50代からは「人と違うこと」こそ価値になります。そんな、専門性を持って「あなたにお願いしたい」と頼りにされる存在になるにはどうしたらいいのでしょうか? 著書『50歳から花開く人、50歳で止まる人』(PHP研究所)を上梓した、作家の有川真由美さんに求められ続ける人になるための考え方を聞きました。
求められ続ける人がやっていること
50代から成長するには、仲間の存在が不可欠です。誰からも求められないところで1人で努力を続けるのは、途方もない熱量と精神力が必要に。それよりは人とかかわっていくほうが成長につながるといいます。
「70代80代で活躍している人たちは見た目も若く、話していても楽しい。それは日常的にさまざまな人たちとつながり、人を喜ばせる機会が多いからでしょう。つまり、若い人に知識や知恵を教えたり、教えてもらったりすることで、自分を成熟させていく機会が自動的に与えられるのです」(有川さん・以下同)
仕事なら報酬は“次の仕事”
生きがいを持つためにも、経済的なゆとりのためにも、なんらかの役割を持って求められ続けることが大事だと有川さんは指摘します。
「個人で求められる人であり続けることは、また声をかけてもらえる人になるということ。仕事の本当の報酬は“次の仕事”だと言えます。約束を守る、メールを的確に素早く返すなど、簡単なことでも丁寧にこなすことが大切です。私は家事代行やヘアサロン、マッサージなど、できればこの人にお願いしたいと指名している人がいます。成長する人は、人から求められる状態を作り続けています」
そのためには人間力も大切です。同じ能力ならば、嫌いな人よりも好きな人、話しやすい人に仕事を依頼するのが人情です。
「それはフリーランスに限りません。会社員でもいつ肩たたきがあるかわかりません。ましてや65歳を過ぎて継続雇用になると立場が弱く、ますます人間力が大切になってきます。周囲は自分より若い人たちなので、培った知識を惜しみなく伝えて愛情をもって接していれば、相手からも返ってくるものです」
専門性を持って、「雇われる人」から「頼まれる人」へ
50歳から即戦力として生きている人の特徴は、「なんでもできます」ではなく、「これができます」と、なんらかの専門性を持っている人が多いそうです。
「会社で働いている人は先を見据えて、早い段階から“なにかの専門家として声がかかる自分”を意識しておくことをおすすめします。人が認めてくれる強みをさらに深掘りすることで、努力の方向性も見えてきます。
専門性といっても、大げさなものではありません。“○○が詳しい、△△ができる”と一言で表現できれば、“じゃあこんなことできる?”と声がかかりやすい。引き受けたものには迅速に対応し、最後までやりきることが信頼につながります。当り前のようですが、これができない人もいるものです。そして、頼まれた仕事に対して相手の期待を超え続けていれば、大抵は“またお願いしたい”と声がかかります。
自分が得意なこと、苦手なことを、意外にみなさん気づいていません。自然に身についていることなので、優れていることを知らないんですね。そんな場合は、近しい人に尋ねてみるのも手です。苦手なことを克服するより、得意なことを伸ばすほうが楽しく、まわりからも喜ばれるでしょう」