皇后になられてから4年半。昨年は新型コロナウイルスの影響もあり、地方のご公務はオンラインで出席されることが多かったですが、今年は「四大行幸啓」などをはじめさまざまなご公務で全国各地へお出ましになりました。そこで2023年、天皇陛下とともに訪れた地方ご公務でのエピソードを振り返ります。
29年ぶりに追悼式ご出席 参列した遺族へのお気遣い
5月24日、天皇皇后両陛下が太平洋戦争で犠牲になった6万人を超える船員らを追悼する「第50回戦没・殉職船員追悼式」に出席されるため、神奈川県横須賀市を訪問されました。
雅子さまは、この日、ネイビーとホワイトのバイカラーのスーツと帽子をお召しに。両陛下がそろって追悼式に出席されるのは29年ぶりでした。
天皇陛下は「かけがえのない家族の尊い命を海に失われた遺族の皆さんの悲しみと長年にわたる御苦労は、いかばかりであったかと思います。先の大戦の記憶が薄れようとしている今日、我が国の平和と繁栄が、戦没・殉職船員を始めとする多くの人々の尊い犠牲の上に、国民のたゆみない努力によって築き上げられてきたものであることを、決して忘れてはならないと思います」とおことばを述べられました。
両陛下は慰霊碑に花を供えられ、能楽「海霊」をご覧になりました。参列した遺族とお話しになり、「お体に気をつけてください」などと声をかけられました。
7年ぶりの岩手県、「奇跡の一本松」への特別な思い
全国植樹祭に参加されるため、7年ぶりに岩手県を訪問された天皇皇后両陛下。6月3日、陸前高田市にある東日本大震災の追悼・祈念施設で供花、拝礼され、津波で残った「奇跡の一本松」を視察されました。
両陛下にとって「奇跡の一本松」には特別な思いがあります。陛下はかつて学習院OB管弦楽団の定期演奏会で、この奇跡の一本松で作られたビオラを演奏され、雅子さまが鑑賞されたことがあります。ビオラの裏には奇跡の一本松が描かれていました。
実際の奇跡の一本松を前に陛下は「雅子も見守る中で奇跡の一本松を用いて作られたビオラを演奏したことを思い出しました」と述べられました。