
黒やネイビーなどシックな色は大人女性に人気の色。そこで、皇后雅子さまの今の時季のダークカラーファッションをチェック。アクセサリーやスカーフなど華やかさをプラスする着こなしのポイントをスタイリストの横山麻里さんとともに振り返ります。
ダークカラーは素材やデザインで変化をつけて品よくおしゃれに
ダークカラーファッションをおしゃれに着こなすためのポイントを横山さんにうかがいました。
「単調になりすぎないように、素材やデザインに特徴があるものをセレクトすることが大切。ホワイトパールアクセサリーや、ゴールド・シルバーアクセサリーのツヤ感で抜け感を出すといいですね。トレンド感を出したいときは、今ならシアー素材を取り入れるのがおすすめです。
スカーフ、カチューシャ、バッグ、靴などの小物は、コーディネートのポイントになるので、洋服がシンプルなときこそ、デザイン性のある小物を合わせたり、逆に洋服にポイントがあるときは、小物はシンプルに…と洋服の足し算引き算のバランスが取れると、おしゃれ度がアップします」(横山さん・以下同)
ネイビーのアウターに白地のスカーフで爽やかなたたずまい
ご成婚の日取りも決まった1993年3月、御所でのデートに向かわれる雅子さまをご自宅前でキャッチ。ネイビーのコートから白地のスカーフをのぞかせていらっしゃいました。

「ネイビーのピーコートは、それだけで上品さが漂います。同色のカチューシャは異素材ミックスなので、ヘアになじみつつも、コーディネートのポイントになっています。ツヤ感のある白のスカーフで、抜け感も出て、とても爽やかな印象。バッグのゴールド金具やアクセサリーもゴールドで統一され、大人っぽい雰囲気もばっちりです。
小物使いがおしゃれで、いろいろな要素が散りばめられていますが、色をネイビーや白でそろえているのでまとまり感がありますね」
黒のワントーンコーデもベルベットのツヤ感とボタンデザインで表情豊かに
1995年1月、第二次中東諸国歴訪の際、ボタン部分の飾りがおしゃれな黒のベルベット生地のセットアップをお召しになった雅子さま。


「黒のセットアップはシックですが、ツヤ感のあるベルベット素材が上品な華やかさを放っています。胸元やカフス部分が目を惹くデザインなので、ワンカラーコーディネートで、かつバッグや靴はシンプルな黒で統一することで、より洋服のデザインが引き立っています。
ジャケットのパワーショルダーや胸元、カフス部分のデザイン効果で、上半身に視線が行き、スタイルアップにもつながっています。洋服のデザイン性が高いので、パールのアクセサリーもシンプルではありますが、大きめを合わせられることで、全体が調和されています」
→皇后雅子さまの秋冬の「ベージュ」「オフホワイト」コーデはコチラ
洗練された黒のベルベット生地のセットアップスーツにフェミニン小物をプラス
1996年2月、天皇陛下(当時は皇太子)とともに、神奈川県の横浜美術館を訪れられ、ゴッホ展をご見学の雅子さま。黒のベルベット生地のセットアップをお召しでした。


「ベルベット素材のセットアップは柔らかさもあり、上品で女性らしい印象です。ボタンもデザイン性があって、シンプルながらさりげなく華が感じられます。同素材のカチューシャは少し幅広なデザインで存在感がありアクセントに。中に着た白ブラウスで顔周りがとても明るくなっています。
さらに、パールイヤリング、ブローチ、リングをプラスして、上品さも底上げ。シンプルなセットアップスーツを小物使いによって、上品かつ華やかなコーディネートに仕上げるのはさすがです。どれかひとつ小物がなくなってしまうと、シンプルすぎ、逆に小物をプラスすると、華美になりすぎてしまう…その絶妙なバランス加減がすばらしいですね」
黒の革バッグがピーコートと相まってきちんと感をアップ
2007年11月、学習院幼稚園の遠足で、東京都多摩動物公園に到着された雅子さまと愛子さま。雅子さまは肉厚なハイネックにピーコートを合わせたシンプルコーデでご参加。


「ネイビーのピーコート×ハイネックトップス×パンツのコーディネートはきちんと感も添えつつ、少しカジュアル感も漂うスタイル。コートには、織りがはいっているので、シックな色合いのコーディネートにも表情が出ています。ハイネックも、白なので、顔周りが明るく、大きめのホワイトのパールイヤリングを合わせ、より抜け感が出ています。ダークカラーのコーディネートですが、ワンハンドルのバッグや、ローヒールのブーツ、アクセサリー使いで、重たい印象にはならず、抜け感が感じられる大人カジュアルな装いです」
→皇后雅子さまの、冬の「ファー」「ダウン」の上品な着こなし術はコチラ
ほどよくカジュアルなジップ付きのニットで夫婦リンクコーデ
2009年2月、天皇陛下49歳誕生日に公開されたお写真では、ジップ付きのニットという夫婦リンクコーデをご披露。雅子さまはグレーや黒などシックな色合いのファッションでした。



「ジップ付きのニットのカジュアルな装いも、センタープレスパンツを合わせ、きれいめカジュアルな着こなしになっています。シンプルなカジュアルスタイルに、ネックレスをプラスすることできちんと感もキープ。ジップを少し閉め、インナーを見せることで抜け感を出しつつ、ワントーンでIラインを強調し、すっきりとした印象です」
白のボウタイブラウスをのぞかせて立体感とエレガントさをプラス
2024年2月、天皇皇后両陛下と長女・愛子さまは、東京・上野の東京都美術館で開かれている「第98回国風盆栽展」をご観賞。雅子さまは、濃紺のパンツスーツに黒の靴とバッグを合わせたシックなコーディネートでした。





「ダークカラーのパンツスーツはメンズライクな印象になりがちですが、ボウタイブラウスやパールのアクセサリーを合わせることで、女性らしさが加わり、レディライクな印象になっています。白のカラーを顔周りに取り入れることで、明るく抜け感も出ていますね。シンプルなスーツは小物合わせがカギ。ノーアクセサリーやシンプルなインナー合わせでは、フレッシャーズのような印象になってしまいます。今回のように、パールのアクセサリー使い、特に、ボウタイブラウスにネックレスを重ねる合わせ方は、大人の風格が感じさせられます」
ベルベット素材のダークブルーのドレスは襟元と袖口の装飾で華やかさを底上げ
2024年2月23日、天皇陛下が64歳の誕生日を迎えられ、午前中に行われた一般参賀では雅子さまもお目見え。ダークブルーのベルベット素材のネイビーのドレス姿でした。



「ダークブルーのベルベット素材のドレスは大人の女性にぴったりの落ち着いた色味ですが、ベルベットという素材感で華やか印象になっています。襟元と袖口のビーズは同色ですが、角度によって光沢が生まれ、動作のたびに顔周りや手元が美しく輝きます。
パールのイヤリングやブローチを合わせられ、華やかで気品漂うたたずまいです。雅子さまのようにアクセサリーはつけすぎず、存在感のあるシンプルデザインのアクセサリーをつけることで、より高貴な雰囲気が際立ちます。また、タイトにまとめられたヘアは、小物使いやドレスのデザインを引き立てています」
◆ファッション解説:スタイリスト・横山麻里さん
ほどよくフェミニンで上品なカジュアルスタイリングが参考になると、同世代の女性たちからの支持多数。大人女性のファッション誌を中心にカタログや広告で活躍中。
●《スカーフで華やかさをプラス》皇后雅子さま、異素材ミックスのスーツとバッグで現代アートをご鑑賞