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《本日最終公演》AKB在籍17年「寂しささえ覚える」柏木由紀の卒業を機に辿る、2000年代中盤を盛り上げたAKB48“初期の名曲”

『Beginner』発売記念イベントにて(写真は2010年、Ph/SHOGAKUKAN)
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ストイックな『RIVER』、責任感漂う『Beginner』

私がAKBの楽曲で、初めて前のめりになったのは、14thシングル『RIVER』(2010年)である。高橋みなみさんの「エイケイビーッ!」という力強い掛け声のあと全員で「フォーティーエイッ!」と叫んでからの、ダンダンダン! という力強いステップ。

大人数グループアイドルだからこそ出せる軍隊感というか、「戦いが始まる」という戦闘態勢がインパクト大だった。

またタイトルが、これからの人生、行く手を阻む障害の具現化=RIVER(川)! それでも前へ進め、あきらめるな、と繰り返すとてもストイックな歌だ。

4月30日、AKB劇場での公演がラストステージに(写真は2018年、Ph/SHOGAKUKAN)
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18枚目の『Beginner』(2010年)の「僕らは夢見てるか?」と問いかける歌詞は、すごく心に残る。「知らんがな!」とツッコむ隙がないほど、自分に厳しい少女たちの戦いぶりがヒリヒリと伝わってくる。夢に対してこんなに義務感、責任感が漂う歌は、なかなかない。

初期のAKBは、時代が送り込んだ人身御供のようで、「夢を叶えるのに必要な困難に、まず私がぶち当たってみるから、見ててね」と、己の苦しむ姿を晒し、励ましてくるような感じすらあった。

AKB48から派生した3人組ユニット「フレンチ・キス」でも活躍(写真は2012年、Ph/SHOGAKUKAN)
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そんな彼女たちに、『10年桜』(2009年)や『桜の木になろう』(2011年)など、「桜」と名のつく名曲が多いのも、なんとなくわかるのである。実力をつけないと置いていかれるけれど、同時にまっさらに戻ることも願われる感じが、咲いて散り、また咲く、を繰り返す桜と似ている。儚さと美しさ、そして強さが必要な、過酷なサバイバル!

私は正直、見ているだけで胸が苦しくなるような、AKBの活動の在り方は好きではなかったけれど、これらの楽曲に心打たれたのは、認めざるを得ないのだ。くっ。

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