
おしゃれなワントーンコーデのつもりでグレー系の洋服を安易に合わせていませんか? 「無難な色同士だから大丈夫」「派手じゃないから年齢的にも合っているはず」と安心しているかもしれませんが、実はそれが老け見えの原因に。今回は失敗しがちな同色系コーデのコツをパーソナルスタイリストの杉山律子さんに教えてもらいました。
そもそもワントーンコーデって?
「ワントーンコーデというと、ベージュ系やグレー系などの地味な色でコーディネートしたファッションだと勘違いしている人がとても多い」と杉山さん。色が全く違っていても、トーンが統一されていることが本当のワントーンコーデなんだそう。
「同色系で合わせがちな人は、同色系=おしゃれと思い込んでいるのかもしれませんが、微妙な色の違いをわかっていないと実は難しいんですよ。
ちょっと専門的になりますが、色には彩度と明度という尺度があります。例えば、同じグレーという名前でも彩度と明度によって青みがかったグレーだったり、無彩色のグレーだったりとさまざま。トーンは、例えば薄いピンクや薄い青などがペールトーン、真っ赤や真っ青などをビビットトーンというように分けています。
つまり、全身をグレーっぽくとか、ベージュっぽくまとめることがワントーンコーデだと思われがちですが、極端に言えば、真っ赤と真っ青と真緑を組み合わせたとしてビビットなトーンで統一されているのでこれもワントーンコーデ。色が全く違っていてもトーンが統一されていればワントーンコーデということなんです」(杉山さん・以下同)
地味色同士の同色系コーデは老け見えの原因
ワントーンコーデの定義はわかりましたが、実際に全身をベージュ系やグレー系などの似た色同士で合わせてしまうという人は多いはず。
「コーディネートで似た色同士を合わせることは、とても難易度の高いこと。特にベージュ系やグレー系などの中間色同士を合わせると、地味だったり、老けて見えたりと失敗の原因になります。
例えば、グレーのトップスにベージュのボトムを合わせるのは、派手な色は使っていないという安心感があるのだと思いますが、それこそが『おばさんセットアップ』なので要注意です。グレー系やベージュ系は地味な色の集まりですから、それら同士を合わせると全体がくすんでより老けて見えてしまうんです」
同じ色味の濃淡で組み合わせるとおしゃれ感がアップ
それでは、同色系コーデを楽しみたいときはどう合わせるのが正解なのでしょうか。おしゃれに見せるコツを教えてもらいました。

「同色系コーデは、同じ色味の濃い色と薄い色でまとめるのが正解。グラデーションコーデとも言いますが、おしゃれ感がぐんとアップします。
例えば、茶色系でコーディネートするとしましょう。おしゃれに見せるには、濃い茶色に薄い茶色を合わせますが、大切なのは色の見極め方。合わせようとしている2つの茶色の濃い方に、白い絵の具を足した色をイメージしてください。それが合わせようとしている薄い茶色と同じ色になればOK。違う色になってしまう場合はNGの組み合わせとなります。
同じ茶色で似たように見えても、赤っぽい茶色と黄色っぽい茶色を合わせるとちぐはぐな印象になるので注意しましょう。
最初に説明したように、色は彩度と明度によって同じ名前の色でもさまざまな色があります。これらの似て非なる色味を組み合わせてしまうことが老け見えの原因になることを覚えておきましょう」
白黒写真を撮影して色の濃淡をチェックする
実際に合わせてみても、ちょっと自信がないというときはどうしたらいいのでしょうか。正解を見極める方法は?
「スマホで白黒写真を撮影してみてください。白黒写真で見たときに、同じ色(同じ濃度)に見えてしまったら、その色合わせは失敗。なんか疲れて見えたり、おばさんっぽい組み合わせになっている可能性大です。
色の濃度にメリハリがついて、色の濃さが違っていれば老け見えにはならないので安心ですよ」
同色系コーデは、似た色同士を合わせるのではなく、色の濃淡を意識することがおばさんっぽくならないコツ。杉山さんのアドバイスをぜひ実践してましょう。
◆教えてくれたのは:パーソナルスタイリスト・杉山律子さん

一般社団法人スタイリストマスター認定協会代表。映画や広告、音楽業界など幅広い分野でスタイリストとして活躍後、結婚・出産を経て、2016年よりパーソナルスタイリストとして活動開始。顔立ちや体型、内面からのぞく雰囲気に合わせた「一番、素敵に見えるスタイル」の提案に定評がある。著書に『手持ちの服でなんとかなります』(サンマーク出版)などがある。https://ameblo.jp/stylejiyugaoka719
取材・文/青山貴子