冬になると続々と登場するファーやボアを使ったアイテム。以前はファーというと動物の毛皮で少しフォーマルな印象でしたが、近年は動物素材を使わないエコファーがトレンドとなりカジュアルに楽しめるように。そこで、大人女性がファーやボア素材のアイテムを上手に取り入れるコツをパーソナルスタイリストの杉山律子さんにうかがいました。
ファーやボアなど主張が強い素材を取り入れるのは1か所限定に
「動物の毛皮のようなファー、モコモコとした生地のボア。どちらも素材が主張するアイテムです」と杉山さん。主張が強いアイテムを上手に取り入れるためのコツはあるのでしょうか。
「ファーやボアをコーディネートに取り入れる場合は、どこか1か所のみにすることが鉄則です。主張する素材を使ったら、それ以外はシンプルなアイテムを組み合わせると失敗しません」(杉山さん・以下同)
アウターは難易度の高いロングロートよりもジャケット丈がおすすめ
ファーやボアはアウターに使用されるほか、裏地やフード・首元といった部分的に使われていることもありますが、大人女性にはどんなアイテムがおすすめでしょうか。
「近年、エコファーやボアのアウターがたくさん出ていますよね。例えば、マックスマーラのキャメル色のロングファーコート。長身のモデルさんが着るととても素敵なのですが、ファーやボアのロングコートは色によってはモコモコして熊さんのようになってしまうこともあります。特に襟があるデザインだと素材が肉厚なので襟まわりがもたつきますから、ロングコートを選ぶ場合はノーカラーの方がスッキリとして使いやすく、カジュアル感が出しやすいですよ。
とはいえ、全身ファーのロングコートは難易度が高いアイテムなので、アウターで取り入れるならジャケットくらいの丈がおすすめです。ファーやボアはモコモコと厚みがある素材なので、できるだけフラットでコンパクトなものを選ぶとより安心です。
フードの周りにファーが付いているコートも以前はよく見かけましたが、今はちょっと時代遅れな感じがするのでおすすめしません」
トップスとボトムは薄手でコンパクトなアイテムを選びモコモコを回避
モコモしがちなファーのアウター。中身にどんなアイテムを着用するといいのでしょうか。
「中に着るものは、薄手のコンパクトな形のトップスにしましょう。中もアウターもモコモコだとボリューム感が出すぎて太って見えます。
ボトムスはフレアスカートの場合、薄手の素材なら落ち感が出るので問題ありませんが、ハリのある素材だとスカートにボリュームが出るのでNG。スカートもトップス同様、薄手で体にフィットする方がいいでしょう。テーパードパンツならバランスが取りやすく、まず失敗はありません」
バッグなど小物から取り入れるのがおすすめ
若い女性の間ではファーのバッグや靴など小物でも人気がありますが、大人女性が取り入れても大丈夫?
「靴にファーをあしらったデザインはモデルなどファッションのプロが仕事として履いている分にはいいのですがかなりハードルが高いので一般向きとはいえません。
おしゃれ初心者がファーを取り入れるなら、まずはバッグがおすすめ。洋服で取り入れるよりもハードルが低いですよ。大人女性には小さなクラッチバッグがベスト。巾着型のバッグもよく見かけますが、サイズが大きくなるほど主張が強くなりますし、デザイン的にも大人にはかわいらしすぎます。
バッグでファーを取り入れたら、洋服にはファーは使わないようにしましょう。小さめでシンブルなデザインのクラッチバッグを取り入れるだけで、十分ファーを活かしたコーデになりますよ」
ファーやボア素材は寒い季節にはあたたかいだけでなく、フワフワとした雰囲気で女性なら気持ちもあがるアイテム。「コーデの中に1点だけ」のルールを守って、大人女性らしく上品に取り入れてみては。
◆教えてくれたのは:パーソナルスタイリスト・杉山律子さん
一般社団法人スタイリストマスター認定協会代表。映画や広告、音楽業界など幅広い分野でスタイリストとして活躍後、結婚・出産を経て、2016年よりパーソナルスタイリストとして活動開始。ファッション講座やプロ認定講座を開催。顔立ちや体型、に合わせたスタイルの提案に定評がある。新著に『シンプルにはじめる 大人の着こなし入門 プロが教えるセオリー&アイデア』(翔泳社)がある。https://ameblo.jp/stylejiyugaoka719
取材・文/青山貴子
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