岡田将生さん(34歳)が主演を務めた映画『ゴールド・ボーイ』が3月8日より公開中です。沖縄を舞台とした本作は、冷酷な殺人犯と、その殺人犯に頭脳戦を挑む少年少女たちの攻防を描いたもの。衝撃的な展開が最後の最後まで続く、緊張感あふれる作品に仕上がっています。今回は、本作の見どころや岡田さんの魅力について、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説します。
* * *
岡田将生が殺人鬼に!
本作は、中国のベストセラー作家・紫金陳(ズー・ジンチェン)による『バッド・キッズ(坏小孩)』を原作とし、金子修介監督が映画化したもの。
金子監督といえば、『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年)をはじめとする平成ガメラシリーズや『学校の怪談3』(1997年)、『デスノート』シリーズ(2006年)など、数々の名作を手がけてきた映画人。そんな彼が岡田さんを主演に迎えて描くのは、殺人犯と子どもたちの手に汗握る頭脳戦です。
完全犯罪を遂行したつもりが、まさかの子どもたちに目撃されていました。しかもその子どもたちは度胸があり頭もキレる。先の読めない攻防が繰り広げられるのです。
恐ろしい殺人鬼VS恐るべき子どもたち
事業家の婿養子であり、義父母を崖から突き落とした男・東昇(岡田)。彼はある目的のため、この犯行に及んだのです。
人当たりのいい好青年である彼のことを疑う人間はほとんどいない。知能数が非常に高い東にとって、これは“完全犯罪”となるはず。
ところが、偶然にもこの光景をカメラで捉えている子どもたちがいました。普通であれば恐怖しながら警察に駆け込むところですが、家庭環境による貧困などの問題をそれぞれに抱える彼らは、あろうことか犯人を脅迫して大金を得ることを画策します。
お金さえあればすべての問題は解決する――そう考えているのです。それに、少年法によって、14歳までは何をしたとしても捕まることはないと考えています。
こうして恐ろしい殺人鬼と恐るべき子どもたちの、命懸けの駆け引きがはじまるのです。
新星・羽村仁成、黒木華らがアンサンブルで魅せる
“殺人鬼VS子どもたち”の関係が、緻密な構成とスリリングなストーリーテリングで描かれている本作。これを成立させる面々として、まだ10代の若手から、ベテラン勢までが集っています。
岡田さん演じる殺人鬼・東昇に挑戦しようと画策する子どもたちのリーダー的存在・安室朝陽を演じているのは、アイドルグループ・Go!Go!kidsのメンバーである羽村仁成さん。まだ16歳の俳優ですが、そのキャリアはすでに10年以上。子役期から活動している存在なのです。
映画への出演はこれが2作目ですが、昨年公開された話題作『リボルバー・リリー』でも主要な役どころを務めていたこともあり、その姿が印象に残っているかたは多いのではないでしょうか。本作での彼の役どころは、主人公の東と同様に非常に高い知能を持った少年。徐々に本性をあらわにしていくさまを繊細に演じ、主演の岡田さんと堂々と渡り合ってみせています。
そんな羽村さんが演じる朝陽の母に扮しているのが、黒木華さんです。放送中の大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)での華やかな演技も好評な彼女が、ここでは女手一つで苦労しながら息子を育てる母親の姿を、とても控えめな演技で体現しています。この安室香というキャラクターの視点が入ることで、本作はより多層的な作品に。そのような重要な役割を、黒木さんは担っているのです。
さらに、東の妻・静を松井玲奈さん、朝陽の父親・打越一平を北村一輝さん、静の従兄弟にして刑事でもある東巌を江口洋介さんが好演しているほか、朝陽の仲間の子どもたちに星乃あんなさんと前出燿志さんが配され、それぞれのポジションで個々のポテンシャルを発揮。
この座組を主演俳優として率いているのが、岡田さんというわけです。