今年に入り京都で3軒、そして沖縄・那覇でも11月に開業した「OMO by 星野リゾート」。来春4月22日には、大阪のJR新今宮駅前に総客室数436室という大規模な「OMO7大阪 by 星野リゾート」も開業するとあって注目が高まっています。実はこの「OMO(おも)」というブランドは、星野リゾートの他ブランドとは異なる特徴があるといいます。そこで、今回は星野リゾートに詳しい旅行ジャーナリストの村田和子さんが、「OMO」の魅力やおすすめの旅スタイルを紹介します。
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全国で続々オープン!OMO by 星野リゾートとは?
OMOは、2018年に北海道・旭川に第一号が誕生、続いて東京・大塚にオープンするも、しばらく動きがありませんでした。
それが今年に入り、京都に3軒(OMO3京都東寺、OMO5京都三条、OMO5京都祇園)、沖縄でも開業。さらに来春には、OMO7大阪を始め、北海道(すすきの・小樽)、東京(赤坂)に開業と、全国で拡大中です。
OMOの宿泊価格は、ビジネスホテル~シティホテル並み。1万円以下で宿泊できる施設も多く全般的に手頃です。そのため「憧れの星野リゾートに泊まりたい」とう声も聞かれる中、興味を持っているかたも多いのではないでしょうか?
OMOは都市化観光ホテル~ホテルを拠点に街歩き~
星野リゾートの従来施設は「宿でゆったり過ごす」ことを想定し、広くくつろげる客室、洗練された館内など上質で贅沢なつくり。立地もリゾートや温泉地がメインになります。
対してOMOは「寝るだけでは終わらせない、旅のテンションを上げる都市観光ホテル」がコンセプト。交通の便がよい都市部にあり、ホテルを拠点に街歩きを楽しむ旅を想定。サービスもメリハリがあります。
例えばOMOでは、アメニティは必要最低限を準備。パジャマは200円でレンタル、基礎化粧品は自動販売機で購入となります。そのため「星野リゾートといえば星のや(贅沢・高級)」というイメージでOMOに訪れると、期待とのギャップが生まれることも。
他方、コンセプトを理解すれば、新しい旅の楽しみ方を発見し、ぐっと旅の満足度があがります。
客室は施設により異なる。豪華ではないが居心地よくセンスが光る
「街歩きをする」ということは、客室の滞在時間は短くなります。施設によって部屋のつくりはさまざまですが、総じてOMOの客室は「豪華ではないが、居心地のよいセンスのよい空間」という印象です。
例えばOMO5東京大塚の客室は、やぐらルーム。19平米ながら、ロフト式になっており下部はリビング、上部はベッドスーペースと空間を有効活用。コンパクトながらもトイレとバスルームはセパレートで機能的。バスルームには洗い場もあり、ファミリーにも人気です。
ただ、来春オープンするOMO7大阪(新築)や、他のホテルからのリブランドや転用した施設もあり、広い客室を構える施設も増えています。OMOの客室は、施設により広さやイメージが大きく異なるので、利用ニーズとあうか確認をするといいでしょう。いずれも星野リゾートらしいセンスが光るという点では共通です。
そしてOMOベースと名付けられたラウンジがあり、仕事をしたり、お茶を飲みながら読書、あるいは旅の計画をしたり。リビングのようにくつろげる個性的なパブリックスペースがあるのも特徴です。
街全体がひとつのリゾート。地元ならではの情報で滞在をサポート
OMO最大の特徴は、ホテルのある街全体をひとつのリゾートとしてとらえていること。ガイドブックにはない穴場や地元の人でにぎわうお店やスポットを発見し、交流が楽しめます。
例えば、友人の家に遊びに行ったときには、ガイドブックに載っている有名店ではなく、日常通っているお気に入りのお店に連れて行ってくれることも多いですよね。そんな友人のようにOMOでは、その土地に根付いているからこそわかる「真のおすすめ」を教えてくれます。
そのひとつが、OMOベースにあるご近所マップ(Go-KINJO MAP)。これはスタッフ自らが足で稼いだ情報が、コメントとともに集約されています。実は私も各地のOMOに滞在しましたが、ご近所マップは非常に頼りになる存在(はずれがありません!)。毎回参考にでかけては、お店や人との出会いに旅の経験値があがるのを感じます。
OMOベースでは宿泊者向けにユニークな講座なども開かれるので、チェックインをしたら確認するといいでしょう。
なおOMOベースには、宿泊者以外も利用できるカフェやレストランを併設しているところも多くあります。宿泊はしていないかたも、街の情報収集をかねて訪れてみるのもおすすめです。
最大の魅力は「ご近所アクティビティ」。OMOレンジャーと一緒にGO!
