プールや海、訪問先のお宅などで素足を見せる機会が多くなる夏が近づくと、気になるのが「かかと」。ガサガサのままではサンダルもサマになりませ~ん。そこで、かかと美人たちにその秘訣を直撃! すると、そこには意外な共通点が隠れていたのです…。
かかとがガサつく原因といえば、即、乾燥と思いがち。もちろんそれも理由の1つではあるものの、「ほかにも大きな問題がある」と皮膚科医の高山かおるさんは言う。
「体の健康を手に入れるためには、まず体を支える足が健康でなければいけません。かかとがガサガサする人は、乾燥以外に歩き方や立ち方、靴の選び方などに問題のある場合が多いんです」(高山さん・以下同)
また、足の健康に対する日本人の意識の低さについても、気になっているという。
「靴は、もともと足を保護し、足の機能をサポートするためのもの。でも合わない靴で足を痛めるという皮肉な現実が多々あります。ほかにも爪の切り方やかかとのケア方法などについても、正しく教える教育があまりないんです」
ガサガサかかと、こんな人が危ない!
高山さんにれば、次の4項目があてはまる人は要注意だという。
・サンダルやヒールばかり履いている
・足が常に冷たい
・足に合わない靴を履いている
・靴のつま先だけやかかとだけなど、一部分が極端に減る
かかとのガサガサ、ひび割れの原因は?
今回話を聞いた4人(記事後半で紹介)は、いつも裸足でいなければいけない仕事をしているという共通点を持つ。それはつまり、足にダメージを受けやすい仕事環境で働いているということだが―─みなさん、見事にかかとがツルツルだった!
「足指を上手に使えない歩き方はガサガサかかとの原因の1つです。ペタペタと歩いたり、太ももが上がらず足を引きずって歩いたりする人はかかとに体重がかかりすぎる『浮き指』の可能性があります。
浮き指とは、足の指が地面にきちんとつかず、浮き上がっている状態のこと。浮き指になると、指先に力が入らないため足裏が不安定になり、体をバランスよく支えることができません。しかも、かかとの負担が大きく、ストレスもかかるためガサガサになるのです。 だから、ふだんから足指を均等に使い、体幹が強くバランスがよいアスリートは、総じてかかとがきれいです」(高山さん・以下同)
かかと美人になるための靴の選び方
次に、足にストレスを与えない靴の選び方も重要なポイントとなる。
「大切なのは自分の足に合った靴を履くことです。足先にゆとりがあり、かかとまわりがフィットしていてパカパカ浮かないものを選ぶこと。ひものついた靴の場合は、しっかりひもを結んで履く。靴の中で足がずれたり、かかとが浮いたりしていると、皮膚が擦れるため、角質が厚くなる要因になります」
つまり、靴の中で滑りやすいストッキングと足に圧迫感を与えるパンプスを長時間履くよりも、靴下にスニーカーが望ましいのだが、なかなかそうもいかないのが現実だ。
「毎日スニーカーを履かなくても、生活シーンに合わせて靴を替えたり、ヒールの靴を履いたら、翌日はスニーカーを履くなど、ストレスのかかる靴を続けて履かない意識を持つことが重要です」
ちなみにこの4人。取材当日、奇しくも全員が靴下にスニーカーでやって来た。
ターンオーバーが正常に機能せず古い角質がはがれない
皮膚では常に「ターンオーバー」といわれる新陳代謝のサイクルが行われており、古い角質がはがれた後には、新しい潤いのある皮膚が現れる。
「これが正常に機能していれば、皮膚は多少のダメージを受けても健康な状態を維持することができるのですが、かかとはもともと角質が厚いため、ほかの皮膚に比べて古い角質がはがれ落ちるのに時間がかかります。そのため『天然保湿因子』と呼ばれる水分を保つ物質も減りやすくなり、ほかの皮膚に比べると乾燥しやすいのです」
