女性の薄毛対策には「鉄分」と「たんぱく質」が有効
毛根に栄養を運ぶために血流を促進しても、酸素を運ぶための「ヘモグロビン」が不足すると頭皮は酸欠状態となり、薄毛につながる可能性があります。そのため、薄毛対策には、ヘモグロビンの合成に必要な「鉄分」と「たんぱく質」を摂取しましょう。
とくに更年期の女性は女性ホルモンの乱れの影響で、月経期間が8日以上続いたり、頻回な月経・経血量の増加などを引き起こしたりする場合があり、「鉄欠乏性貧血」に悩まされる人も少なくありません。
そのため、鉄分を摂るときにはより吸収率が高い「ヘム鉄」が多く含まれる食材を選ぶのがよいです。豚や鶏のレバーなどにヘム鉄が多く含まれるので、例えば主菜に「レバニラ炒め」、植物性たんぱく質が豊富な「納豆」の小鉢を副菜として組み合わせるとよいでしょう。
また、鉄分やたんぱく質の吸収率を高める作用がある「ビタミンC」を含むキャベツの汁物を添えた献立にすると、効果アップが期待できます。
女性の薄毛には漢方薬も役立つ
頭皮ケアや食事で薄毛が改善しない場合は、薄毛の専門機関を受診したり、体質改善を得意とする漢方薬を服用したりするのも有効です。
漢方薬を試す場合は、「女性ホルモンや自律神経を整える」「血流をよくして頭皮や髪を作る細胞に栄養を届ける」作用のある生薬を含むものを選ぶとよいでしょう。
おすすめの漢方薬
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
血(栄養)を補いエネルギーの流れをよくすることで、女性ホルモンや自律神経を整える作用のある漢方薬です。更年期女性によくみられる、気分の落ち込みやイライラなどの精神的な症状のほか、ホットフラッシュの改善にも役立ちます。
・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
血流をよくして、頭皮や髪に栄養を届ける作用のある漢方薬です。疲れやすく、貧血気味の人に向いています。
漢方薬を始める際の注意点
漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。
ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。
◆教えてくれた人:薬剤師・山形ゆかりさん
やまがた・ゆかり。薬剤師、薬膳アドバイザー、フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ。牛角・吉野家ほか薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信する「Medical Health -メディヘル-youtubeチャンネル」(@medicalhealth–7900)で簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)でも薬剤師としてサポートを行う。