やせる体づくりには体の司令塔である「自律神経」を整える
過剰な食事制限で急激に体重を落とすことなく、食べながら徐々にやせていくのがダイエットの鉄則。そして、この徐々にやせていくための体づくりに大切なことの1つが、「自律神経」を整えることです。自律神経とは、中枢神経と体のあらゆる器官をつないでいる末梢神経の1つ。内臓の働きや呼吸、血流、体温の調整など、体の機能を24時間コントロールする体の司令塔のような役割を担っています。
「暑くなったら汗をかく。これも体内の温度が上がりすぎてオーバーヒートしないように、自律神経が汗腺を刺激して汗をかかせて、体温を適切にコントロールしているから起こります。このように、自律神経が各器官に命令を与えることで、私たちは生命を維持しています」
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2種類
自律神経には、体が活発に動いているときに優位になる「交感神経」と、リラックスしているときに優位になる「副交感神経」の2種類があります。一般的には、日中の活動的な状況のときは交感神経が優位な状態になりますが、夜にかけて活動が落ち着き、副交感神経が優位になると、血管が拡張して心臓の動きはゆるやかになり、血圧が低下し、体は休息モードになっていきます。
「この2つは、どちらかが優位な状態を保つことがいいということではありません。仕事や作業などで活動的に動こうとするときには、交感神経が優位に活発に働かなくては、やる気も出ないし、集中もできません。一方で、夜寝る前などの体を休めるときなどは、副交感神経が優位に働いていないと、体が十分に休めずに、不眠や慢性疲労といった症状を抱える原因となります」
自律神経が乱れると代謝が下がり太りやすい体に
よくいわれる「自律神経が乱れた状態」というのは、2つの神経が必要なときに必要な分だけ働いていない状態です。例えば、ストレスを受けた時、体はいつも通りの状態を保とうとして、交感神経が活性化されます。エネルギーを高め、ストレスという非常事態を乗り切るためです。しかし、強いストレスによって交感神経が優位な状態が長く続くと、夜になっても副交感神経がうまく働かず、体はリラックスできなくなり、不調が出てしまいます。
「不調をなんとかしようと自律神経が頑張ることで、自律神経がオーバーワークになってしまい、本来の働きがどんどんできなくなってしまうのです。例えば、胃腸の働きが抑制されて食べたものの消化が滞り、便秘になり、ぽっこりお腹になりやすくなります。そしてなにより、血流が悪くなることで代謝が下がります」
つまり、不調の悪循環が生まれ、ダイエットも失敗しやすくなってしまうのです。