1億総スマホの時代になって誰もがSNSで世界中へ発信できる時代となりました。一方で、いわれのない批判的なコメントに悩まされることも。こんな時はどうすればいいのでしょうか。「論破王」として知られるひろゆきさんがアドバイス。著書『ひろゆきさん、そこまで強く出られない自分に負けない話し方を教えてください』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けします。
SNSで悪意のあるコメントを受けた場合
Q.「議論ではないんですけど、ひろゆきさんは、SNSでネガティブなコメントや攻撃的なコメントが来た時も、冷静に対応されているイメージがあります。そんな時の対処法みたいなのって、ありますか?」
■ひろゆきさんの回答
SNSでのコメントについては、べつに対応する必要はありません。「こいつヤバいな」と思ったら、無視してミュートすればいい。お金儲けでも仕事でもないので「対応しないといけない」という考え自体が間違ってるんじゃないかなと思いますけど。
基本的にSNSは、暇つぶしでみんなやっています。何かしなければならないと考えている時点で、もう間違えているんです。いつでもやめていいし、放っとけばいいものなんで。企業アカウントもそうです。わざわざ失礼なコメントをしてくる人に返す必要はないですよね。
なので、悪意のあるコメントなんかに対しては、「ミュートする」でいいんじゃないでしょうか。ブロックすると、相手にブロックしたことがわかってしまうので、余計に面倒が増える場合がありますが、ミュートはバレません。自分には見えないので、何かあっても自分ではわかりませんし。それで放っておくのがいいでしょうね。
僕はネガティブなコメントにも返信することがありますが、これは、あまり他人に勧められるやり方ではないでしょう。というのも、僕の場合、反論が来るようなやり方をあえてやっているところがあります。
それをやるメリットの1つは、ポスト(旧ツイート)の拡散のためです。これはあまり一般の人向けではないかもしれませんが、X(旧ツイッター)のアルゴリズムとして、返信が多くついたものほど、ほかの人のタイムラインに載りやすいという仕様があったんです。なので、ある程度反論がつくほうが広まりやすかった。
また、自分と違う考えで、説得力のある人の話を聞きたい、という理由もあります。一般論をそのまま言うと、あまり反論が来ないのですが、ちょっと尖とた表現を使うと、言い返したい人がやってくるんです。時に「確かにそうだよね」という反論が来たりするので、さまざまな意見を見て面白いな、と楽しんでいます。
半歩進んで世の中を見てみる
情報収集的な部分で付け加えると、半歩進んで世の中を見たほうが、よりいろいろなものが見えるということもあったりします。「ちょっとそこには進まないほうがいいよ」と一般的に思われているテーマについて、半歩だけ進んで発言してみると、思ったよりリアクションが来ないパターンと、すごく来るパターンがあるんです。その反応でこのテーマは踏み込んでいいんだとか、こっちは進んじゃいけないんだ、ということがわかったりするんですよね。
たとえば、テーマによっては、すごく粘着質な人が来ることもあるんです。そういうのを見ると、「だから、みんなこっちに行かないんだな」とわかって、僕としてはよいデータが得られた、と思います。
逆にみんなが危なそうだと思っているけど、発言しても全然大丈夫な話題もあったりする。そういうのを知るうえでは、ちょっと尖った言葉を使って耳目を引いたほうが、有効なこともあるんですね。
こういう線引きができることは、あるジャンルの人にとっては大事です。
テレビなど多くの人が視聴するメディアに出て話す人は、今このテーマについてどんな考えを持っている人が多いのかとか、どこまでが許容される範囲の発言なのかを、ある程度知っているほうがいいでしょう。バラエティ番組の司会者をやっていたあるタレントさんも同じことを言っていましたね。これは、メディアに出る人だけでなく、企業広報やマーケティング担当の方も同じだと思うんです。このラインは守るべきだけど、ここのラインは実は守らなくても大丈夫だよね、ということがわからないと、炎上や大騒動を招くこともあります。危険察知力は大切です。
ここでのPointは「SNSでは『対応しなければならない」と思わなくていい』です。
◆教えてくれたのは:ひろゆき(本名:西村博之)さん
1976年生まれ。東京都北区赤羽で育つ。1996年、中央大学に進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「相手の人格を否定すること」を禁じた新たなSNSサービス「ペンギン村」をリリース。2021年、自身のYouTubeチャンネル(登録者数160万人。2023年10月25日現在)での生配信を元にした「切り抜き動画」が話題になり、1か月の総再生回数は3億回を超えた。主な著書に、『論破力』(朝日新書)、『1%の努力』(ダイヤモンド社)、『自分は自分、バカはバカ。』(SBクリエイティブ)、『日本人でいるリスク』(マガジンハウス)などがある。