そこでターンオーバーを正常に保つために重要となるのが、血液循環だ。
「足には歩くたびに血液の循環を促進する『ポンプ機能』があり、足指と足首をしっかり動かして歩けば、足の筋肉の血管の伸縮運動も活発化するので血行もよくなります。しかし、血液の循環が悪いと足の疲れやむくみが取れず、冷えやすくなってしまうんです」
冷房による乾燥を防ぐケアも大事に
もう1つ、欠かせないのが乾燥ケアだ。
「かかとには汗を分泌する汗腺はたくさんあるのですが、皮脂を分泌する皮脂腺はありません。皮膚の保護や保湿をしてくれる皮脂がないことがガサガサの要因の1つです」
さらに、今のシーズンに多い素足にサンダルスタイルも、足が外気にさらされ、足裏が乾燥しやすく、夏のエアコンや冬のストーブなどの冷暖房器具は、皮膚を乾燥させる大きな要因となる。
「皮膚が乾燥すると敏感になり、少しの刺激でもかゆくなります。かくと皮膚が傷つき、症状が悪化するので、保湿で予防することが大切です」
ここまで見てきたように、夏はツルツルかかとを保てなくなる危険がいっぱい。そこでかかとをツルツルにして、保つためには、浮き指の改善法やケア法を身につける必要がある。
かかとに体重がかかりすぎることで起こる「浮き指」は、足指とふくらはぎの筋力をアップするエクササイズをすることが、予防や改善に効果的。足指がきちんと地面に接地する立ち方や、歩き方を意識してみよう。
浮き指「予防&改善」エクササイズのやり方
【直立重心揺らし】
【1】真っすぐ立ち、かかとに重心をかけて体をやや後ろに倒して5つ数える。
【2】次に、つま先に重心をかけて体をやや前に倒して5つ数える。
【3】元の真っすぐの状態に戻る。【1】~【3】を毎日1回して、前後の体重移動を行うだけでも足指が地面をつかむ立ち方になる。
【つま先立ち】
【1】壁に背中をつけて真っすぐ立つ。
【2】そのまま、つま先で立つ。
【3】かかとを床に下ろす。【2】と【3】を繰り返し1日10回×3セットを目安に行うことで、足指とふくらはぎの筋力アップができる。
角質を削るのは「おすすめしない」
角質が気になって、削る人も多いが、「健康面から考えるとおすすめしません」と、高山さんは言う。
「角質はもともと皮膚を守るために必要なもの。削ると肌に負担もかかります。どうしても気になる場合は、かかと用のやすりで整える程度にとどめてください。その場合、乾いた状態で行った方が、削りすぎを防げます」
保湿は「たっぷり」「毎日」行う!
入浴の際、足をきれいに洗ってしっかり水気を拭いてから保湿のためにかかとにクリームを塗ろう。
「洗い上がりの足は一時的に皮膚の脂分が減り、乾燥しやすい状態になっています。クリームをたっぷり塗って、保湿してあげましょう。クリームの値段や種類よりも、『毎日』塗って保湿することの方が重要です。みなさん、顔には毎日塗りますよね? 足にも同じようにしてあげてほしいんです」
タイプ別おすすめクリームの選び方
かかとの状態別に自分に合ったクリームを見つけよう!
《ガサガサ角質》
硬くなった角質や、ガサガサに乾燥した角質を滑らかにするなら、ビタミンAや尿素入りがおすすめ。角質を分解する作用が含まれている。
《冷え症》
冷えなどの血行障害がある人は、ビタミンE入りを使ってみよう。ビタミンEには血行を促進する作用が含まれている。
《乾燥肌》
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)や合成セラミドが入ったクリームは、特に保湿力が高く、乾燥が気になる人に適している。足指を使った歩き方に靴選び、そして乾燥対策をしっかり行えば、美かかとはキープできる。さっそく始めよう!
