
「きちんと髪を洗っているのにベタついてしまう」「頭皮の乾燥が気になる」など、特に空気が乾燥する秋冬は髪トラブルが発生しやすい季節。著書『お医者さんが教える老けない習慣』(三空出版)が話題の医師・糸井由里恵さんに、ヘアケアのコツを聞きました。
髪の洗いすぎには要注意
「皮膚とつながっている髪のケアのポイントは、肌ケアとほぼ同じ。髪も洗いすぎには注意が必要です。そのためにも、正しく髪を洗うこと、髪を乾燥させないようにしっかりと保湿することが大切です」(糸井さん・以下同)
過剰なシャンプーはかゆみやフケの原因に
正しい髪の洗い方とは、どんなものでしょうか。
「頭皮は汗や皮脂、ホコリなど汚れのつきやすい部位ではありますが、女性は男性より皮脂が少ないのです。また、エイジング世代に入ると発汗量が少なくなってくる傾向にあります。過剰な洗髪は頭皮の乾燥を招き、その結果かゆみが生じたり、頭皮の角質の脱落量が増えて、フケが目立つようになることもあります。
『大量の汗をかいた日』『整髪料を付けた日』『普段から頭皮がベタつきやすい人』以外は、2日に1回くらいのシャンプーの頻度で問題ありません」

シャンプーは「弱酸性」を選ぶ
「シャンプーの頻度のほかに気を付けてほしいのは、シャンプー剤の選び方です。石けん系などアルカリ性のシャンプーでは髪のキューティクルが傷み、枝毛や切れ毛を招く原因となります」
では、どのようなシャンプーを選んだらよいのでしょうか。
「おすすめしたいのは弱酸性のシャンプーです。とくに、アミノ酸系のシャンプーはある程度の洗浄力を保ちながらも髪と頭皮にやさしいので、乾燥しがちなエイジング世代のシャンプーとして安心して使うことができます」

正しい髪の毛の洗い方
糸井さんが提唱する正しいシャンプーの具体的な手順は、次のとおりです。

「まずはブラッシングでホコリや汚れを落とし、頭皮の余分や皮脂などを浮き上がらせます。続いて、38〜40℃のぬるめのお湯で1分ほどかけて予洗いします。髪と頭皮をしっかり洗うと、シャンプーの泡立ちが格段に良くなります。
シャンプーは手のひらで泡立てたあと、髪と頭皮全体になじませ、指の腹で優しくマッサージするように洗います。特に前頭部と頭頂部は皮脂が多い部分なので、丁寧に洗いましょう。
洗い終わったら、しっかりとすすぎましょう。シャンプーの残留物は頭皮にダメージを与える原因になるので、時間をかけてしっかり流します。タオルで水分を軽く取り、毛先にトリートメント(コンディショナー)を塗布します。
頭皮のベタつきや髪のボリュームダウンを避けるためにも、根元には塗布しないよう注意してください。その後、コームで髪をとかして全体に行き渡らせ、数分おいてからしっかりと洗い流しましょう」
洗い方を変えるだけで、老化スピードを遅らせる髪のスローエイジングにつながります。楽しく美しく年齢を重ねていきましょう。
◆教えてくれたのは:医師・糸井由里恵さん

埼玉県生まれ。日本医科大学を卒業後、同大学付属病院形成外科で勤務。皮膚科・麻酔科・救命救急・訪問診療など多彩な分野で経験を積み、形成外科専門医を取得。現在は都内美容クリニックで多くの女性の悩みに日々向き合う。一般的な顔の美容整形手術のほか、美容婦人科系の治療も得意とする。今年7月、老化のスピードをゆるやかにして楽しく美しく年齢を重ねる「スローエイジング」の考え方を取り入れた『お医者さんが教える老けない習慣』(三空出版)を出版。