新型コロナウイルスのワクチン接種率も50%を超え、旅のベストシーズンである秋こそは旅へ出たいと思っているかたも多いことでしょう。
今回は、コロナ禍にスマートな大人なら心がけたい「旅の心得」を、旅行ジャーナリストの村田和子さんが紹介します。旅へ出る場合には、旅行者も慎重に対応をすることが大事。その心得とは?
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旅の心得【1】具合が悪い場合は迷わず中止する
観光施設や宿泊施設等では、到着時に検温をして熱がある場合(多くは37.5度以上)は、同行者を含めて利用できないのが一般的です。出発前に体温チェック、調子が悪い場合は迷わず取りやめましょう。
キャンセル料については、体調不良の場合は特別な対応をするケースもあります。いずれにしても早めに施設に連絡をして相談を。無理をしてでかけても、結局同行者を含む周りに迷惑をかけてしまいます。
旅の心得【2】ワクチン接種後もコロナ対策を怠らない
観光事業者は、業界のガイドラインにのっとり十分なコロナ対策をしています。ただそういった施策も旅行者の協力があってこそ効果を発揮します。
ワクチン接種が進み「少し安心した」というかたも多いことでしょう。でも、接種後もマスク着用に加え、三密回避を避けることを、国・自治体では呼びかけています。
接種がまだのかたや、受けられないかたもいます。皆が気持ちよく過ごせるように三密回避への心がけは継続して行うことをお忘れなく。
旅の心得【3】想定外を受け入れる心の余裕を持つ
コロナ禍では、事前に告知していたイベントが中止になったり、サービスが変更になることも多々あります。飛行機が欠航になるなど流動的な状況は続いています。https://j7p.jp/72661
あらかじめリスクがあることを加味したうえで手配や計画を行うこと。起こってしまった際には、それを受け入れる気持ちの余裕が、コロナ禍で旅をするには必要です。
特に、緊急事態宣言の発令に伴って急にツアーが中止になるなど、「楽しみだっただけに旅行者としては受け入れがたい事態」も起こりえます。これは天災と同様、事業者としてはどうしようもないこと。「いまできる最善策は何か?」と気持ちを切り替えるようにしましょう。
旅の心得【4】黙食・黙浴を心がける
旅では気持ちが開放的になります。食事中、あるいは大浴場などでは、つい話に花が咲くことも多くなりがち。でもコロナ禍では、マスクを外すパブリックな場所では、会話を控えて静かに過ごすのがマナーです。
食事の際の「黙食」は認知がすすんでいますが、「黙浴」は初めて聞いたというかたも多いのでは? お風呂ではマスクを外すため、大浴場では食事中と同じく会話を控える「黙浴」が必要です。「せっかく旅に出たのなら、周りを気にせず寛ぎたい」という場合には、「個室や部屋食の宿を選ぶ」「温泉がある部屋、あるいは貸し切り風呂がある宿を選ぶ」など、手配するときに工夫をしましょう。
旅の心得【5】宿のスタッフにも配慮をする
最後に心得というほどではありませんが、私はチェックアウト時に「ごみをすべて処分する」ことを意識しています。以前から整えてはいましたが、例えば「歯ブラシをコップに置いたままにしない」、「ペットボトルは飲み残しがあれば中身を捨て、分別しておく」「マスク類の入った袋は口を閉める」などを徹底するようにしています。
宿ではお客に安全安心を提供するだけではなく、スタッフのコロナ対策にも力を入れています。「自分がお掃除する立場なら、どうだったら安心か?(逆に嫌か?)」という観点から、自然とチェックアウトの際のルーティンになりました。
旅が緩和される兆しも少し見えてきましたが、再び感染が広がることがないように、そして皆が旅で元気をもらえるようにしたいもの。「施設とお客さんという垣根を越えて、できることは皆で協力する」ことが、コロナ禍の大人の旅マナーには求められると感じます。
◆教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん
旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年よりNHKラジオ『Nらじ』月一レギュラー。トラベルナレッジ代表(https://www.travel-k.com/)。旅ブログも行っている(http://www.murata-kazuko.com/)。
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