たつみ式・ひざの保存療法
たつみ式・保存療法とは、主には次の4つです。
1. 朝起きてトイレに行く前に足放り体操/暇があれば足放り体操
2.体重を標準へ/戻し方は週一回絶食を提案
3.歩き方/O脚の人は内もも歩き/X脚の人は一直線歩き/治るまでは杖をつく
4.筋トレ/大腿四頭筋を鍛える/腹筋と骨盤底筋群も
これらの方法で痛みがとれ、前のように歩いたり、活動したりできるようになる人が後を絶ちません。
僕自身が驚いたのですが、ひざの軟骨が全てなくなった患者さんでも「復活」する現実を見てきました。僕がすぐに手術をしない理由はこれです。ひざが悪くなった原因を探し、それと向き合い、乗り越えた人は自分で治る。本当に多くの患者さんから教わりました。
でも、だからといって、それを押し付けるのもよくありません。時間がない人には、手術で乗り越えていただく。今でもひざの手術は大好きなので問題はありません。必要があれば最善の手術をします。
痛みを乗り越えて、治られた方のほとんどが、最初は痛みをとり、再び思うように歩くには「手術しかない」と思っていた患者さんです。勝手にそう思い込んでいたわけではなくて、前に診てもらった医師からそういわれたからです。でも、悪くなった「原因」を改善することで痛くなくなり、動けるようになると、手術の必要はなくなるのです。
これまでも、そして今も、ひざの関節を専門とする僕にとって、最善の治療プログラムを実践できる環境で、僕の診療は場所が変わってもとくに変わりません。
手術に関する技術革新などは世界水準で日々アップデートしていきますが、もっとも肝心な「見立て・基本的な治療」は不変です。
ひざのことでお困りの患者さんと向き合い、その声に耳を傾け、一緒に原因を探し、痛みをとっていく。
シンプルだから、変わりようがないんですね。
◆教えてくれたのは:整形外科医・巽一郎さん
1960年生まれ。医師。一宮西病院整形外科部長・人工関節センター長。ひざのスーパードクター。静岡県立薬科大学薬学部卒業後、大阪市立大学医学部に入学。卒業後は同附属病院整形外科に入局し手術三昧の日々を送りながら、米国(メイヨー・クリニック)と英国(オックスフォード大学整形外科留学)などに学び、世界最先端の技術を体得。日本屈指の技術と、患者の立場に立った診療方針で全国各地から人が絶えない。評判の手術の腕の一方で「すぐには切らない」医師として話題を集める。湘南鎌倉総合病院人工膝関節センター長を15年務めた後、2020年より一宮西病院人工関節センター長に。