春から夏にかけて国産品が旬を迎えるパイナップル。野菜ソムリエプロの福島玲子さんによると、国産だけでなく通年出回る海外産のものも含めて、パイナップルには疲れやお腹によい栄養が含まれているのだそうです。詳しい栄養に加えて、意外と知らないパイナップルの豆知識も教えていただきました。
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体にやさしい栄養素が豊富なパイナップル
パイナップルはお肉と一緒に食べるとよいと聞いたことがないでしょうか? その理由や、パイナップルにたっぷり含まれている美肌や腸内環境に効果的な栄養素についてご紹介します。
疲労回復や胃もたれ防止に◎な栄養素が豊富
パイナップルに豊富なビタミンB1は、疲労回復のビタミンと呼ばれていて、糖質の代謝に欠かせない栄養素です。ほかにも、酵素を活性化させ、骨代謝や糖脂質代謝、皮膚代謝などに影響があるマンガンも含まれています。
また、たんぱく質分解酵素のブロメラインを含んでいるので肉料理などに使うと、たんぱく質を分解し消化を助けます。ブロメラインは60℃以上に加熱すると活性が失われるので、加熱前に肉と合わせる調理法や、食後にカットしたパイナップルを食べるなど工夫するといいですよ。
ちなみに、酸味の強いパイナップルを食べたときに、舌がピリピリと感じるのもブロメラインによるものだといわれています。また、たんぱく質を分解する作用によって、ゼラチンが固まらなくなるので、生のパイナップルはゼリーの具には不向きです。
美肌やむくみ解消、腸内環境にも!
また、抗酸化ビタミンと呼ばれ、風邪予防や美肌効果のあるビタミンCがたっぷり。むくみ解消効果のあるカリウムも摂ることができます。
腸内環境を整え、便をやわらかくする水溶性食物繊維と、腸のぜん動運動を促す不溶性食物繊維の両方が含まれているので、便秘の悩みにうれしい効果が期待できます。
パイナップルの豆知識|果物ではなく野菜?
最後に、意外と知らないパイナップルの豆知識をお話します。
実は野菜?意外なパイナップルの分類
農林水産省の定義では「果実的野菜」であるパイナップルは、実は野菜の仲間なんです。パイナップルの他にも、メロンやスイカ、いちご、バナナなども果実的野菜に分類されます。
なぜかというと、木本植物になる実=果物(果樹)、草本植物の実=野菜と分類されるからだそうです。逆に、野菜だと思われがちなアボカドは、木本植物になる実なので、実は果物に分類されています。
海外で「パイン」が通じない理由
パイナップルは、実は一つの果実ではありません。うろこのように見えるブロック状の部分が個別の果実で、これらが集まって大きな果実を形成する複合果なんです。
ちなみに、パイナップルをパインと略すことがありますが、これは和製の略語なので、海外に行っても通じません。海外では「パインジュース」ではなく「パイナップルジュース」と伝えるといいですよ。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