
体重を増やしたくなければ、食事のあとに急激に血糖値を上げないことが大切です。その際にカギを握るのが、“インスリン”。そこで、体重78kgから1年間で24kgのダイエットに成功、その後、トータルダイエットカウンセラーとして活動し現在ヘルスフードサイエンス研究家として活動中の大西ひとみさんに、血糖値とインスリンの関係について教えてもらうことに。血糖値の上昇を緩やかにしてくれる身近な食材も紹介します。

* * *
そもそもインスリンとは?
インスリンとは、膵臓から分泌されるホルモンの一種で、糖の代謝を調節し、血糖値を一定に保つ働きがあります。
食事をすると、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が上昇します。そうすると、血糖値を下げようと反応して膵臓からインスリンが分泌されます。細胞の表面にはインスリン受容体があり、インスリンがこの受容体に結合することで、細胞は血液中のブドウ糖をとりこみ、エネルギー源として利用します。
大量に分泌されると、脂肪組織で脂肪が構成されるのを促進して、脂肪の分解を抑制してしまいます。また、余ったブドウ糖はグリコーゲンや中性脂肪に合成され蓄えられますが、インスリンはその合成を促進する働きもあるので、太る原因となるのです。
血糖値を下げる5大食材
太らないためには、血糖値を下げることが大切。そこで、「血糖値を下げる」効果が期待できる食材を紹介します。
【1】こんにゃく
こんにゃくに含まれるグルコマンナンという成分に血糖値を下げる効果があることがわかっています。

お店でよく目にするこんにゃくゼリーなどには糖質が多く含まれていますが、同じ糖質で同じカロリーのスイーツと比較するならグルコマンナンが含まれている分、こんにゃくゼリーのほうが、血糖値が上がりにくく太りにくい食べ物と言えます。
ただし、こんにゃくは不溶性食物繊維をとても多く含んでいるため、食べ過ぎると便秘になってしまう可能性があるので、気をつけましょう。
【2】赤ワインビネガーなどのお酢類
お酢には、血糖値を下げる効果があります。それはお酢に含まれる酢酸がアデノシンに働きかけ、血管が拡がることにより、血圧の上昇がゆるやかになって血圧の上昇を抑制することができるからです。
お酢の中でもおすすめは、赤ワインビネガー。赤ワインビネガーはぶどうを原材料とする果実酢で、ポリフェノールも豊富です。ポリフェノールは糖質の吸収を和らげて血糖値を上げにくくする作用がありますので、他のお酢類よりも効果的と入れるでしょう。
酢をそのまま飲むと、酸が強すぎて胃や喉を痛める恐れがあるので、赤ワインビネガーを飲む場合は、水や炭酸水などと割って薄めて摂取するようにしましょう。サラダのドレッシングを作る際に、赤ワインビネガーを使ってみるもよいです。

赤ワインビネガーは深みのある味わいの物が多いので、肉料理の付け合わせのサラダドレッシングとして使うと、より食事が楽しめます。
【3】ホエイプロテインパウダー
ホエイプロテインに含まれるロイシンというアミノ酸がインスリンの分泌作用を弱める働きがあることから、血糖値の上昇を抑えてくれます。プロテインパウダーが苦手なかたは、ロイシンが多く含まれるレバーや、牛肉の赤身、鶏胸肉、アジや鮭などを意識して摂取してもよいかもしれません。
【4】オクラ
オクラに含まれるケルセチンという成分に血糖値を下げる効果があります。季節ものなので旬の時期ならリーズナブルで手に入れやすい食材だと思います。例えば、豆腐に納豆、マグロの赤身、オクラをかける料理なら、簡単で栄養バランスが取れた一品になります。暑い時期に火を使う料理をしたくないときにぜひ作ってみてください。
【5】ケフィアヨーグルト
ケフィアヨーグルトとは、複数の乳酸菌と酵母が絶妙なバランスで共生発酵した発酵乳からできています。ケフィアヨーグルトと一般的なヨーグルトの最も大きな違いは、菌の種類と個数です。一般的なヨーグルトは乳酸菌だけの単独発酵ですが、ケフィアヨーグルトは乳酸菌と酵母による共生発酵という方法でできています。

そのなかでも注目したい乳酸菌が、血糖値を下げる効果のあるプロバイオティックス。ケフィアヨーグルトにはプロバイオティックスが含まれていますが、通常のヨーグルトには商品によってこの乳酸菌が含まれていないこともあるため、ダイエット目的でヨーグルトを食べる場合はケフィアヨーグルトをチョイスすることをおすすめします。
ケフィアヨーグルトは日本で手に入れるのは難しいかもしれませんが、ケフィアヨーグルトのもとは一部のスーパーで手に入れることが可能です。牛乳にケフィアヨーグルトの素を入れて常温で1日放置しておくだけで、簡単にできてしまいます。私もよく作って食べています。普通のヨーグルトより酸味が少なくまろやかな味がします。
白米も食べてOK! そのかわり冷やしてから食べること
炭水化物を多く含み、ダイエットには天敵と言われる白米も、ひと手間加えるだけで血糖値の上昇がゆるやかになることを知っていますか? ご飯(米)を食べる際は、一度冷やしてから温め直すと、RS3というレジスタントスターチ(難消化性デンプン)が形成されることでエネルギーになりにくく、血糖値の急激な上昇を抑制してくれる効果があるのです。
炊き立ての白米は小分け冷凍して、食べる分だけ電子レンジで加熱して食べるというかたも少なくないと思いますが、これが実はダイエットには効果的なんです。
食事を減らして我慢することがダイエットに一番の近道になるわけではありません。ちょっとした工夫や今回紹介した食材をうまく活用して、少しでも食事を楽しみながら理想の体型に近づけるように努力してみてくださいね。
◆教えてくれたのは:ヘルスフードサイエンス研究家・大西ひとみさん

9年間、米ロサンゼルスでパーソナルトレーナーとして活動後帰国。トータルダイエットカウンセラーとして7冊の本を出版、ダイエット商品・食品の商品開発の監修などをはじめさまざまなメディアで活動。2017年に自身のギルトフリースイーツブランド「h+diet(エイチプラスダイエット)」(https://h-plusdiet.com/)を立ち上げ、現在は東京・武蔵小山で『h+diet laboratory』をオープン。野菜を使い、甘味料・人工甘味料不使用、グルテンフリーの「栄養学から考えるオーガニックスイーツ」を販売、他社の商品監修などに携わるなどヘルスフードサイエンス研究家としても活動。
●おすすめはイタリアン?ダイエット中でも外食を楽しむ方法を1年で体重24kg減を達成した専門家が伝授