
2023年10月29日、東京都府中市の東京競馬場で行われる秋の天皇賞を、天皇陛下が観戦されることが、日本中央競馬会(JRA)から発表されました。「天覧競馬」は、上皇ご夫妻が2012年10月に観戦して以来、11年ぶりになります。動物好きとしても知られる天皇ご一家。馬とも深い縁があります。今回は、馬に関するエピソードを振り返ります。
オマーンの国王から馬のサプライズプレゼント
天皇皇后両陛下がご成婚後、初めて訪問された海外は、ご結婚の翌年1994年11月のサウジアラビア、オマーン、カタール、バーレーンの中東4か国でした。

オマーンでは、国王から馬を贈られました。名前はアハージージュです。

アハージージュについて雅子さまが、1997年にお誕生日の会見で発言されています。
「御料牧場に参ります時には、以前に中東を訪問しました時にオマーンの国王陛下から皇太子殿下がお頂きになられた馬のアハージージュという名の馬がおりますけれども、この馬が今年の春に出産をして、今、子馬がいますので、この馬たちの元気な姿を見ることも楽しみにしております」

天皇陛下も、2001年の歌会始の儀でアハージージュのことを詠まれています。
「草原をたてがみなびかせひた走るアラブの馬は海越えて来ぬ」

アハージージュが産んだ子馬は愛子さまの愛馬に
愛子さまは5歳の頃にポニーに乗られるなど、幼い頃から馬と触れ合われています。アハージージュが産んだ子馬、豊歓(とよよし)にも何度も乗り、愛子さまにとって親しんだ愛馬となりました。




飼われている犬と猫について作文を書かれるほど動物がお好きな愛子さま。21歳のお誕生日の際に、皇居内の厩舎を訪れ、馬と触れ合われている映像が公開されました。




高齢になった愛馬と最後の別れ
2018年4月7日、高齢となったアハージージュは亡くなり、豊歓も2021年の5月に栃木県の御料牧場へ移送されることになりました。愛子さまは別れを告げるため、雅子さまと共に皇居内の厩舎をご訪問。にんじんを与えるなど、1時間ほど滞在され、別れを惜しまれました。この時、幼い頃から長年、可愛がられた愛馬との最後の別れになることを悟られていたのかもしれません。豊歓は、翌年の12月に亡くなりました。

2023年4月に栃木県高根沢町の御料牧場に滞在された天皇ご一家。ご滞在中は3回、豊歓のお墓へ訪れ、花とにんじんを供えられたそうです。天皇ご一家が、豊歓へ愛情を持って接されたことがうかがえます。













ご一家で厩舎へ訪問 伊勢神宮に贈られる馬と戯れられた
今年の10月12日、ご一家は皇居にある厩舎を訪れ、伊勢神宮に贈られる本勇号と対面されました。愛子さまはカットされたにんじんを手から与えられ、「よく食べるんですね。詰め込んじゃった」と笑顔を見せられました。

オマーンの国王からプレゼントされ、およそ30年前から馬と触れ合われてこられた天皇ご一家。愛馬は亡くなりましたが、これからも馬はご一家に寄り添う身近な存在であることには変わりません。