せっかく海外に行ったのに、あまり英語も話せずに、学生時代もっと勉強しておけばよかったと後悔した…という経験、ありませんか? もしコロナ禍が収束して、海外旅行が再びできるようになったとき、英語でホテルスタッフや店員とコミュニケーションを取れるようになれていたら、理想的ですよね。
そこで、学生時代は赤点だったにもかかわらず、試行錯誤の末にネイティブレベルにまで英語を話せるようになったという英会話講師・ジュリアーノ熊代さんの著書『have do getで英語は9割伝わります!とっさの英語に強くなる! 魔法の万能3動詞』(世界文化社)で紹介している英語術を解説してもらいました。格段に英語力が上がる、万能な3つの動詞を紹介します。
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人生の充実のために、英会話を学ぼう
私の英会話教室に訪れる50代前後の女性に話を聞いてみると、より満足度の高い旅行をしたいから、英会話を学びたいという言葉をよく耳にするんです。
英語を話すことで旅行がより楽しくなる
英語を話せなくとも、おみやげを買うタスクはこなせますし、ホテルのレストランで注文するのもどうにかできます。けれど、やはりコミュニケーションを取りながら買い物をすると、商品のよいところを店員と話しながら気持ちよく買えますし、自分の言葉で感謝の思いを伝えられますよね。
つまり、旅行中のラグジュアリーな時間をより楽しむためだったり、旅行のグレードを上げるためだったりと、人生の充実につなげたいという理由で英語を学ぶ人が多いように思います。カッコいいホテルマンに「Thank you for the service.」ってクールに言って、「My pleasure, madam.」(いえ奥様、光栄なことです)なんて言ってもらいたくないですか?
便利な3つの動詞を習得することで英語力アップ!
そういったかたにこそ伝授したいのが、「have」「do」「get」の万能3動詞です。「もつ」「する」「手に入れる」という言葉に訳すイメージが強いのではないかと思いますが、実は用途が広いので、さまざまなシーンで使えますよ。
英会話で9割使える、便利な3動詞「have」「do」「get」
英語の語順は、主語+動詞が基本です。主語はすぐに出てくると思いますが、英会話初心者がつまずきがちなのは、動詞が出てこないことなんです。
そこで、便利な3つの動詞「have」「do」「get」を覚えましょう。会話で使う動詞の9割ほどを、この3つのワードでカバーすることができます。
「have」は“一緒にある/いる”のイメージ
「have」は、たいていの人が「持つ」と習っているかと思いますが、実はもっと応用が効く動詞なんです。「犬を飼っている」「今日は会議がある」「膨大な本のコレクションがあります」など、「持つ」のイメージが派生して、「ある」も「have」を使います。そこで「持つ」も「飼う」も「ある」も「have」なんだ…と覚えるのは大変なので、イメージをぼやかして覚えることをおすすめしています。
「have」ならば「一緒にある/いる」がかなりの確率であてはまります。たとえば、「友人に恵まれましたね」と言いたいとき、「恵まれる」と考えるとぱっと英単語の動詞が思い浮かびにくいですが、そういうときも「have」「do」「get」のどれかが当てはまるのかな?と考えてみましょう。
この場合、「友人と一緒にいる」だから「have」が当てはまって、「You have good friend.」が正解なんです。こうやって考えてみると、なんとなく簡単に感じませんか?
