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薄井シンシアさん、新型コロナ拡大の影響で失職し、スーパーのレジ打ちに つねに前向きでいられたワケ

薄井シンシアさん
東京五輪延期で失職し、スーパーのレジ打ちをやっていたという薄井シンシアさん
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47歳で専業主婦から再びキャリアの世界に飛び込んだ薄井シンシアさん(64歳)は、紆余曲折を経てキャリアを再構築。現在は外資系企業に就職し、営業サポートとして働いています。常に強気で前向きなシンシアさんに「挫折」の経験はあるのでしょうか? シンシアさんに「挫折した経験」を聞いてみました。

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邪魔が入ったら変更し続けてゴールにたどり着けばいい

私が挫折したこと? うーーん、私は、あまり挫折にこだわらない性格かもしれないね。頭の隅に残らないぐらいの挫折しか無いと思う。

周りから見れば挫折しているように見えるかもしれないけど、私は経験から学んだことを次につなげているから、挫折じゃない。だから「挫折はあるか?」と質問されてもエピソードが出てこなくて困ります。

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経験から学んだことを次につなげているから、挫折じゃない
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例えば、企画を進めているときに上司からダメ出しをされて、ストップしたとするでしょう? 私は「ダメだ」と言われたら、はじめに出した企画にこだわらず、すぐに変更しちゃうタイプ。邪魔が入ったかどうかなんて思い出せないぐらい計画を変更する。変更して、どうにかゴールにたどり着くんですよ。

挫折は正面から受け止めたら、もう過去に

ホテルの副総支配人から、大手飲料メーカーの東京五輪のホスピタリティ責任者になったときは、すべての準備をしたところで五輪が延期になりました。新型コロナの影響で、結局、私のポストは消えて「はい、終わり」。だからなんなんですか? 私にとっては、もう過去の話なんですよ。正面から事実を受け止めて、おしまい。

薄井シンシアさん
挫折は正面から受け止めたら、もう過去に
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確かに、ものすごく準備したイベントが延期になったけれど、そのお陰で、私はスポーツというものを知ることができました。スポーツはこうやって競技をするんだ。こういうシステムで決勝戦に進むんだ、と学びました。知識を手に入れたんだから、この経験は挫折に入らないかもしれません。そう考えるから立ち直りも早いんですよ。

今にフォーカスすればするほど幸せになれる

この間、何かで読んだのですが、人間というのは現在にフォーカスすればするほど幸せなんです。今に生きる。先を考えないし、後も考えず、今に生きる。目の前のことを一生懸命に考えるのが一番いいのかもしれません。

もちろん一緒に働いていた人の中に、簡単には切り替えられない人もいたかもしれない。でも私には関係ない。そういうときは「次を考えよう」「今しか見ず、目の前のことを完璧にやろう」と声を掛けます。

大手飲料メーカーからスーパーのレジ打ちに

過去は変えられない。未来は誰にも見えない。だったら考えても無駄じゃない? 今、目の前に見えていることを一生懸命に続けていれば、大抵のことは、次へ繋がる道が開けるんですよ。だから、次はどんなことが起きるのかなんて心配しなくていい。今にフォーカスすればいいんです。

薄井シンシアさん
今にフォーカスすればいい
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飲料メーカーに勤務していたときは、新型コロナウイルスが蔓延して、さまざまなイベントがキャンセルになっていくのを見て、「私はクビになるんだろうな」と覚悟しました。そして「社会は今の私にどんな仕事を用意してくれるのかな」と一生懸命、転職サイトを検索しました。そうすると「こんな仕事があるんだ」「この職は、こういう働き方ができるのか」と具体的な将来像が見えてきます。その中で選ぶしかないんです。

「今の自分の実力はこうか。じゃあ、これしかない。 次のチャンスが来るまでは、ここで働いてみよう」と思ってスーパーのレジ打ちのアルバイトを始めました。でも、前に進むことが大事なので、気持ちが滅入ることは一切ありませんでした。

◆薄井シンシアさん

薄井シンシアさん
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1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。結婚後、30歳で出産し、専業主婦に。47歳で再就職。娘が通う高校のカフェテリアで仕事を始め、日本に帰国後は、時給1300円の電話受付の仕事を経てANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。3年で営業開発担当副支配人になり、シャングリ・ラ 東京に転職。2018年、日本コカ・コーラに入社し、オリンピックホスピタリティー担当に就任するも五輪延期により失職。2021年5月から2022年7月までLOF Hotel Management 日本法人社長を務める。2022年11月、外資系IT企業に入社し、イベントマネジャーとして活躍中。近著に『人生は、もっと、自分で決めていい』(日経BP)。@UsuiCynthia

撮影/小山志麻 構成/藤森かもめ

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