健康・医療

エネルギー代謝の高い体を作るカギ「ATP」を解説|サプリメントの正しい摂り方もチェック

エネルギー代謝の高い体を作るカギとなる、ATP(エーティーピー)を知っている?

ご飯を前にする不調気味の女性
イラスト/Getty Images
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ATPは、体のエネルギーを蓄えておいたり、供給・運搬をしたりと重要な役割を持つ物質で、人間の活動に不可欠なもの。ATPが充足していればやる気や活力がアップして、不足すると心身の不調を起こしてしまうという。では、どうすれば体内のATPを活性化させることができるの?

医師が教える! 不調を自分で治す実践レシピ (健康美活ブックス)

健康で太りづらい体を目指せる食事術とレシピを掲載している、精神科医で医学博士の藤川徳美さんの著書『医師が教える!不調を自分で治す実践レシピ』(世界文化社)から、ATPについて解説。さらにサプリメントの上手な摂り方も紹介する。

ATPが作られる仕組みとは?

ATP生成の図解
『医師が教える!不調を自分で治す実践レシピ』(世界文化社)より
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ATPは、呼吸をする、心臓を動かす、筋肉を動かす、ホルモンを生成する、消化や吸収をするなど、人間の活動に不可欠な物質で、電化製品にとっての電気のような役割を果たしている。

充足していると心が安定して、疲れにくい、よく眠れる体になるというATPは、脂肪酸を材料にエネルギー代謝されるルートと、ブドウ糖(グルコース)を材料に体内で生成されるルートの2通りがある。

エネルギー代謝の場合は、脂肪酸を材料にすると129個のATPを作ることができるという。一方、グルコースを材料にすると36個と、約3分の1に。さらに、糖質過多の状態になると糖質の代謝にビタミンやミネラルが使われるため、ATPを生成するエネルギー代謝に使う分が不足。すると不完全燃焼のような状態となり、ATPが作れる個数はなんとたった2個だけになるそう。

つまり、ATPを多く生成して元気な体にするためには、糖質過多の食事を改善して、糖質摂取量を減らすことと、脂肪酸をしっかり摂取することが大切。

ATPを生成促進する基本のサプリ4種

サプリメントを飲む女性のイラスト
イラスト/Getty Images
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ATPを多く生成するために、もう1つ重要なのは、エネルギー代謝を助けるビタミンC、ビタミンB群、ビタミンEなどのビタミンやたんぱく質、鉄を十分に摂ること。

食事だけでは不足がちな栄養素は、サプリメントで効率よく摂取するのがおすすめ! 基本のサプリ4点セットを知って、体にスムーズな代謝を促してみよう。

◆鉄(1日の目安量:100mg)

鉄サプリは胃腸の負担が少なく、効率よく鉄を補うことのできるキレート鉄が◎。1錠あたり30mg前後の高純度のものを選ぶとよい。不調を感じる、肉を食べると胃がもたれる、便秘など腸の不調がある場合は、たんぱく質を十分に摂ることから始めて、体にたんぱく質が満たされてから鉄サプリを取り入れてみて。

摂取する際には、鉄の吸収を阻害する働きのあるビタミンEと同時に摂るのを避けるため、夜に鉄、朝にビタミンEを飲むのがおすすめ。

◆ビタミンB群(1日の目安量:ビタミンB1で100〜300mg)

ビタミンB1が不足すると、ATPを作る際に糖質が代謝されず、ATPの生成が低下してしまう。また、ビタミンB6が不足すると、たんぱく質の代謝が不十分に。

そこでおすすめは、ビタミンB群を各種50mgずつ配合したサプリ。水溶性ビタミンのため体内に留まるのが数時間程度なので、1日に数回に分けて摂取すると効果的!

◆ビタミンC(1日の目安量:3000~9000mg)

ATPを生成するとき、細胞に脂肪酸を取り込むために必要なカルニチン。このカルニチンの合成を助けるのが、ビタミンC。

水溶性ビタミンなので、1日数回に分けて摂取するのが◎。鉄サプリと同時に摂ると、鉄の吸収を高めてくれる。

◆ビタミンE(1日の目安量:400~800IU)

ATP生成の際に、酸素、ビタミン、ミネラルが細胞内に効率よく取り込まれるようになるために必要なもの。ビタミンBやビタミンCの働きも高めてくれる。

水に溶けにくく油に溶けやすい脂溶性ビタミンのため、体内に蓄積されるので1日1回摂取すればOK。けれど鉄とは相性が悪いので、夜に鉄、朝にビタミンEを摂るようにしてみて。

ATPを増強して、活力あふれる心と体に

代謝過程に重要な役割を持つ鉄やビタミンB、ビタミンCをしっかりと摂取した上で、呼吸から取り込んだ酸素が細胞へ取り込まれるのをサポートするビタミンEを補給するのがポイント。

糖質過多の食事改善&基本のサプリ4点セットでATPの生成を促進して、心身ともにイキイキさせよう!

教えてくれたのは:精神科医・藤川徳美さん

ふじかわ・とくみ。精神科医、医学博士。1984年広島大学医学部卒業。広島大学医学部附属病院(現・広島大学病院)精神神経科、県立広島病院精神神経科、国立病院機構賀茂精神医療センターなどに勤務。うつ病の薬理・画像研究や、MRIを用いた老年期うつ病研究を行い、老年発症のうつ病には微小脳梗塞が多いことを世界に先駆けて発見。2008年に「ふじかわ心療内科クリニック」を開院。気分障害、不安障害、睡眠障害、ストレス性疾患、認知症などに対して栄養療法をはじめ多面的な治療法を採用し、成果を上げている。

文/イワイユウ

【データ】
世界文化社『医師が教える!不調を自分で治す実践レシピ』

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