
どんなに仲のいい夫婦にも、別れは訪れる。生涯ひとりで生きることを決める人もいる。女性の平均寿命は男性より長いぶん、ひとり残される女性は多い。いざ、そのときが来ても慌てないためには「老後戦略」が必要になる。より豊かで楽しい老後を送るために、できることは何か、各分野の専門家にアドバイスしてもらった。【全4回の第2回】
人気のシニア向けマンションにも落とし穴
ひとりでの老後生活となった場合、その拠点となる住まいはどうすればいいか。プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さんは「まず、住宅より大切なことがある」と語る。
「持ち家や賃貸に住み続ける、リフォームする、転居する、施設に入るなど選択肢は複数ありますが、老後に大切なのは住宅そのものより“ひとりでも住み続けられる環境”かどうか。まずは立地やアクセス、周辺施設を検討すべきです」
ひとりになったら、突発的な事態に対して自力で対処しなければならない。シニア生活文化研究所代表理事の小谷みどりさんが言う。
「そうした場合、最も大事なのはスーパーと病院が近くにあるということ。特に地方は車で出かけるのが当たり前ですが、高齢になったら運転は難しくなる。ひとりで生きるには、体調に異変があったときに病院に駆け込め、生活に必要な物資がすぐ手に入る環境にいることが欠かせません」
アクセスも重要なポイントだと生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんが続ける。
「駅からバスで30分かかったり、急な坂道があったりすると出不精になってしまい不健康です」
長年家族と一緒に過ごした思い出があるマイホームに住み続けたい人も多いはず。その場合はリフォームを検討したい。行政書士の明石久美さんが言う。
「手すりの設置や段差の解消といったバリアフリー化の場合は、介護保険や自治体の補助を受けられるか確認します。また、子供が独立して戸建ての2階を使っていなければ、1階で過ごせるよう工夫したり、平屋にする手があります。住みやすい状態にするとともに、部屋を整理整頓して転倒のリスクを避けることも求められます」

生活に合わせて住み替えるなら、「コンパクト」がキーワードになる。精神科医の和田秀樹さんが指摘する。
「子供が独立して夫がいない家はひとりで住むには広すぎる。それなら街の中心部にある、ワンルームや1Kのコンパクトなマンションに移った方が心身のプラスになる」
住み替えるなら引っ越し先のコミュニティーにも気を配って。高齢独居の場合、溶け込みやすい地域を選ぶことが必須だ。
「古くから住んでいる人や、高齢夫婦や家族世帯が多く住む地域は高齢独居でも溶け込みやすいです。一方、若い人だらけだと挨拶も交わさず“新参者”は孤立しがちです」(柏木さん)
現在の家を出て、終の棲家を購入する場合も慎重に選びたい。
いまはバリアフリーが施されたシニア向け分譲マンションが人気で“資産になる”ともうたわれる。だが、小谷さんはシニア向け分譲マンションには落とし穴があると警鐘を鳴らす。
「分譲のシニア向けマンションは高齢者しか入居できず、親が亡くなったら50代以下の子供は継承こそできますが住むことはできません。転売しようにもシニアにしか売れないので市場が狭く、好条件で売れる可能性は少ないので要注意です」
高齢になったら賃貸物件を借りにくくなるとされるが、小谷さんは「シニア向けマンションに住み替えるなら賃貸がいい」と語る。
「高齢者の賃貸入居は身元保証人と滞納が危険視されますが、『孤独死保険』が2つのリスクに備えます。この保険に入ればシニア向けマンションに入居できます」(小谷さん)


(第3回に続く)
※女性セブン2026年10月1・8日号