親の資産がどのくらいあるか把握していますか? 親の死後に知らなかった資産や負債が見つかると、遺産相続でもめたり、扱いに困ったりしてしまうことになりかねません。『一生お金に困らない!新・お金が貯まるのは、どっち!?』(アスコム)の著者で元メガバンク支店長でもあるお金の専門家・菅井敏之さんから、資産について知っておくべき理由や親と話すときのコツを教えてもらいました。
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親の資産を知らないことのデメリット
子どもにお金の心配をかけたくない、株式投資で失敗したのを知られたくない、アテになる資産があるとわかると子どものためによくない、など親が子どもに自分のお金の話をしない理由はさまざまあるといいます。
負債とは借金だけに限らない
しかし、もし親が突然倒れたりしたら、医療・介護費や葬儀費などに加えて、住宅や車のローンなど、これから支払いが発生する「負債」も引き継がなければいけなくなる可能性があります。
また、知らなかった資産が見つかった場合、相続でもめる可能性があるだけでなく、負債として引き継がざるをえないこともあるのです。
「親がなくなってから、親の土地が何か所かあるとわかった知人がいます。しかし、どれもほとんど価値のない土地で買い手がつかず、いまだに放置したまま毎年の固定資産税を払いつづけています」(菅井さん・以下同)
親に危機管理意識がないケースも多い
兄弟姉妹が相続をめぐって骨肉の争いをしてしまうのは親の責任だと話す菅井さんは、親に危機管理の意識がなさすぎるケースを銀行員時代にたくさん見てきたそうです。
「生前、自分の資産をオープンにして、『オレはこう考えている』と子どもたちにちゃんと伝えておけば、争いを回避できたケースがたくさんあります」
親の死後、困らないために知っておくべきことは、どのくらいの価値のあるものがどれだけあるのか、そして負債がどれだけあるのかということです。
資産は、現金、預金、株式、投資信託などの「金融資産」と土地や家などの「不動産資産」に分けられます。現金や預金と違って、今の価値がわからない不動産などは、不動産会社に問い合わせれば教えてもらうことができます。
「負債」(=借金)については、短期の少額ローンも含めて、総額を出しましょう。そして、資産から負債を引いた額が“純資産”となります。
親の資産を守るのは子の役目
近年頻発している「オレオレ詐欺」などは、高齢者の持っている「金融資産」を狙った犯罪です。また、詐欺に限らず、“うまい話”による失敗から親を守ることにもつながります。
「また、『狙う』というと怒られるかもしれませんが、金融機関、とくに銀行は、金融資産からなんとか収益を得ようと、熱心に誘いをかけてきます」
銀行は親の貯蓄や退職金がいついくら入ったかなど、まとまったお金がどのくらいあるのか、たまにしか連絡を取らない子どもよりも詳しく知っています。「そして、『販売のプロ』が何時間も親の相談にのっているかもしれないのです」と菅井さん。
「財産を『アテ』にしていると思われたらイヤかもしれませんが、子は、親の経済状態や資産内容などをきちんと把握し、親の資産を彼らから『守る』必要があります。親の資産が狙われ、減ってしまってからでは、あとの祭りなのです」