
2023年は新型コロナウイルスが収束に向かったこともあり、地方へのご公務にお出ましになったほか、国際親善のためにインドネシアへ訪問された天皇皇后両陛下。今年は、海外との関係を深めるため、各国の大統領夫妻、国家主席夫妻を皇居に招き、両陛下自ら出迎えられる場面も増えた年でした。
格式の高い帯と縁起の良い模様の着物でお出迎え
2月9日、フィリピンのマルコス大統領夫妻と会見された際、皇后雅子さまはクリーム色の着物でご夫妻をお出迎えに。このとき、合わせていたのは2003年の秋の園遊会でもお召しになった、格式の高い袋帯とみられます。きらびやかなゴールドの刺繍が華やかな雰囲気。着物の色味が、天皇陛下のゴールドのネクタイとリンクしていました。









着物に描かれている、リボンが揺れているようなデザインは、吉祥文様の中の一つ熨斗柄(のしがら)とみられ、とても縁起の良い模様です。着物全体ではなく、肩と足元に柄が描かれた上品な一着でした。
イギリスのオックスフォード大学への留学経験がある両陛下とマルコス大統領は、思い出話に花が咲いたそうです。また、雅子さまが幼少期を過ごされたアメリカ・ニューヨークに、大統領夫人が留学していたことも話題になり、会話が弾んだ面会となりました。
トレンドカラーのセットアップ&ネクタイのリンクコーデで面会
3月7日、ルーマニアのヨハニス大統領夫妻と面会された際、雅子さまはジャケットの襟や袖口に刺繍が施されたイエローのセットアップをお召しに。イエローは今年のトレンドカラーで、天皇陛下も同色のネクタイをお召しになり、雅子さまのセットアップとリンク。パンプスはイエローと相性が良いホワイトをチョイス。優しく、さわやかな雰囲気にまとめられたツートーンコーディネートでした。






懇談は丸テーブルを囲み、30分ほど行われました。ルーマニアの隣国であるウクライナについて、天皇陛下は「大統領が人道的な見地から支援をされていることに敬意を表します。戦争により多くの人たちが亡くなっていることに心を痛めています。1日も早く平和が戻ってくることを心から願っています」などと述べられたそうです。
昼食会で初めての和食 日本ならではのおもてなし
11月17日、キルギスの大統領夫妻を招いた昼食会でのお召しものは、クリーム色の着物に、菱形の中に花が描かれたゴールドの帯を合わせた雅子さま。天皇陛下もイエロー系の市松模様のネクタイをお召しになっていました。










両陛下のご提案で、手まり寿司などの和食が外国要人を招いた昼食会で初めて提供されました。和服に和食という日本の伝統的な文化が楽しめる昼食会は、留学中に日本文化クラブを立ち上げるなど、学生時代から日本文化を海外に伝えられてきた雅子さまらしい、おもてなしとなりました。
昼食会にペールグリーンの和服姿 江戸切子のグラスで日本酒の乾杯も
11月28日、ベトナムのボー・バン・トゥオン国家主席夫妻を招かれた際にも、和のおもてなしをされていました。このとき雅子さまは、さわやかなペールグリーンの着物とオレンジの帯を合わせたスタイルでお出迎え。天皇陛下もグリーンのネクタイをお召しになり、雅子さまの着物とリンク。寒色のブルーとコントラストのある暖色のオレンジは意外と相性のいい2色で、着物に描かれたオレンジの和柄がアクセントになっていました。











前回の昼食会と同様に両陛下のご提案で、前菜に押しずしが振る舞われ、日本酒での乾杯も行われました。これまでの昼食会ではシャンパンが振る舞われてきたそうで、日本酒での乾杯は初めて。日本の伝統工芸品を紹介したいという両陛下のお気持ちからか、江戸切子のグラスが使われました。
お見送りのため、玄関までトゥオン夫妻と歩かれた両陛下。話が弾まれたのか、そのまま7分ほど立ったまま話されるという珍しい状況に。国家主席夫妻に新たなおもてなしスタイルを気に入っていただけたのかもしれません。
各国首脳夫妻を招いた茶会に親しみやすい定番のイエローの着物を
12月18日、日本ASEAN(東南アジア諸国連合)友好協力50周年特別首脳会議に出席する各国首脳夫妻を招いた両陛下主催の茶会が開催。両陛下と秋篠宮ご夫妻は9か国14人の首脳夫妻と40分ほど懇談されました。両陛下は6月に訪問したインドネシアのジョコ大統領と再会し、現地での接遇にお礼を述べられ、雅子さまはインドネシア語で「ありがとう」とあいさつされたそうです。








茶会では縁起がよいとされる松が描かれたクリームイエローの着物をお召しに。これまで何度もゲストを迎えられる際に、淡いイエローが選ばれていますが、イエローは明るさと暖かみがある印象なので親しみやすさを演出します。今年を振り返ると、何度もイエローのお召し物を選ばれている雅子さま。お見送りをする側として、ぴったりな色をセレクトされていました。
初めての和食と日本酒のご提供、そして着物を選ばれるなど、令和という新たな時代にふさわしい和のおもてなしをされてきた2023年。来年はさらに新しい試みがみられるかもしれません。
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