
長い老後をひとりで生きる女性が増えている。厚労省がまとめた「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」によると、高齢者世帯は1754万世帯を超えて過去最多を更新。うち女性の単独世帯は33.2%、男性の単独世帯は20%だった。未婚の場合や離婚したケースはもちろん、夫がいても男性より平均寿命が長い女性は、老後をひとりで過ごす可能性が高い。いざ、ひとりになるときが来ても慌てないためには「老後戦略」が必要になる。より豊かで楽しい老後を送るために、できることは何か、各分野の専門家にアドバイスしてもらった。【全4回の第3回】
公民館や日中のスポーツクラブで友人をつくる
ひとり暮らしの死活問題に直結するのが人間関係。シニア生活文化研究所代表理事の小谷みどりさんが言う。
「長く生きる女性にとって切実な問題は孤独。元気なうちから夫や子供に頼り切らず、居場所をつくって孤独を避ける人間関係を築くことが欠かせません」(小谷さん・以下同)
孤独や社会的孤立は健康状態を悪化させ、死亡リスクを高めることが知られる。
「特に高齢者は自立できなくなると、誰かの手を借りないと生きられません。“助けて”と言える人を元気なうちにたくさんつくっておくことが求められます」
孤独を避けるには社会に出て人と交わる必要がある。行政書士の明石久美さんがすすめるのは「公民館」だ。
「地域の公民館で行われる料理教室やヨガ教室などに行ってみれば、集まってワイワイと作業するうちに気が合う人が見つかる可能性が高い。自治体が行うボランティアやカルチャースクールも狙い目です」
水泳、ジム、ダンスなどプログラムが豊富なスポーツクラブもおすすめ。
「日中のスポーツクラブはシニアの交流の場になっていて、毎日のように通う人が多くいます。何度も同じレッスンに出れば自然に打ち解けやすくなります 」
教室に出るなら健康も促進したい。生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんのイチオシは「コーラス」だ。
「いまは喉の筋肉が衰えることによって誤嚥性肺炎で亡くなる高齢者が増えています。喉の筋肉は話すことで鍛えられますが、ひとり暮らしだとその機会が減るので、社会交流をしながらコーラスで喉を鍛えると一石二鳥です」

特に家事に励んだ専業主婦は夫と死別すると生活に張りがなくなり、何もしなくなって栄養状態や体力が低下することが多い。それを避けるには「きょうよう(今日、用がある)」と「きょういく(今日、行くところがある)」が重要だと小谷さんは話す。
「公民館やジムは社会交流だけでなく、“きょうよう”“きょういく”の面からも重要です。自宅のカレンダーに予定を記入できる日を増やせば、生きがいを得られて食事や身なりも気にするようになり、心身とも健康的になれます」(小谷さん)
昨年、夫が急逝したという千葉県在住のAさん(62才)もこう言う。
「定年後にふたりでいろいろ楽しもうと言っていた矢先だったので、心が落ち込んで何もやる気が出ない日が続きました。でもあるとき地域の集会所で趣味の俳句教室があると知って何気なしに参加してみたら、参加者とぽつりぽつりと話すうちに自分と同じ境遇の人が何人かいることを知りました。励ましあっているうちに、少しずつ元気が出てきました。友達と出かける理由もできて、教室に参加して本当によかった」
顔見知りや知人ができたら「緊急連絡先」を頼めればベスト。
「自分が急に倒れた場合の緊急連絡先になってもらい、“その際は〇〇や××に伝えてほしい”と親類などへの連絡をお願いします。趣味の仲間でも近所の人でもネット上でのつながりでも誰でもいいので、緊急連絡先になってくれる人を見つけられればひとりでも安心できます。私も近所のおばあさんの緊急連絡先になっています」(小谷さん)
ただし、人づきあいが苦手な人は無理をして人間関係を広げる必要はない。プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さんが言う。
「ひとりで過ごすのが好きな人もいます。ひとりで映画を見たり、旅行を楽しんだりすることと、社会的に孤立していることは同じではありません。
だから“友達を増やさなければ”と考えず、自分にとって心地よい人とのつながりを大切にすればいいでしょう」
小谷さんが続ける。
「最近は身元保証をしてくれる民間企業や見回りサービスが充実しています。人見知りなどでリアルな友人関係をつくれない場合、そうしたサービスを利用する手もあります」
自分の気持ち次第では、友達は無理してつくるより、いてもいいし、いなくてもいいぐらいに考えればいいのかもしれない。


(第4回に続く)
※女性セブン2026年10月1・8日号