教えてくれた人:済生会川口総合病院 高山かおるさん
接触性皮膚炎、フットケア、美容が専門分野。皮膚科診療のほか、フットケア外来も行っている。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。足からの健康づくりに取り組む「足育研究会」代表でもある。
続いて、仕事ではいつも裸足だという“かかと美人”4人にケア法を聞いた。
パーツモデル・さとうあやさんのかかとケア術
足や手などのパーツモデルを生業にしているさとうあやさんは、モデル歴11年目。さぞや特別なお手入れをしているかと思ったら…。
「大したことはしてないんですよ。無理をしても続かないので。毎日やっているのは、乾燥肌なので入浴後に足用の保湿クリームを塗って足の裏をマッサージするくらい。角質は気になった時に多少削る程度です。あとは冷え症なので、寝る直前まで靴下を履いています」(さとうさん・以下同)
ごく普通のお手入れ方法だが「毎日」となると、続けられない人も多いのでは。さらに彼女は、外出時はスニーカーに靴下で出かけることがほとんどだという。
「ぴったりした靴を履くと足が圧迫されて黒ずんだりすることもあるので。仕事でヒールのある靴を履くこともありますが、終わったらすぐに履き替えます。プライベートでは大体スニーカーですね」
靴下&スニーカーで外気を保護し、保湿ケアもコツコツ。さとうさんは、前出・高山さんがあげた美かかとキープ項目をすべてクリアしていた。
「かかとの外側がカサカサしやすい」ため、クリームは、気になる足の外側からなじませるように塗っている。
使用しているのは、フットケア専門ブランド『ドクターショール』の「ディープ・モイスチャライジング・クリーム」(写真は私物)。かかと専用の保湿クリームだ。
スイミングクラブコーチ2人のかかとケア術
中屋錦江さん(72才)、持田美紀子さん(57才)の足の裏は赤ちゃんのようにツルツル‼
「何にもしてないの。クリームも塗ってなくて。でも、ガサガサになったことはないの」とは持田さん。この2人もふだん履くのはスニーカーに靴下というスタイルだそう。
「夏にはサンダルも履くけど、ずっとじゃないわね。スニーカーと併用して履きます」(中屋さん)
実はプールの中にいることは、水温と水圧が肌に適度な刺激を与えるという。その結果、肌の血液循環がよくなり、泳ぐことはもちろん、水中にいるだけでも肌にいいそうだ。保湿ケアをせずとも、水泳や水中ウオーキングなどの水の中での運動が、健康だけでなく肌にもいいことが、この2人のきれいなかかと&肌からもよくわかる。
『久ヶ原スイミングクラブ』(東京・大田区)で、子供向けクラスのコーチをして22年という2人。レッスンは週に2回。1回約3~4時間は水の中にいるそうだ。
ヨガインストラクターのかかとケア術
ヨガのインストラクターを、40才を過ぎてから始めたという藤田真弓さん(52才)。
「それまでの仕事がとても忙しくて、体調を崩したことで辞めることに。退職後ヨガを始めてからは体調もよくなり、ボロボロだった肌の調子もよくなりました」(藤田さん・以下同)
ヨガは足裏をしっかり使い体を支え、ポーズをとることが重要。足裏の柔軟性が求められる運動だ。
「かかとのお手入れに使っているのはオーガニックのアルガンオイル。髪の毛から足まで全部これ1本ですませています」
藤田さんも移動時はスニーカーを履くことが多いそうだ。室内以外にビーチヨガや庭園ヨガなど、屋外で行うレッスンも数多く実施。アロマセラピストの資格も持っている。
右から、『オーガニックアルガンオイル』(reMio)、『精油ラベンダー』、『オレンジスウィート』(以上、ARTQ ORGANICS)写真は藤田さんの私物。アルガンオイルは入浴後に毎日使用。その日の気分に合わせて精油を混ぜることもあるそう。
※女性セブン2019年6月27日号
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