな老後に導くのだ。


※女性セブン2026年10月1・8日号