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《「夫婦の壁」を乗り越える!》家電量販店でまた始まった…夫のウンチクをすぐに終わらせる秘策とは?

家電を見ている夫婦
なぜ男性はスペックを確認したがるのか(Ph/GettyImages)
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夫婦の間にたちはだかる高くて厚い「壁」――。特にコロナ禍によってさまざまな“夫婦の壁”が浮き彫りになったといいます。そのひとつが在宅によって増えた「夫婦の会話」をきっかけとしたトラブル。夫のウンチクに妻がうんざりするケースもあるようです。新刊『夫婦の壁』で、「壁」の実態とそれを乗り越える方法について解説している、脳科学コメンテイター・人工知能(AI)研究者の黒川伊保子さんが、男性がウンチクを語りたがる理由を解説。同書の中から一部抜粋して紹介します。

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【相談】家電好き夫のウンチクにうんざり

「夫は家電が大好きで、休日は家電量販店に行って新商品をチェックするのが趣味です。そのため家電を買い換えるときは、ウンチクを言い続けるのでとても面倒です。特にコロナ禍になってからは、新しい空気清浄機があるにもかかわらず、『新商品に買い換えたい。新しいのはこんなにすごいんだ』と毎日のように言ってくるのが、本当にうんざり。こんな夫にどう対応すればよいでしょうか?」(52歳・パート)

【回答】ウンチクとスペック確認は、男性脳の真骨頂

男性は家電に限らず、スペック確認したがる生き物です。

「◯◯さんに、こんなこと言われて……」「いつ?」とか、「この冷蔵庫いいわね!」「それって、内容量何リットル?」みたいに。共感を求める女性脳からしたら、「今、この確認要る?」なんて感じで、イラッとしますよね(笑い)。

男性は、空間認知の領域をなによりも優先して使います。太古の昔から、男たちは、遠くの動くものに瞬時に照準を合わせ、とっさに距離を測り、構造を見抜き、敵や獲物に対処しなければならなかったからです。そして、いつもの縄張りに、見慣れないものがあれば、その正体を即座に見抜く必要がありました。このため、現代生活でも、素早くスペック確認する癖が。5W1H(なに、だれ、いつ、どこ、なぜ、どのように)がとっさに頭に浮かび、それを素直に聞いてくるわけ。

一方、あらかじめスペックを知っているときは、それを口に出して確認せずにはいられません。それがウンチクです。知らないことはスペック確認(5W1Hの質問)をしたがり、知っていることはウンチクで語りたがる。それが、優秀な男性脳の証です。

スペック確認は男性脳の“悲願”

女性なら、何か悲しいことがあったら、たとえば、誰かに理不尽なことを言われたとき、家族や友人にそれを話して、「わかるよ」「大変だったね」と共感して慰めてほしいと思うはず。それはもう、悲願と言ってもいいくらいに。男性のスペック確認も、それに似ています。

我が家は息子夫婦と同居していて、W洗面、つまり洗面台が2台並んでいます。ある日、息子たちの洗面台にシリコンスプレーが置いてありました。洗面台に向かって、今まさにアイラインを引こうとしていた私に、通りすがりの夫が、「このシリコンスプレー、なんでここに置いてあるの?」と聞きました。「知らない。今、気づいた」と答えたのに、スペック確認は延々と続きました(苦笑)。

夫「誰が置いたの?」
妻「知らない」
夫「いつから置いてあるの?」
妻「知らない」
夫「いつまで置いておくつもりかな?」
妻「だから、知らないってば!」

「今、気づいた」と言った私に、それでも、これを言わざるを得ないだけの衝動が彼にはあるのでしょう。「そこにあるべきでないものがある」のは、男性脳にとっては軽いパニックなのです。そして、答えを知るわけもない私に、あえてこれを言ってくるのは、「確認すべき項目そのものを確認している」という行為。それほど、男性脳は、スペック確認したがっています。

会話している男女
ときには、夫のウンチクやスペック確認に付き合ってあげて(Ph/AFLO)
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ときにはスペック確認に付き合ってあげて

