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自粛で素肌生活していた人ほど肌が老化?「コロナ老け」対策で朝、カーテンを開ける前にやるべきこと

形成外科医・皮膚科医の石井美夏さんが「コロナ老け」のリカバリー法を伝授
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「健康な肌のためには“すっぴん”が一番」と思っていませんか? 『「コロナ老け知らず」女医の美肌習慣』(双葉社)の著者で形成外科医・皮膚科医の石井美夏さん(63歳)は、「在宅ワークや自粛生活中、素肌生活を意識していた人ほど肌の老化が進んでいる」と指摘します。肌の「コロナ老け」からのリカバリー法について、石井さんに聞きました。

室内でも日焼け止めは必須!マスクしていてもリスク

「コロナ禍の2年でお肌の不調を訴える患者さんの相談を受けて確信したのが、すっぴんこそが肌にいいと信じて、日焼け止めも塗らずに自宅で過ごしていたかたのお顔は老化傾向が見られるということです」(石井さん・以下同)

石井さんによると、「おこもり生活を機に素肌を磨き上げよう」と意欲に燃え、フルラインのお手入れに加えてシートマスクや角質除去パック、自己流マッサージなどで頑張った人ほど、残念な結果になることが多いそうです。

日中のすっぴんは「百害あって一利なし」

「まず申し上げたいのは、日中のすっぴんは『百害あって一利なし』ということ。朝、カーテンを開けた瞬間から、窓ガラスの外光を通して紫外線は確実に肌をむしばみます。曇りの日は快晴のときと比べて60%、雨の日でも30%の紫外線が地表に降り注ぎます。

ネット上では、『すっぴんでも1日15分ならば日焼けしない』という説が流れていたりしますが、根拠はありません。紫外線は浴びただけ肌にカウントされてしまいます。特に、肌の奥に届くA波は朝夕でも油断大敵です」

紫外線から肌を守るには(Ph/イメージマート)
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紫外線は、シミやソバカスの原因になるだけではありません。

「コラーゲンやエラスチンといった、ムチッとした弾力を生むたんぱく質を破壊します。肌がしぼむと同時に毛穴が広がり、最悪、毛穴同士がつながって涙型になった“帯状毛穴”になることもあるのです。

帯状毛穴ができやすいのは鼻から頬にかけてで、まさにマスクで摩擦にさらされる部分。UV加工されていない不織布マスクも、紫外線を通過して肌に届くため、マスクをしていても日焼けのリスクはあります」

対策として石井さんがすすめるのは、「朝の行動パターン」を変えること。

「『コロナ老け』の自覚のある人は、朝の行動パターンを変えてみましょう。目覚めたら、洗面台に直行して洗顔とスキンケアのあと、きっちり日焼け止めを塗ってからカーテンを開けてみてください。これだけでもかなり、お肌の若々しさを取り戻せるはずです」

日焼け止めの塗り方のコツ、スキンケアとの両立は?

保湿剤に関しては肌の新陳代謝を促すために「規定量の半分」がベストと推奨する石井さんですが、日焼け止めについてはどうでしょうか。

「各製品の規定量通りに塗ることが必須です。よく、白浮きを気にして薄く伸ばしてしまう方がいますが、規定量に達していないと、紫外線の攻撃をあっさり許してしまいます。

ならば規定の倍量を塗ればいいのかと言えば、そうではなく、規定量をまんべんなく丁寧に塗ることが大事です。たくさん塗ったとしても、ムラになっていると薄いところから紫外線が容赦なく侵入し、肌の中で乱反射してメラノサイト(肌にあるメラニンを産生する細胞)を刺激。かえってシミの原因を作ってしまうからです」

日焼け止めは「規定量をまんべんなく」使うこと(Ph/イメージマート)
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必ず塗り直しを

日焼け止め製品の注意書きには、「2、3時間ごとにこまめに塗り直しましょう」などと記載されています。強力な日焼け止めを塗っていても、塗り直す必要はあるのでしょうか。

「塗った日焼け止めは、汗や皮脂、衣類によるこすれで落ちることは避けられません。塗り直しは必須です。洗顔からやり直す必要はなく、ティッシュなどで汗と油をそっと押さえて、その上からもう一度塗り、パウダーを重ねればOKです。

日焼け止めクリームを使う際は、スキンケアのクリームは省くか、保湿をジェルのみにしてみましょう。あるいは、日焼け止めをジェルかミルクタイプにして、保湿ランクをひとつ落としてみてください。肌に余計な疲れがたまって老化が進むこともないし、マスクニキビ防止にもなります」

紫外線を徹底ブロックする弱点

「コロナ老け」からのリカバリーには紫外線をブロックすることが大切ですが、ひとつ弱点があるといいます。

「私たちの体は、日光、すなわち紫外線を浴びることでビタミンDを生成しており、骨の主成分であるカルシウムの吸収は、ビタミンDの影響下にあります。ビタミンDが不足すると骨を形成するカルシウムが体に吸収されず、成長期の若者はしっかりとした骨が作られません。ご高齢のかたは、転倒・骨折の危険性が高まります。そのためにも、日光浴が必要なのです」

ビタミンDの生成に必要な日光浴は、夏場の場合、日焼け止めを塗っていない状態で1日15〜30分程度とされています。しかし、コロナ老けを回避するのに、素肌を紫外線にさらすのは避けたいところ。どうすればいいでしょうか。

干ししいたけでビタミンDの補充を(Ph/イメージマート)
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食事でビタミンD補給を

「おすすめは、食事でビタミンDとカルシウムを摂ることです。ビタミンDを豊富に含むきのこ類の中でも、干ししいたけは天日で干されることによってさらにビタミンDが増えている優れものです。多忙で食生活が不規則になりがちな人は、サプリメントで補ってもいいでしょう」

紫外線を上手に避けつつ、ビタミンDが含まれる食材をおいしくとることが、健康的な肌を取り戻す秘訣のようです。

◆教えてくれたのは:形成外科・皮膚科医・石井美夏さん

形成外科医・皮膚科医の石井美夏さん
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1959年生まれ。愛知県名古屋市出身。1984年、信州大学医学部卒業後、国立小児病院、昭和大学医学部形成外科教室およびその関連病院、亀田総合病院・形成外科、皮膚科などでキャリアを積み、2001年、東京・吉祥寺に「美夏クリニック」開院。形成外科・皮膚科・美容外科の3つのアプローチで「患者さんの個性に合った最適な治療法」を提案し、乳児から90代まで幅広い女性たちから信頼を得ている。https://www.mika-clinic.com/doctor/

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