「do」は物事を変化させるイメージ
「do」は、「やる」「する」と習ったかと思います。けれどこちらもバリエーションが多くて、物事を変化させるイメージでとらえるといいですよ。使う、塗る、遊ぶ、作る、演奏する…いろんなものを「do」で表現できます。
「do」+“モノ”で使い回しは無限です。お皿を洗うは「do the dishes」、ネイルするは「do my nails」、宿題をするは「do homework」…何かをする、と言いたいときに困ったら、とりあえず「do」を動詞に使えばOK。不自然な英文になっても、会話の意図は伝わります。不自然さは後から解消すればいいので、まだ英会話に慣れないうちは、知っている言葉でどんどん英文を作ってみましょう。
「get」は新たに何かがくるor状態の変化
「get」は「得る」「手に入れる」だけでなく、「受け取る」「引き継ぐ」「もらう」などもらったものも当てはまります。「ポケモンゲットだぜ!」のように、自分からゲットしに行ったものだけでなく、ほかのトレーナーからもらったポケモンも「get」なんです。「get」のイメージは、「もともとなかったところに新たに現れること」とぼんやりとしたイメージにしましょう。
それと、中学校で習っているのに意外と忘れがちなのが、「get」は状態の変化も表すということです。だから、「きれいになったね」とか「ちょっと見ない間に背が伸びたじゃん」と言いたいときも、使う動詞は「get」。「うちの夫は怒りっぽい」も、つまり「うちの夫は簡単に怒る状態になりやすい」だから、「get angry」を使うんです。
3動詞を上手に使えるようになる方法は?
このように、この3つの単語は中学1年生で習う基本的な英単語なのに、意外と応用範囲が広いんです。そして、中学で習う単語だからといって、上級者が使わないというわけではないということを知っておきましょう。むしろ、上級者もネイティブも頻繁に使います。
身につけていくためのコツは、主語+動詞を考える練習と組み合わせること。たとえば中吊り広告で「着回しコーデ術を覚えよう」という見出しを見つけたときに、動詞の「覚える」がぱっと浮かばないな…と思ったとき、「have」「do」「get」のどれかかな?と考えるクセをつけましょう。「覚える」は知らなかったものを新たに会得する、なので、正解は「get」です。
間違えていてもまずは声に出してみること
どの単語を使うか、正確にジャッジできるのは先生ですが、大切なのは正しいかどうかよりも、思いつけるかどうか。結果的に間違っていたとしても、英語を話すときに一番よくないのは何も言わず黙ってしまうことです。
何か言えば間違っていても相手が考えてくれるから、まずは単語を思いつけるクセをつけることのほうが大切ですよ。なので、黙らないために、ひとまず、正しいかどうかはわからないけれど、「こういうときにhave/do/getだ」と判断するクセをつけておくといいでしょう。
3つのうちどれだったらいいだろう?と考えられる思考、状態になっていることが大事です。慣れていないとタイムラグが出てしまうのが初心者あるある。まずは思考を「have」「do」「get」に切り替えるスピードを上げることを意識しましょう。
ミニ問題に挑戦!
最後に、3単語に慣れるための問題です。このなかで、それぞれ「have」「do」「get」どれが当てはまるのか考えてみましょう。復習すると、「have」は一緒にあるイメージ、「do」は物事を変化させるイメージ、「get」は新たに何かがくるまたは状態の変化です。
【1】I don’t ( ) drunk./私、お酒強いですよ。
【2】My dog can ( ) many things./うちの犬はいろんな芸ができますよ。
【3】You don’t( )a choice. /これしか方法はないですよ。
※答えは、ジュリアーノ熊代さんのプロフィールのあとに掲載。
◆教えてくれたのは:ジュリアーノ熊代さん
英会話講師。アルサス英会話代表。日本人の父とブラジル人の母をもつハーフ。生まれも育ちも日本(東京都日野市生まれ、和歌山県育ち)。そのため、もともと英語は全く話せなかった。赤点レベルの英語力で、17歳で単身10か月の米留学へ。絶望的に通じない日々に挫折を味わうが、あの手この手で伝わる英会話を模索。帰国後、英検1級、TESOL(英語教授法)の課程を修了し、1000人以上の生徒に英会話を直接教える中で独自のメソッド「ヤマトイングリッシュ」を確立。特技は空手(三段)と居合道(二段)。趣味はプラモデル製作。2020セミナーコンテスト東京大会優勝、全国大会3位。NHKや日本テレビなど、さまざまなメディアで翻訳や通訳、出演などで活躍中。
正解:【1】get【2】do【3】have
イラスト/市村譲 構成/イワイユウ