なので、ときには、付き合ってあげてもいいのでは、と思います。男性たちに、「ときには妻の話に付き合って、共感してあげて」と言うように、女性たちに、「ときには、夫のウンチクやスペック確認に付き合ってあげて」と。もちろん、「遅刻ギリギリで、アイラインを引く瞬間」でなければ。

ウンチクもある意味、スペック確認です。つまり、知っているスペックを語り、それでいいかどうかを確認したいわけ。

このため、ウンチクに反応してあげないと、ゴールを迎えられません。特に、彼が素晴らしいと思うことをウンチクで語っているときは、「素晴らしい」の確認をしてあげないと。

「このスピーカー、すごいんだよ」「ここのラーメン、半端ないんだよ」と、スペックを語り出したら、感心して聞いて、「ほんと、それはすごいわね」「うわぁ、早く食べたい!」と言ってあげないと、スペック確認が完了できないのです。スペックに興味がない女性脳にとってはうんざりするかもしれませんが、これはもう、コミュニケーション・イベントだと思って、やってあげるのが一番。優しく共感してくれる夫がかけがえのないように、ウンチクに瑞々しく反応してくれる妻はかけがえがないのです。

家電売り場へは夫を先に送り込む時間差攻撃がおすすめ

とはいえ、家電好きの夫と、家電を買いに行くくらいうんざりすることはないでしょうね。我が家の夫は、特に家電好きではありませんが、いざ買うとなったら、スペック確認に抜かりはありません。売り場で時間がかかるので、本当に、うんざりします。けれど、我が家には、秘策があるんです。

ことの発端は、10年以上も前のこと、息子の部屋にエアコンを、と思っていたら、セールのチラシが入りました。「これを買おう」と、夫婦で家電店に行ったときのことです。すでに購入する商品も決まっているのに、夫は店員さんに、「自動掃除機能付きってあるよね? いくら?」「空気清浄機能ってどうなの?」などと質問攻めに。買おうと思っている商品にはない、ハイスペック機種への質問なんです。私が「買う商品が決まっているのに、どうしてそんなこと聞くの?」と聞くと、夫は「買おうとしているものが、全体のスペックの中でどれくらいのもので、妥当な値段なのかを判断しないと……」と言うではありませんか……! 私は即座に「妥当じゃなくても、それを買います!」と言いたい衝動にかられたけれど、彼のスペック確認欲求を満足させるために「そこのマッサージ機でマッサージしてるから、終わったら呼んでね」と返し、ひとしきり暇をつぶしました。

それからというもの、夫と家電製品や家具を買いに行くときは、時間差攻撃に。夫を先に売り場に送り込んで、思う存分、スペック確認したころ合いで、私が売り場に行って、「これがいいかな〜」なんて言うと、夫は「色はキレイだけど、うちのキッチンには入らないよ」なんて役に立つことを言ってくれます。この時間差攻撃、かなりおすすめですよ。

最近では、ネットで事前にかなりのスペック確認ができるので、売り場でのスペック確認は、かなり時間短縮できてます。まぁ、それでも、多少のウンチクは聞くことに。けれど、それはそれで、「なるほどね!」と思うこともあり、間違ったものを買わない信頼の証でもあり、最近ではありがたく楽しんでます。

とにかく、ウンチクは、反応が薄いほど長くなります。いっそ楽しんで、瑞々しく反応すれば、短く終わる。男性上司の長い話も一緒です。お試しあれ。

◆著者:人工知能研究者、脳科学コメンテイター・黒川伊保子

人工知能研究者、脳科学コメンテイター・黒川伊保子
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1959年長野県生まれ。人工知能研究者、脳科学コメンテイター、感性アナリスト、随筆家。奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピュータメーカーでAI開発に携わり、脳とことばの研究を始める。1991年に全国の原子力発電所で稼働した、”世界初”と言われた日本語対話型コンピュータを開発。また、AI分析の手法を用いて、世界初の語感分析法である「サブリミナル・インプレッション導出法」を開発し、マーケティングの世界に新境地を開拓した感性分析の第一人者。著書に『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』(講談社)『思春期のトリセツ』(小学館)『60歳のトリセツ』(扶桑社)など多数。

黒川伊保子さんの最新著『夫婦の壁』

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