何よりも、私の推しは、ご近所アクティビティ。ご近所ガイド OMOレンジャーが、さまざまなテーマで街を案内してくれるというもの。散策しながら街を案内する無料ツアーのほか、その土地にあったテーマで多彩なガイドがあり、価格はひとり1000円程度がボリュームゾーン(宿泊者向け。要予約。当日空きがあれば参加可)。
ちょっとイメージがしにくいかもしれませんので、私が実際に参加して、印象に残っているツアーをいくつか紹介しましょう、
■【北海道・旭川】旭川ローカルを満喫!スーパーマーケットレンジャー(参加費1000円/人)
https://omo-hotels.com/asahikawa/guidetour/
OMOレンジャーとご当地スーパーへ。地元の生活や習慣などを聞きつつ、お買い物。ラーメンコーナーには、旭川ラーメンの有名店の商品、肉売り場にはジンギスカンがずらり! レンジャーの案内でご当地お土産を購入するのが楽しい。
■【京都・東寺】東寺まんだらさんぽ(参加費:無料)
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/omo3kyototoji/activities/
フロントにある曼茶羅で仏様のことを楽しく学び、OMOレンジャーと一緒に世界遺産東寺へ。1200年の歴史ある東寺の境内や旬の情報などを探しに、巡りながら学びます。道の美味しいものとの出会いも楽しみ
■【京都・三条】京町らんまん川さんぽ(参加費:無料)
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/omo5kyotosanjo/activities/
京都の市内を流れる高瀬川は、物流のために人工的に掘られた川。そんな歴史背景をエピソードを交えながら(※時に小道具を使い)楽しく説明。路地裏を歩いたり、見過ごしてしまいそうな街角の史跡も発見!
結論:OMOはこんな人におすすめ!旅のワクワクを感じよう
10月に緊急事態宣言が解除されてすぐ、OMO5東京大塚のご近所アクティビティに参加しました。「こんにちは。お元気ですか?」と入っていくOMOレンジャーの後についてお店に入ると、親しみのある笑顔で迎えられます。
店主さんと他愛のない会話を楽しんだり、思いがけないもの、おいしいものとの出会いがあったり。そこには長引く自粛で忘れかけていた「人との交流」「旅のワクワク感」があり、「旅の醍醐味」を味わえます。
・旅はしたいけれど、なんとなく計画が億劫というかた
・普通の旅では満足できない旅の上級者
・初めての旅先で何をしたらいいかわからないかた
・どうせなら出張先の街をとことん楽しみたいというかた
友人のように案内をしてくれるOMOレンジャーとの会話も楽しく、コンセプトは違っても星野リゾートらしいホスピタリティは変わらず健在。質問や旅の相談をすれば、旅の新しい楽しみが発見できますよ。
■OMO by 星野リゾート https://www.hoshinoresorts.com/brand/OMO/
◆教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん
旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年よりNHKラジオ『Nらじ』月一レギュラー。トラベルナレッジ代表(https://www.travel-k.com/)。旅ブログも行っている(http://www.murata-kazuko.com/)。
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