残暑が厳しい8月下旬。2023 7月31日から8月6日までの熱中症による全国の救急搬送者は1万810人。8月にはいっても依然、熱中症対策には気が抜けません。家電業界でも、熱中症のリスクを警告してくれる家電が続々発売されています。家電ライターの田中真紀子さんが解説します。
酷暑の今、熱中症のリスクを知らせる家電が急増中
「近年、猛暑日が増え、熱中症で救急搬送される人が増えています。そこまで暑さを感じていない人でも熱中症リスクが高まっている場合もあり、油断は禁物です。そこでニーズが急増しているのが、熱中症のリスクを知らせてくれる家電です。今年だけでなく、来年以降も猛暑日は増えると予測され、客観的にリスクを確認できるツールの需要は高まっていくと思われます」
こう話すのは、家電ライターの田中真紀子さん。熱中症のリスクを教えてくれるツールには、どんなものがあるのでしょうか。
「以前からあるオーソドックスなものはやはり、温湿度計でしょう。ある一定の温度や湿度になったときに、熱中症を注意喚起する表示が現れます。同じく扇風機やサーキュレーターの中にも、一定の温度と湿度になると注意喚起したり、風量を自動で変えてくれたりするものも。
また熱中症リスクを知らせるとともに、あらかじめ登録した電話番号に自動で通知してくれる電話機もあります。これらは温度と湿度に基づいていますが、最近は深部体温から熱中症リスクを検知するウォッチタイプが注目されています」(田中さん・以下同)
「黒球式」の熱中症指数計に注目
特に注目したいのは、次の機能がついたツールです。
「熱中症リスクは『暑さ指数』によって表示されるようになりました。熱中症は、温度と湿度だけでなく、太陽熱を受けて熱くなった壁や床などから放射される『輻射熱』の影響も大きいことから、気温1:湿度7:輻射熱2の割合で算出しています。そのため『輻射熱』も測定できる『黒球式』の熱中症指数計が役に立つと考えられています」
ただ、暑さの感じ方や熱中症のリスクは人によります。そのため、ツールの選び方も、その人の熱中症リスク度によって異なると言います。
「熱中症リスクを自分で確認し、しかるべき行動ができるなら、温湿度計のようなものでいいと思いますが、暑さを感じにくい人の場合は、自動で風量を変えてくれるサーキュレーターがベター。また熱中症リスクがあっても、暑さを感じないのでエアコンはつけないという高齢の家族がいるなら、熱中症リスクが高まると離れて住む家族に自動的に通知される電話機があると安心です」
田中さんがおすすめする熱中症の注意喚起付きツールは、次の2点です。いすれも、季節を問わず使える家電に、プラスアルファで熱中症アラートがついたタイプになります。